公共空間がそのまちの個性に~グリーン大通り周辺、南池袋公園一体ではじまる新しい公共空間の活用

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池袋のあたらしい"まちの顔"、南池袋公園


住まいを探すとき、そのまちにあったら嬉しいものはなんだろう。スーパー、コンビニ、ドラッグストアにDVDのレンタルショップ…。真っ先に、生活に必要な商業店舗や飲食店などを挙げる人が多いだろう。都市の駅前にはその需要に応えるように、生活に欠かせないこれらの店舗をよく見かける。そこに、買い物などの利便性だけではなく、心地よく過ごせるひとつの場所として、お気入りの公共空間、「公園」があったとしたら、"その街だからこそ住みたい"と思える要素のひとつになるのではないだろうか。

豊島区の南池袋公園は、6年半の閉鎖を経て2016年4月にリニューアルオープンして以降、昼夜問わず多くの人で賑わう人気のスポットに変化した。
南池袋公園の周囲に与える影響が暗く近寄りがたいイメージから、180度逆に変化したことによって、新しい池袋の"まちの顔"になりつつある。南池袋公園によって繁華で賑わうまちだけではない、新しいまちの価値が池袋に加わったと言っていいだろう。

この南池袋公園と数メートルで接続する「グリーン大通り」は、2016年4月に国家戦略特別区域法に基づく計画が承認され、これまでは実施できなかった道路空間の活用が期待されている。
この流れを受け、豊島区は、まちの魅力向上や賑わいの創出を目指す「グリーン大通り等における賑わい創出プロジェクト」の実施者を募集。2017年4月、その実施者として株式会社nestが選定された。nestの青木純氏に、今後の展望について伺った。


子供や家族連れ、学生や高齢者など、幅広い年齢層の人で賑わう南池袋公園



豊島区に拠点を持ち、としま会議、豊島区の活性化に関わる


青木氏は、DIY型賃貸の先駆者であり、全国各地の空き家再生やリノベーションまちづくりを手掛け、"住まい"だけに留まらず、"まち"を変えるために日々取り組む。豊島区に生まれ育ち、豊島区の面白い人たちが集まるコミュニティ&イベント「としま会議」をはじめた人でもある。

南池袋公園との関わりが生まれたきっかけについて聞いた。

「南池袋公園のカフェ・レストラン事業者、『RACINES FARM to PARK」(以下、ラシーヌ)』を運営する株式会社グリップセカンドの金子さんとは、地元ということもあって、もともと付き合いがありました。ちょうど南池袋公園のリニューアルオープンのイベントを控えていた頃、金子さんから『リニューアルの日を形式的な行事だけにしたくないから、手を貸してほしい』と声をかけられました。よくあるテープカットとスピーチだけではない、"これからの南池袋公園"が楽しみになるようなイベントにしようと、コンテンツを企画しました。
芝生広場でのヨガのワークショップや、公園についてのトークセッションを開催したり、それを聞いている人や遊ぶ人、それぞれの空間で思い思いに寛ぐ人たちがいました。マルシェは地元の人を中心に出店者を募り、1日中賑わっていました。ラシーヌの2階では親子で参加できるアイシングクッキー教室をやったり、行事としてだけではなく、多様な公園での過ごし方ができる1日になったと思います。」

住民と大家がともに住まいをつくるDIY型賃貸のように、オープニングイベントも、ただ式典に区民が参加するという受け身なものではなかった。マルシェの出店者やヨガのインストラクター、生演奏のミュージシャンなど、その日のイベントに関わった人たちは、青木氏が豊島区での取組みなどを通じて繋がった人たちだという。

「みんな積極的に関わってくれて、豊島区民自らが参加して、つくるイベントになりました。公園が心地よい場所になって、地域の価値が上がる。それは、そこに住む自分たちにとっても嬉しいことですしね。」


nestの青木純氏と、宮田サラさん



公共の場、だからこその制約や運営の難しさ


そのオープニングイベントの動画をUPしたところSNSで拡散され、話題に。多くの人が目にし、あちこちから反響があったという。

「イベントに参加した人や動画を見た人から、また公園を活用したいという問合せをたくさんもらいました。でも、規制もあり結果的に断ってしまうことも多かった。せっかくこれからに期待してくれているのに、応えることができないことに危機感があります。
イベントをやりたいと思っても、どこを窓口に言えばいいのか分からないという課題もあります。これからは、公園の利用について相談したり、みんなが意見が言えたりするよう、それを受付できるサイトをつくっていきたいですね。
致し方ない事ですが、公共の空間だからこそ規制があって、マルシェをやるにも警察に届け出をだしたり、場合によってはセキュリティを手配したりとやるべきことはたくさんあります。公園をみんなが使いやすくしてけるよう、規制を緩やかに緩和していきたい。」

1年を通して緑の芝生を維持するには、丁寧なメンテナンスが必要となるそうだ。

「芝の補修や養生期間を設けるため、芝生に入れない期間が発生します。芝生を維持して、みんなが心地よく過ごせる、そのためには理解と協力が必要です。芝生に座るとき、ついビニールシートを敷く人が多いのですが、実は芝生にとってはよくない。公園の黒板にいまの芝生の状態や養生期間を書いたり、芝生について知ってもらう紙芝居を作ったり、情報発信をしています。」

また青木氏は、公共空間は教育の現場としての可能性に満ち溢れているという。

「お子さんたちが芝生を楽しんでくれているのを見ると、見ているこちらも笑顔がこぼれます。子供たちが楽しんでいると大人も楽しそうです。この大人たちが楽しんでいる姿こそ、子供たちにとって大切だと思うんです。大人がどのように過ごすのか、子供たちはよく見ています。まちなかの公園やストリートが居心地の良いリビングのような空間に、そして非日常だと思っていた楽しい出来事が日常になったら、子供たちの夢は膨らむと思うんです。この場所がこのまちで生まれ育った子供たちの巣のようになってくれたら嬉しいですね。」


(画像上)ラシーヌそばにある大きな黒板。芝生のメンテナンス情報や、草花の開花情報、イベント情報などをチェックすることができる<br>(画像下)芝生の上で走り回る子供たち



公共空間を舞台に、新しい実験が動き出す


4月からスタートした「グリーン大通り等における賑わい創出プロジェクト」。今後どんな展開をしていく予定なのだろうか。

「グリーン大通りと南池袋公園を一体利用し、周辺を含めた試みを進行中です。毎月第3週の週末に実施している『nest marche』(以下、マルシェ)で大通りや周辺への回遊性を図っていきたい。マルシェには豊島区に関わりがあったり、豊島区をよくしたいと思っている人たちが出店しています。夏は夜をメインにナイトマルシェを、11月には最大規模のマルシェを予定しています。
他にも、広場ではフリーWi-Fiが利用できるので、1日公園をオフィスにしたり、地元の企業を巻き込んだ新しい企画も検討中です。公園で子供達が大人と一緒に映画を楽しめる『nest cinema』の企画も進めています。
当初契約期間は1年なので、全ては出来ないかもしれませんが、どんどん実験をして新しい取組みをしていきたい。今まで公共空間でやらなかったことをやることで、それが新しい風景になっていく。日常を過ごす公共空間を、楽しい出来事が起こる劇場にしていきたい。公共空間の過ごし方にそのまちのライフスタイルが表現されて、まちの特徴にもなっていくのではないかと思います。」

「nest」には、通り過ぎるだけの公共空間に心地よい"巣"をつくる、という意味が込められているそうだ。
「このプロジェクトで新しい公共空間の活用の仕方を試して、それを今後は日本の公共空間をよくしていくことに活かしていきたい。日本全国に居心地の良い公共空間をつくっていくのが目標です」と、青木氏。

そのまちらしい、個性のある公共空間が増え、そこで過ごす時間が充実したら…ライフスタイルや、住まい選びにも変化が起きるかもしれない。リニューアルから1年が過ぎた南池袋公園は、公共空間の一体活用でさらに挑戦を続ける。

南池袋公園オープニングムービー
https://vimeo.com/163057777

南池袋公園
http://ikebukuropark.com/mip-greenblvd/


「nest marche」の様子。グリーン大通りから南池袋公園を繋ぐようにショップが並ぶ。<br>移動式の本屋、コーヒーや手作り雑貨、インテリアやアクセサリーなど様々なジャンルのお店があり、つい長居したくなる



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