水回りのカビ対策、落ちない汚れ…。「科学的掃除講座」でノウハウを聞いてきた

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掃除のプロが伝授する、「論理的に考えて実践する」掃除方法とは?


今年も暑くジメジメとした夏がやって来た。夏といえばカビの季節。カビをどう退治したらいいものか、悩ましい問題だ。
そこで解決のヒントをつかむべく、取材に出かけたのが「不動産業者のための科学的掃除講座」(2017年5月24日開催)。所有する賃貸物件の部屋の汚れに困っている不動産会社や大家さんを対象に開かれた講座だったが、一般ユーザーにも役立つヒントがたくさんあったので、レポートをお届けする。

講師は、総合情報サイト「All About」で家事、掃除分野のガイドを務める藤原千秋さん。かつては大手住宅メーカーの営業職だったという。現在は3児の母。主婦・母親目線に立っての実践的、かつわかりやすいアドバイスが好評で、テレビや雑誌などでも活躍している。
そんな掃除のプロ、藤原さんは、講座の冒頭でこう話した。
「掃除は思い込みや慣習でなんとなくやっていることが多いと感じています。そうではなくて、論理的に考えて実践し、頑固な汚れを落とす。そんな掃除の方法をお伝えしたいです」


講師の藤原千秋さん。大手住宅メーカー営業職を経て、2001年より「All About」で家事、掃除分野の専門家として情報を発信している。著書は『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ひと目でわかる簡単おそうじのアイデア』(世界文化社)など多数



汚れの状態に合わせて適切な掃除をするために必要な4つの要素


掃除を論理的に考えるには、汚れの色、形状、臭いなどを見きわめて原因をつきとめることが第一歩。家の汚れの原因になるものは多岐に渡る。カビ、皮脂(手垢、足の裏の脂など)、油脂、錆び、ほこり、雨水、紫外線、ミネラル、細菌などさまざま。このような汚れに応じて適切な方法で掃除をすることが肝心なのは言うまでもないが、そのための考え方の軸になるのは「CHAT(チャット)理論」という、清掃業界でいわれている理論だという。

4つの要素の概要は次の通り。
●C:Chemical(ケミカル)=洗剤。洗剤の液性(酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性)とその特質を理解し、汚れの原因や状態に合わせて使う。
●H=Heat(ヒート)=温度。その汚れを落とすには、水でよいのか、お湯のほうが落としやすいのか、汚れた部分を洗剤に浸けおくときの水温など。
●A:Agitation(アジテーション)=物理的な力。汚れに対して洗剤の浸透をよくするために、こする、押す、拭く、磨くなど、どのような力を加えて掃除をするのかを考える。どんな清掃道具を使うのかも重要。
●T:Time(タイム)=時間。汚れた部分を洗剤に浸けおいておくなど、時間をかける。

この4つの要素をうまく組み合わせて掃除をするには、洗剤や道具、力の入れ方などいろいろ試してみることが大切という。気をつけなければならないのが、建材を傷めないように掃除をすること。そこで重要になってくるのが、4要素の中の「Time(タイム)」だ。

「長い間、汚れを放っておくと、こびりついたり、奥に浸透してしまい、落とすのが難しくなってしまいます。そうすると、使う洗剤の洗浄力の強さや、熱(お湯の温度)、汚れを取るための力のかけ方を強くすることになるので、色が落ちたり、変形したり、表面に傷がつくといった状態になりやすくなるのです。それを唯一避けられる方法が、時間をかけること。できるだけ弱い液性の洗剤を使い、長く浸けておけば、浸透させて効果を出すことが可能になります。そして、お湯の温度はできるだけ低く、汚れを取り除くためにかける力も弱くする。一度やって落ちなければ、これを繰り返す。建材や汚れの状態によっては例外もありますが、何度も繰り返して掃除をすることがしつこい汚れを落とすための基本です」


講座では藤原さんが実際に試し、蓄積された掃除ノウハウの数々が披露された(講座の主催は不動産管理会社のハウスメイトパートナーズの営業本部課長・谷尚子さんと、本サイトのライターでもある東京情報堂・中川寛子さん)



浴室の鏡にウロコ状についている汚れはクエン酸で落とす


講座では市販されている洗剤の特性についての解説があり、それを踏まえて具体的な掃除法を伝授。そのひとつが、浴室の鏡にウロコ状にこびりついている汚れの落とし方。麟状痕と呼ばれる汚れで、中性洗剤を付けたスポンジでこすっても落とせず、困っている人は多い。

「麟状痕の汚れの原因は水垢です。水道水の中にはカルシウムなどのミネラルが含まれていて、それが固い水垢となってこびりついてしまったのです。こうした固い水垢を落とすのに効果があるのは、酸性・弱酸性の洗剤です」

おすすめは、クエン酸。クエン酸は柑橘類や梅干しなどに多く含まれる成分で弱酸性。ミネラル汚れやカルキ汚れを溶かす作用がある。

このクエン酸を水に溶かしてクエン酸水(クエン酸小さじ1に対し、水500ml)を作り、鏡の汚れている部分にスプレー。その後、マイクロファイバー製の掃除用クロスなどで汚れをこすり落とし、からぶきをする。それでも落ちない場合はスプレーを吹きかけてからラップで湿布し、しばらく浸けおいてから掃除用クロスなどでこする。一度の掃除で麟状痕が落ちないときは、これを何度か繰り返し、少しずつ落としていく。これで鱗状痕が消えてクリアな鏡になるのであれば、時間をかけてでもトライしてみたい。

クエン酸は浴室の鏡以外でも、浴室内や洗面所、キッチンなど水回りの水垢落としに効果がある。

水回りの床材として使われることが多いクッションフロアの汚れ落としについても、レクチャーがあった。多くの人が悩んでいるという黒ずみだ。クッションフロアは塩化ビニール製で水に強く、普段の掃除も水拭き程度で済むので、比較的手入れが簡単といわれている。その一方で調理の油や、足裏の脂といった油汚れが付きやすいというデメリットがあり、放置しておくと黒ずんでしまう。
「黒ずみの原因になっている油性の汚れは酸性です。洗剤はアルカリ性のものを使い、中和させて落とすという方法が効果的です」

よく効くのは、弱アルカリ性のセスキ炭酸ソーダ。セスキ炭酸ナトリウムが主成分だ。
「同じく弱アルカリ性で油汚れに効果のある洗剤では、重曹があります。重曹よりもアルカリが10倍ほど強いのがセスキ炭酸ソーダです。重曹は水に溶けにくいのですが、粉のままクレンザー代わりにして、キッチンシンクなどの掃除に使えます。それに対し、セスキ炭酸ソーダは水に溶けやすいのが特色。セスキ炭酸ソーダ水(セスキ炭酸ソーダ小さじ1に対し、水500ml)のスプレーにすると、使いやすくなりますよ」

セスキ炭酸ソーダ水をクッションフロアの汚れているところへ吹きかけて油性汚れを中和させながら浮かせ、しばらく置く。その後、メラミンスポンジでこすり取る。この方法で黒ずみがきれいに落ちるという。セスキ炭酸ソーダは、スイッチプレートやドアノブに付いた皮脂(手垢)汚れ、コンロまわりの油汚れなどを落とすのにも効果が期待できる。


講座ではさまざまな掃除道具や洗剤の紹介もあった。手前にある手袋は、マイクロファイバー製の掃除クロス。肌触りもよく、手にはめてからぶき用に使ったり、水でぬらしてブラインドのすきまを拭いたりするのに重宝する



カビ汚れを、水や中性洗剤でこすってしまうと、カビが増える!?


会場内のキッチンを使ってのデモンストレーションもあり、シンクまわりのカビ取りに役立つ掃除法を学ぶことができた。ポイントは、カビは見つけたら即、退治すること。
「たとえばシンクの排水口。長い間、手入れを怠ってしまうと、カビが大量に発生してしまうわけですが、それに対して水をかけたり、中性洗剤でこすろうとしてしまいがちです。それは絶対にやってはいけません。お風呂場の場合もそうですが、水や中性洗剤をかけてこすることでカビの胞子が飛び散ってしまい、カビを増殖させてしまうのです。カビもゴキブリと同じく、見つけたら躊躇せず、カビ取り剤(塩素系漂白剤)でやっつけてください」

デモンストレーションに使ったシンクの排水口は生ごみが詰まっていて、黒カビや水垢などで汚れていた状態だった。そこへ泡状のカビ取り剤を吹きかけ、10分ほど浸けおいたのち、歯ブラシでこすり、水で洗い流すという流れで藤原さんが掃除をしたところ、汚れが落ちてきれいになった。

シンクと壁のすき間のコーキング部分もカビが生えやすく、落としにくい難所だが、ここのカビ退治の手順はこうだ。
カビ取り剤をスプレーで吹きつけ、その上へキッチンペーパーをこよりにして置き、再度、カビ取り剤などをスプレーして浸みこませる。洗剤の成分を浸透させるためにラップで覆い、湿布をする。しばらく放置してから水ぶきをする。
「効き目がないなら、もっと強力な塩素系漂白剤でジェル状のものを使い、絵筆につけて汚れを落とす方法もあります。ただし、建材が傷むリスクがあるので注意してください」

驚いたのは、複合的な原因による「複合汚れ」なる現象も見られるということだ。その代表的な汚染スポットがシンクの水栓まわりだという。
「水道水のカルシウムなどによる水垢がつく場所なので、放っておくと頑固な汚れになります。また、調理中も水栓に触れるので、野菜や肉の汁、果汁、食器洗いの洗剤などさまざまな汚れが多量につきます。それらの汚れをエサにしてカビが発生したり、細菌が付いてしまうのです」

このような複合汚れにまみれた水栓まわりは、どう対処すればいいのか、藤原さんは論理的に教えてくれた。
「キッチンは食事をつくる場所なので、シンクの水栓まわりの掃除で最優先するのはお腹をこわす原因になってしまう細菌類やカビによる汚れをたたくことです」

まず、カビ取り剤をスプレーして泡立てて、その上をキッチンペーパーで覆い、洗剤の成分を浸透させる。その状態で10分程度おき、除菌漂白をして細菌類やカビをたたく。そして、カビ取り剤はしっかり洗い流し、その後に水栓の溝の部分にこびりついた汚れをこそぎ取る。道具はつまようじでもいいけれど、途中で折れてしまうかもしれないので、竹串を使うか、あるいはスキマ汚れ専用の道具を揃えておくといい。

このように何かと出番の多いカビ取り剤。液体はアルカリ性の液体だが、主成分は次亜塩素酸ナトリウム。強力な漂白作用や殺菌・消毒作用があるので、使用の際にはゴム手袋はもちろん、目に入ったりしないようゴーグルやマスクの着用、そして換気扇を回した状態にしておくことを心がけてほしいと藤原さんは言う。
また、カビ取り剤などの塩素系漂白剤には必ず「混ぜるな危険」という表示があるのだが、これは異なる洗剤同士を混ぜてはいけないという意味だけではない。正しくは、塩素系漂白剤と、酸性洗剤(クエン酸や酢など)を同じ場所で同時、もしくは連続して使ってはいけないということも含まれる。塩素ガスが発生してしまうなど生命にも関わる危険性があるので、要注意だ。


上)会場内のキッチンでのデモンストレーション 下)シンクの排水口にカビ取り剤をスプレー。10分ほどつけおくことが肝心



風呂場のカビ対策、そして「ピンク色の汚れ」を落とすには…


さて、カビ対策といえば浴室を見逃すわけにはいかない。

「カビは一回取ればいいというものではなく、いかに生やさないかということも含めて、長期的な展望にたって対策を考える必要があります」

まず、今、生えているカビをどうするか。液性の強いカビ取り剤を使って掃除をする方法もあるが、3年以上放置しておいた状態なら浴槽エプロンの裏側がカビだらけになっているケースが多いため、専門の掃除会社に依頼してプロの手を借りるのがおすすめという。そうしていったんリセットし、あとはカビが発生しないよう、日頃の掃除をしっかりやるのみだ。

浴室の普段のカビ対策で、最低限やっておきたいポイントは次の通り。
●くん煙剤タイプの防カビ剤を置き、黒カビの原因菌となる菌を除菌する。
3ヵ月に1度くらいの割合で行なう。
●排水溝や、壁と床の継ぎ目、四隅など、カビが発生しやすい場所は週1回、カビ取り剤をスプレー。10分~15分ほど置き、洗剤の泡を浸透させ、シャワーのお湯(50度以上)でよくすすぎ、洗剤成分を落とす。水ですすいでしまうと、カビが生えやすくなるので注意。
●浴室の換気扇は常に回しておき、浴室内の湿気を取り除く。

そして、浴室にはこんな汚れも潜んでいる。
「お風呂場の壁や床にピンク色っぽい、ヌルヌルした汚れを見ることも多いと思います。掃除をすると簡単に落ちますが、すぐにまた汚れができてしまう。これは、以前は赤色酵母や赤カビなどと呼ばれていたのですが、ここ数年の研究でメチロバクテリウムという細菌だということがわかりました。カビではないので、カビ取り剤が効かなくても不思議ではないんです。このピンク汚れの除去に対応した、浴室用中性洗剤が市販されているので、試してみてください」

こんな具合に論理的に掃除ノウハウを知ることができた講座。無精者の筆者だが、探求心が刺激されたのか、「今すぐ家の掃除をしたい!」と思ってしまった。掃除は家を長持ちさせるためには欠かせないこと。次はぜひ一般ユーザーのための科学的掃除講座を開いてほしい。


筆者が個人的にそそられたグッズが、浴室掃除のときに使えるというビニールレインコート。「洗剤の泡が跳ね返るのに備えて着用します」とのことで、100均でも売られている



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