太陽光発電などの固定価格買取制度を定めるFIT法が改正。私たちの生活にどう影響する?

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年平均29%増えている再生可能エネルギー設備容量


太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取る再生エネルギーの固定価格買取制度。皆さんの中にも「そろそろ太陽光発電システムを載せて売電を」と考えている人も多いのではないだろうか。

実際に再生可能エネルギー設備容量は、固定価格買取制度がスタートした2012年から急速に増加しており、年平均29%の伸び率となっている。

この固定価格買取制度を定めている法律が「再生可能エネルギー特別措置法」、通称「FIT(Feed-In Tariff)法」だ。同法律は今年(2017年)4月に改正される。これによって私たちの生活はどう変化しそうなのか考えてみよう。


再生可能エネルギーの設備容量は固定価格買取制度がスタートした2012年から急増している<BR />(出典:資源エネルギー庁「改正FIT法に関する直前説明会」)



日本のエネルギー自給率は、わずか6%


まずはそもそもFIT法とはなにか、から解説する。現在、日本では石油や石炭、天然ガスといったエネルギーの94%を海外からの輸入に頼っている。つまり自給率は6%。アメリカの86%、イギリスの57.6%など、ほかの先進諸国と比べると著しく低い。また、石油や石炭といった化石燃料を使用するとCO2を排出するので、地球環境への影響も考えなければならない時代でもある。

日本のエネルギー自給率の向上、地球環境にやさしいエネルギーの利用。この二つの課題に対する一つの回答が再生エネルギーの活用だ。太陽、風、水、地熱、森林といった自然資源を有効に活用して電気をつくる。

ただし、固定価格買取制度がスタートする前の再生可能エネルギーの普及率は、わずか1.4%だった。その大きな原因の一つは、高い発電コスト。たとえば、火力発電に比べて太陽光発電は約5倍、水力発電は約2倍の発電コストがかかる。

そこで2012年7月、FIT法が施行。再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることになった。電力会社が買い取る費用は、電気を利用する私たちから賦課金という形で集め、コスト高の再生可能エネルギーの普及を加速させる。普及が進むことで、発電コストが下がることが期待される。


日本のエネルギー自給率はわずか6%。先進諸国の中では著しく低い<BR />(出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギー固定買取制度ガイドブック2016年度版」を元に一部編集部で作成)



平均的な家庭で毎月675円を負担


導入から4年以上が経過したFIT法による固定価格買取制度。狙い通り再生可能エネルギーの導入量は約2.5倍になった。しかし、その間に同制度の様々な課題も浮き彫りになってきた。おもなものは、私たち国民の負担増大とFIT認定は受けたものの実際は稼働していない案件の増加だ。このような課題に対応するため同法は2017年4月より改正される。改正の主なポイントは以下となる。

国民の負担増大への対策
資源エネルギー庁によると、コスト高の再生可能エネルギーによる発電を支える賦課金は、平均的な家庭で毎月675円に達している。再生可能エネルギーはまだまだ導入したい、しかし、国民負担は抑制したい。これらを両立するため、大規模太陽光発電の入札制度が導入される。

2000kW以上の太陽光発電設備を対象に、調達価格(売電価格)を入札。落札した案件が認定を取得することになる。つまり、より安く売電してくれる事業者しか認定されないことになるのだ。入札は当然ながら競争原理が働くので、売電価格の値下がりや賦課金の軽減が期待される。

未稼働の太陽光発電案件の是正
同庁の調査によると、2016年9月末時点の太陽光(非住宅)の認定容量である7,554万kW。しかし、実際に稼働しているのは2,638万kWと約3分の1に留まっている。未稼働の案件が生じる理由のひとつに、固定価格買取制度が開始当初、売電の権利だけを仮押えできるという制度の課題が挙げられる。
太陽光発電の稼働、未稼働に関わらず、国の認定を受けて接続申込みをした時点で買取価格が決定したため、制度開始時の2012年~2013年時点の36円~40円+税の高い売電価格(2017年度は21円+税)のまま権利だけを保持し、設備価格の値下がりを待ったり、売電権利を転売するなど、本来の制度の趣旨から外れるケースが存在していた。
その結果、後発の事業者や太陽光発電以外の再生可能エネルギーの参入が見送られたり、国民の負担増にもつながっている状況なのだ。

そこで今回の改正では、電力会社と接続契約を締結している(運転開始済み含む)設備のみが認定を受けられることになる。すでに認定されている案件も、この条件を満たさなければ認定失効となる(一定の条件を満たすことで猶予期間あり)。また、設備のメンテナンスの実施や関係法令の遵守なども求め、事業の適切な運営を確保する。


太陽光発電などの固定価格買取制度を定めている法律が「FIT(Feed-In Tariff)法」だ。同法律は今年(2017年)4月に改正される。これによって私たちの生活はどう変化しそうなのか考えてみよう。



一般市民にも事業者にもそして地球環境にもメリットのある市場に


今回のFIT法の改正点は、おもに大規模な発電施設を運営する事業者を対象とするものだ。とはいえ、この改正が賦課金の削減につながり私たちの電気代が安くなることも考えられる。さらに、参入障壁を高くすることでより、クリーンな事業者だけが生き残る。

また、入札制度を導入することで価格競争が起こるので事業としての“うまみ”は減る。そうなれば、たとえば、山を切り崩しても設備を設置せずに放置したり、周辺住民の意見を無視して大規模な設備を設置するといった悪質な事業者は減っていくのではないだろうか。

再生可能エネルギーによる発電市場の整備はまだまだ道半ば。今後もこのような法改正などを繰り返し、一般市民にも事業者にもそして地球環境にもメリットのある市場に成長してほしい。


再生可能エネルギーによる発電市場は、設備を設置する環境なども考慮して成長してほしい



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