個人の資金を集めて社会を変える。クラウドリアルティが変えるまちへの関わり方

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京都の町家再生で注目、投資型クラウドファンディング


クラウドファンディングとはアイディアやプロジェクトの起案者が専用のインターネットサイトを通じてその意義や商品の将来性などを世の中に呼びかけ、共感した人たちから広く資金を集める方式である。長らく寄付という文化は日本には向かないと言われてきたものの、2011年の東日本大震災以降、社会に目を向ける人、貢献したい人や考える人などが増えたせいだろうか、徐々に広がっており、ある一定の年代以上には一般化しつつあるといえるようだ。

国内のクラウドファンディングには
①寄付型→集めた資金は全額寄付に充て、支援者へのリターンは無し。プラットフォーム事業は双方のマッチングを行う。
②購入型→集めた資金はモノやサービス(の製作)に充て、支援者はリターンとして完成したモノやサービス(またはその一部)を受け取る。プラットフォーム事業者は双方のマッチングを行う
③融資型→集めた資金は貸付に充て、出資者へのリターンは貸付事業での金利収入等を原資として分配を行う。プラットフォーム事業者は自ら貸付事業を行う
④投資型→集めた資金は投資に充て、出資者へのリターンは投資事業で得た収益を原資として分配を行う。プラットフォーム事業者は自ら投資事業を行うこともあれば、出資を募る事業者と出資者のマッチングを行うこともある

という4種類がある。これまで日本では①②が先行、善意を元にしたものが中心だったが、最近、不動産、特に空き家などを対象にした③④が登場し始めている。そのうちでも最近、京都の町家の再生その他、目に見える形での成果を出し、注目を集めているのが④の投資型クラウドファンディングのクラウドリアルティである。


2011年以降、日本でもクラウドファンディングが一般化しつつある。その中でも空き家の再生や不足する保育園建設に寄与する、投資型でありながら社会に貢献する仕組みが注目を集めている。どこに魅力があるのだろう。



一口15万円からの投資に想定利回りが10%


同社が最初に国内で手掛けたのは京都の町家である。市内でも観光客が多く集まる東山区五条坂下エリアにある、古すぎて築年数不詳という木造2階建てで延床面積が50.84m2の建物だ。立地の良さから再生を試みた人はいたものの、銀行の融資が付かず、長らく空き家のままだったという。

その建物に目をつけたのが町家を一棟丸ごと宿泊施設として貸し出すやり方で事業を行っている株式会社トマルバ。物件取得及び改修費用をクラウドファンディングで集めて改修。同社が運営を行い、約3年後にはファンド事業者であるクラウドリアルティから別のオーナーへと宿泊施設の持ち主が変わる、つまり、ファンド事業者としては宿泊施設を売却するという計画で出資を募った。

運営期間中はその宿泊施設の利益から、ファンド終了時には宿泊施設の売却益分も含めて出資者にリターンが払われる仕組みである。トマルバにとっては立上げ時のリスクマネー(資金の出し手がある程度のリスクを負いながら投じられるお金のこと)を広く募りつつ、約3年後に新たなオーナーへと宿泊施設の持ち主が変わっても運営を継続することが想定されている。宿泊施設が安定稼働するようになれば、銀行借り入れ等も活用することができるようになる。

出資額は一口5万円で最低3口から。つまり、15万円からである。しかも、想定利回りは税引き前で年間10.0%(同社の手数料控除後)である。これはすごく簡単に言うと100万円を出資したら、3年後に約133万円になって戻ってくるという計算だ。もちろん、投資だし、想定利回りだから、確約されているわけではなく、リスクもある。だが、今どきの金融商品に比べてはるかに高利回りであることは間違いない。


募集内容。以降のページではプラスもマイナスも含めて投資の内容が記載されている



社会的意義に賛同、ビジネスに参加する意識で出資


同じ投資でも金融商品への投資と違い、不動産への投資は金額が大きい。一般的な会社員などであれば、ハードルが高いと思う人も少なくない。だが、比較的少額から始められ、しかも、想定利回りも高いのであれば、投資してみたいと思う人がいても不思議はない。

結果、第一号案件の京町家は2017年5月25日~の3週間で110人から7200万円を集め、事業がスタート。6月28日から改修が始められている。これなら自分にも始められる!と思った人が多かったのだろう、出資したうちの約65%が不動産投資経験のない人たちであり、かつ30代(40%)、40代(27%)の若い人が多かったという。

手軽で高利回りに加えて、もうひとつ、大きかったのは社会的な意義だと同社取締役の山田恭平氏。「空き家になってしまった京都の町家。なんとかしたいと思っている人は少なくないはずですが、思いはあっても投資家一人のお金の力だけでは物事を解決するのは難しい。でも、そういう人が数多く集まれば、一人の負担は少額でもまとまった金額になり、空き家を再生できる。まして宿泊施設になるのなら、泊まりに行き、自分の出したお金がどのように使われたかを実感することもできる。社会に役立つビジネスをしたいと考える個に対して、個人が参加する、そうした意識で出資した人が多かったのではないかと思います」。

クラウドファンディングが始まって数年。個人の思いに共感、そこにお金を出すというやり方が日本にも根付いてきたということでもあろう。


投資経験のない、若い世代が中心となって出資をした



相反する法律の要件を調整、新たな仕組みを創出


クラウドリアルティは学生時代に建築を学んでいた鬼頭武嗣氏が創業した。不動産の証券化やJ-REITの資金調達のアレンジやM&Aのアドバイザリーなど幅広い仕事をする中で、小規模な不動産でも公募で資金調達できる仕組みを作れないかと思ったのがきっかけだったという。

J-REITも個人や機関投資家の資金をまとめて大きくし、それで不動産を投資運用する仕組みだが、規模は大きく違う。許認可取得、情報開示などに多額のコストがかかるため、大型物件を扱わないとペイしないのである。数千億円~数百億円単位、少なくても数十億円というから、空き家のような規模には使いにくい。そこで小さな物件を作るためには新しい仕組みを作る必要があった。そしてこれが実に難しかったという。

不動産取引、不特定多数から資金を集めるなどのために様々な法律が関わる。しかも、面倒なことに各法律が相反する要件を必要としていることが多々ある。たとえば、改正前の不動産特定共同事業法ではすべてのプロセスをオンラインでは完結できない。だが、クラウドファンディングでお金を集めるためには電子募集は必須だ。貸金業法ではお金を借りた人の権利を守るために詳細な物件情報を出すことができない。ところが、金融商品取引法では投資家保護のため、情報公開が義務付けられているなどなど。同社では金融庁、国土交通省、関東財務局などと密接に投資スキームを相談し、関連するすべての法律を遵守できるものとして事業をスタートしている。

空き家を再生するだけでなく、そこでのビジネスで利益を上げなくてはいけないことを考えると、事業の成否を判断する目も必要だ。だが、それらの障壁を乗り越え、同社では以降京都、渋谷区代々木上原の2件の案件を成立させ、運用が始まっている。

1号案件の成功がテレビで取り上げられたこともあり、現在、同社には個人のみならず、地方公共団体、地方銀行その他から多数の遊休不動産の相談が寄せられているという。だが、問題はその地域に不動産を活用、収益を上げられるビジネスができる事業者がいるかどうか。その意味では空き家利用、それによる地域再生はその土地の人材の有無にかかっているとも言えるわけだ。


空き家再生ではなく、土地を買って保育園を含む建物を新築というプロジェクトで使われたイメージビジュアル。保育園の足りないエリアに建設という計画で地元の人たちからも関心を集めた



東京駅を日本国民全員で所有?


取材の最後に「これから、どのような物件を再生したいと思いますか?」という質問をした。その答えが刺激的で面白かったのでご紹介したい。

「いずれは商店街まるまるとか、地域の核となる建物の再生をやってみたいですね。あるいはインフラを直したいという個人の思いに共感した多数の個人で保有する。かなり変わった視点ですが、たとえば東京駅を日本国民みんなで持つ、そんなことができるような世界観が実現するようになれば、まちや社会は大きく変わるのではないかと思っています」。

東京駅をみんなで持つ? 

最初、意味が分からなかった。だが、もう少し身近な例で考えれば見えてくる。たとえば自治体が所有する体育館を自分で資金を出して買い取り、共有すると考えてみたらどうだろう。誰かのおカネで誰かが運営している体育館は遠い存在だが、いくら少額でも自分が出資しているなら、閑古鳥が鳴くままにはしないだろう。どうやったら稼げるようになるか、自分の問題として考えるだろう。資金を出すことによって社会の問題を自分のこととする。それがクラウドファンディングの意味なのである。

その具現化として考えた場合、不動産は分かりやすい。なにしろ形があり、目に見える。今の世の中、私も含め、平凡な個人の意思や貢献が形として出現することはほとんどあり得ない。だが、不動産再生であれば必ず見える。自分がこの建物再生に関わったと思えばその達成感はかなり大きいはず。一度は関わってみたいものである。

クラウドリアルティ
https://www.crowd-realty.com/


2011年以降、日本でもクラウドファンディングが一般化しつつある。その中でも空き家の再生や不足する保育園建設に寄与する、投資型でありながら社会に貢献する仕組みが注目を集めている。どこに魅力があるのだろう。



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