防災の日に考えておきたい震災被害にあった直後のこと。生活再建のための支援とは?

LIFULL HOME'S PRESS

防災の日に考えておきたい震災被害にあった直後のこと。生活再建のための支援とは?の記事画像

震災被害にあった直後が大問題。どうしたらよいか、見当もつかない事態に


地震大国ニッポン。頻繁に起きる地震や土砂災害。…もはや震災は、いつどこで起きても不思議ではない。画像は地震調査研究推進本部発表、2017年3月3日現在の主要活断層の調査評価結果である。

大震災に見舞われた場合を想定して考える際には、2つのことを思わねばならないという。1つは、自分自身の死。遺族に何を残してやれるのか。自身が他界した場合を想定し、決めごとをしておく必要性。伝えねばならぬことをどうまとめておくか、どう伝えるか。
もう1つは、幸い命が助かったとして、先に続く人生をどう再建するのか。『助かった=安堵』の先にある現実を受け入れ、生活を立て直すための行動をいち早くとらねばならない、ということを知っておくことだ。つまり、『生活再建のための基礎知識』が最も重要なのだ。
備えあれば患いなし。9月1日の防災の日を前に、震災後の生活再建に関する『知識の備え』について防災・減災研修を多く手がける弁護士、岡本正氏を取材した。


地震調査研究推進本部が発表した『主要活断層の調査評価結果(2017年3月3日現在)』



生活の再建に向けて、まずは罹災証明書の取得を!


岡本弁護士は、内閣府で上席政策調査員として勤務中に、東日本大震災を体験。被災地で相談を受けた約4万件の声を取りまとめ分析し、体系化し法改正や新制度構築を図って『災害復興法』を創設した。
岡本正弁護士が強調することは、震災直後に家屋の倒壊などの大きな被害に見舞われた場合どうするか、である。何はともあれ無事避難でき、避難所暮らしに明け暮れる日々に、まずもって乗り越えなければならないことが、"生活再建"という課題である。家、お金、仕事という生活の基盤をどう立て直すか。先が見えずに不安が募るものだが、その試練を乗り越え、第一歩を踏み出すための公的支援を知り、自身の生活を再建する道筋を思い描くことが重要だ。
大震災に見舞われた地域が『災害救助法』と『被災者生活再建支援法』の適用を受けた時に得られる支援の概要と手順、重要な手続きなど、いくかのポイントを岡本弁護士に伺ってみた。画像は銀座パートナーズ法律事務所所属の岡本正氏。

1)『罹災証明書』の取得
すべては「罹災証明書」の取得から始まる。家屋の被害程度を証明するもので、市区町村へ申請し、調査を経て発効される証明書で、発効までに数週間から1ケ月以上かかる。罹災証明書は被災者生活再建支援金の申請、税金の減免、公共料金の減免、各種融資の申請、共済金の支払い請求、義援金の受け取りなどの際に必要。

これは生活再建の最初の第一歩となる重要な証明書で、家屋の被害程度は「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」、「一部損壊(半壊未満)」などに区分けされる。この被害程度によって、のちに受けられる公的支援が異なるので、家屋全体、屋根、柱、壁などの構造部分について写真を撮っておくことが重要だ。


銀座パートナーズ法律事務所所属の岡本正氏



生活再建の第一歩を踏み出すための支援とは


2)支援金の受給
つまり、支援金の支給を受けることだ。生活基盤(住宅)に著しい被害を受けた場合に「世帯」に支給される被災者生活再建支援金。基礎支援金と加算支援金を合わせて最大300万円が給付される(一人暮らし世帯は減額)。
基礎支援金は使い道が自由なので、災害直後の困難な時期には頼りになる給付金だ。

基礎支援金として、住宅が全壊、または被害を受け解体した世帯=100万円、住宅が大規模半壊した世帯=50万円。重ねて加算支援金として、建設・購入する場合の支援=200万円、補修費用=100万円、公営住宅以外に賃貸する場合=50万円で、罹災証明書を受け取るタイミングで自治体の窓口に申請できるしくみだ。

3)災害弔慰金・見舞金の受給
災害により死亡した方のご遺族に対しては「災害弔慰金」が、災害により精神または身体に著しい障害を受けた方には「災害障害見舞金」が支給される場合がある。
災害で直接亡くなった方だけでなく、災害が影響して亡くなったと認定された「災害関連死」の遺族にも支払われる。災害弔慰金は最大500万円で、遺族に一定の収入があれば250万円となる。災害障害見舞金は最大250万円、遺族に一定の収入があれば125万円となる。これは、差押禁止財産扱いである。

4)義援金
義援金は自治体を通じて罹災証明書の被害認定の程度や、家族が亡くなるなどした場合に応じて分配されることが通常。事業所が被災した方についても分配される場合がある。こちらも差押禁止財産だ。

5)住宅ローン免除・減額
災害によって『個人』の住宅・事業・自動車・その他のローンが支払えなくなった方は、一定の条件を満たすことで、「自然災害再建制度ガイドライン」(被災ローン減免制度)が利用できる場合がある。手元に一定の資金(現金・預金、義援金、支援金、弔慰金などの差押禁止財産、生活必需の自動車など)を残したまま、それ以外の保有財産では支払えない部分のローンを減免できる制度。破産のように信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されることはなく、連帯保証人にも原則請求されない。個人の再生にとって大きな後押しになる制度で、災害時にはまず、借入先の金融機関に問い合わせて「支払猶予」を申し出、その後に弁護士の無料相談窓口などを通して弁護士の力を借りて各手続き、書類の作成などを行う。

6)その他の支払い免除
災害後には、所得税、固定資産税、健康保険料、上下水道代、電気代、ガス代、固定電話代、NHK料金、携帯電話代、保険料、共済掛け金など税金や公共料金、その他月々の支払減免措置、期限猶予などを受けられる場合がある。税務署、自治体、契約している会社に問い合わせたり、ホームページで確認されることをお勧めする。これらは「罹災証明書」の発行を待つ必要のない場合があるので、できることから順序良く手続きを進めるとよい。

7)損害保険・生命保険
証券紛失などで契約会社が判らない場合でも、損害保険協会・生命保険協会に照会することができる。また、損害保険の被害調査を簡略化し、保険金の支払いを迅速化する特例を講じる場合もある。さらに月々の保険料や共済量の支払減免や猶予措置が取られる場合があるので、まずは契約会社へ問い合わせを。その際、証券等が手元になくとも、住所と氏名、その他本人確認項目を伝えることで手続きが進むので、自宅に戻って書類を探すのではなく、まず問い合わせを先に。各社のホームページにおいても、随時対応を公表していることが通例だ。


地震大国ニッポン。もはや震災は、いつどこで起きても不思議ではない。備えあれば患いなし。9月1日の防災の日を迎えるにあたり、震災後の生活再建に関する『知識の備え』について防災・減災研修を多く手がける弁護士、岡本正氏を取材した。



住宅の支援について


8)避難所の環境改善の要望
自宅を失った場合、新しい住宅を確保できるまで避難所生活が続く。この生活は長期化することもあり、プライバシー保護、入浴、洗濯の機会の確保、暑さ対策などが重要になる。
このため、災害救助法の国庫補助対象として、簡易ベッド、畳、マットや間仕切り、さらに仮設トイレ、仮設洗濯場、簡易シャワー、仮設風呂、仮設炊事場などが事務処理要領に例示されている。この要領の例示を根拠に、自分に必要な設備補充などを、市町村の窓口や避難所運営責任者に要望するとよい。

9)仮設住宅への入居
住宅が全壊、または大規模半壊された方は、県や市が建設する応急仮設住宅(軽量鉄骨、プレハブか木造)と、県市が借り上げた民間賃貸住宅(みなし応急仮設住宅)に入居できる。熊本地震では半壊の場合なども応急仮設住宅に入居可能なケースもあったので、県市の担当者に尋ねると良い。
仮設住宅の賃料は無料、みなし仮設も1ケ月あたり家賃が原則6万円以下であれば行政が負担、光熱費は被災者負担となる。
みなし仮設は県市が借り上げるものが原則だが、最初に被災者が見つけた賃貸住宅も遡って対象にできる。双方とも、入居期間は最長2年間だが、過去の災害では延長された事例も多々ある。なお、みなし応急仮設住宅は大家の意向もあるので、延長が円滑に進むかはわからない部分もある。

10)公営住宅(災害復興公営住宅)への入居
住宅を失った被災者で、自力で住宅再建が困難な場合には、県または市町村が整備する公営住宅に入居が可能。
熊本地震に対応した公営住宅の建設、または民間住宅の借上げの際の整備に対しては、国が通常の2分の1ではなく4分の3まで補助。
また、病気にかかっているなど特別な事情がある方の家賃を、県または市町村が通常の公営住宅の家賃よりもさらに減免する際は、そのために必要となる財源のうち3分の2(当初5年間は4分の3)を国が補助。
応急仮設住宅と異なり、恒久的な住宅なので、被災者に提供されるのには時間がかかるが、必ず事前に広く入居の公募がある。

11)被災住宅の応急修繕
住宅が半壊、大規模半壊した場合(全壊でも応急修繕して住める場合を含む)で、仮設住宅を利用しない場合には、被災した自宅の屋根、居室、台所、トイレなど日常生活に必要な最小限の部分は、市町村が業者に委託して修繕を行う。
その修理限度は1世帯あたり57万5,000円。全壊、大規模半壊では所得制限はないが、半壊の場合には原則年収500万円以下となる。実施期間は災害発生から1ケ月で完了に努めることになっているが、実施期間の延長も認められ、市町村と相談となる。
上記の応急修理を超えた部分の本格的な修繕については、住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資(補助資金)」が金利の一部を国が負担するため有利だ。

12)住宅の『自力再建』
住宅を自身で再建する場合には、住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資(建築、購入資金)」において、金利の一部を国が補助している。最長35年固定、(2017年8月25日時点で)0.63%である。
以上出典『震災リゲインプレス』7月31日付で号外「九州豪雨生活再建情報」より

さらに、災害時、弁護士会は面談や電話により情報提供・法律相談支援を行なっている。住まい、お金、支払い、行政に関する情報をまとめた「弁護士会ニュース」を発行し、弁護士会のホームページに掲載しているので、ぜひこれらを活用してほしい、と岡本弁護士。

9月1日『防災の日』。何気ない日常、少し空いた時間に、防災について考えてみてはいかがだろうか。

■内閣府『被災者支援に関する各種制度の概要』
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf

■特定非営利活動法人 震災リゲイン発行「震災リゲインプレス」は、災害専門の情報誌として季刊で無料配布されている。今回の取材させて頂いた岡本正氏ら内閣防災で法制度に携わられた方による監修で災害に対する情報が満載されている。
http://shinsairegain.jp/2017/08/04/srp-gogai/


地震大国ニッポン。もはや震災は、いつどこで起きても不思議ではない。備えあれば患いなし。9月1日の防災の日を迎えるにあたり、震災後の生活再建に関する『知識の備え』について防災・減災研修を多く手がける弁護士、岡本正氏を取材した。



[関連記事]
"今やろう"!すぐに使える災害への備えが満載の『東京防災』。実用性を追求した理由を聞いてきた
熊本地震被災地で仮設住宅の環境改善を支援。建築系学生による「KASEIプロジェクト」
移設可能な「コンテナハウス」。シェルター・災害住宅・セカンドライフ住宅など幅広い可能性も
災害後の住まいとなる応急仮設住宅の制度とその実状とは?
全国の様々な防災情報を一括で確認できる『国土交通省ハザードマップポータルサイト』

出発:

到着:

日付:

時間:

test