イメージを一新した「南池袋公園」。緑が生む快適さと賑わいを地域に波及

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池袋駅至近に現れた緑のオアシス


池袋駅東口から徒歩約5分の昔ながらのビル街の中に、突然現れるオアシスのような「南池袋公園」。青々と広がる芝生のうえで、近隣の親子連れや学生、サラリーマンが思い思いにくつろぐ。幼稚園児たちが駆け回る。おしゃれなカフェ・レストランからは、おいしそうなコーヒーや料理のにおいが漂ってくる。同公園はリニューアルオープンから1年が経って、居心地のいい緑あふれる空間や魅力的なイベントなどから知名度が高まり、国内外のメディアの取材が後を絶たないという。

以前の同公園はうっそうと木々が茂り暗くて汚いイメージがあった。「住所不定の方などが集まり、区民が気軽に利用できる場所ではありませんでした」と、豊島区担当者。


公園の全景。芝生広場の周辺を散歩道と植栽、遊具が囲む



プロデュースはランドスケープデザイナー


1年中緑を保つ芝生広場を囲むように、桜の木の下に設置した階段状のウッドデッキ「サクラテラス」、小山に見立てたすべり台やシーソーなどの遊具がある「キッズテラス」、そしてオープンスタイルのカフェ・レストラン「RACINES/ラシーヌ FARM to PARK」(以下、ラシーヌ)が配置され、魅力的な空間が構成されている。園内には四季折々の草花、計2,500本が植えられている。リニューアル計画の総合プロデュースは、豊島区が業務委託したランドスケープ・プラス(文京区)が担当した。

ラシーヌは池袋を拠点として人気飲食店を展開する事業者、グリップ・セカンド(豊島区)が運営している。事業者は区がプロポーザル方式の審査で選定した。食や演出に実績のある店舗を誘致することで、より質の高い空間や公園周辺の賑わいの創出を狙った。


<上>木々の木陰で休めるウッドデッキ「サクラテラス」。ここの木々は従前の公園のものを生かした <下>子供たちも芝生の上で寝転んだり、駆け回ったりして自由に遊ぶ



暗いイメージを、明るく爽やかに一新


同公園の最初の開園は、戦後間もない1951年にさかのぼる。戦災で焼け野原になった地域に区画整理事業で誕生した。1980年代までには暗く危ない場所として認識され、しばらく区民が近づかない状況が続く。転機は2007年に訪れた。東京電力から区に申し出があり、同公園地下に変電所を設置する計画がスタート。この工事に伴って2009年から6年半の間閉鎖し、大々的にリニューアルを図った。全面開園に至ったのは2016年4月のことである。

区は公園のリニューアルに向け、周辺地域の地権者などにヒアリングを行ったり、ワークショップを催したりして、区民の意見をまとめていった。それらの意見を踏まえ、総合プロデュースを担当したランドスケープ・プラスは、以前の暗い印象を一新するデザインだけでなく、公園内にカフェなどを併設し収益の一部を地域協議会「南池袋をよくする会」の運転資金に充てる仕組みを提案した。カフェを導入し、区民らと持続可能な管理運営を実施している事例として、隅田公園(台東区)を参考にした。

東日本大震災の経験から、池袋駅至近に位置する同公園には防災拠点としての機能も持たせた。多数の帰宅困難者を受け入れるため、食糧や水、毛布をストックした備蓄倉庫のほか、災害時用のマンホールトイレを備えている。ラシーヌは、区と連携して帰宅困難者などに炊き出しの支援を行う体制になっている。


カフェ・レストラン「ラシーヌ」は地上2階、建築面積265.27m2、延床面積439.65m2。飲食店のほか教養施設(2階)、備蓄倉庫、管理室、トイレがある



運営は地域住民参加型に


同公園は、地域住民の参加による運営管理も特徴のひとつだ。2016年のリニューアルオープンに当たって、地域住民の持続的な関わりを目指し、区とカフェ・レストラン事業者のグリップ・セカンド、ランドスケープ・プラスのほか近隣の商店会、町会、周辺の地権者がともに管理組織「南池袋公園をよくする会」を立ち上げた。同組織は、主に、同公園での地域貢献活動やイベントの実施などに関わる。区担当者は今後の動きについて、次のように説明する。
「現在は区が事務局を担っているが、後々は会に関わっている区民の皆さんが主体となって運営することが理想です。区民の意見を一層広く把握し、運営に反映できるのではないか」

2017年4月からは、同公園や池袋東口グリーン大通りなどの公共空間を活用し、一帯に賑わいの創出に資するプロジェクトの実施者として新たに民間主導のPPPエージェント会社、nestが活動を開始した。公募型プロポーザルによって区から選ばれたもので、契約は1年間だ。nestは豊島区で生まれ育った、まめくらしの青木純氏と、公共R不動産などを運営するopenAの馬場正尊氏が共同で代表を務め、まちづくりや都市計画に詳しい大学教授などを含む計6名で構成されている。毎月第3週には定期的に大通りと公園を中心にマルシェを開催するほか、ウェディングパーティなどこの公園の魅力を生かす企画を予定する。いずれのイベントも、WebサイトやSNSなどを通して区民を中心に参加を呼び掛けていく。


池袋駅から徒歩約5分の昔ながらのビル街の中にある「南池袋公園」がリニューアルされて1年が経過。以前は暗くて汚いイメージだったという場所は明るくさわやかに一新され、地域の人々の憩いの場へと変化していた。



豊島区内に新たな公園が次々誕生予定


今後、区では順次、公園の新設やリニューアルに取り組む予定だ。特に目を引くのは、サンシャインシティそばの造幣局東京支局跡地を活用した、約1.7haもの造幣局地区防災公園(仮称)。西側を池袋副都心エリア、東側を木造住宅密集地域に隣接する約3.2haの敷地で、災害時の地域住民の迅速な避難に対応し、木造住宅密集地域からの延焼を遮断する役割を果たす。このほか、豊島区庁舎跡地エリアに建設される複合商業施設、「ハレザ(Hareza) 池袋」周辺の公園も大々的にリニューアルする。

「南池袋公園を単に踏襲するのではなく、それぞれの地域の役割に合う公園となるように計画をすすめていく」と区担当者は語る。

地元の人にも近寄りにくいと言われていた公園が、リニューアルにより区内外から老若男女が集いくつろぐ憩いの場に変わった。今後のさらなる賑わいや楽しい使いこなしも期待できそうだ。


小山に見立てた曲線の滑り台。ベンチがわりにする人も



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