「エコ設備」×「ぬくもり工房」の体感ラボ!愛知県碧南市の「風の井戸」を見てきた

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創業110年を超える会社が手掛ける


名古屋の南東に位置する愛知県碧南市。臨海工業地域としても発展してきたこの町に、童話の世界のようなかわいらしいデザインのモデルハウスがある。住宅街でひと際目立つ建物は、静岡県浜松市の「ぬくもり工房」のデザインによるものだ。筆者は以前、同じ「ぬくもり工房」がデザインした愛知県江南市のDIYショップを取材したことがあり、そのかわいさは強く印象に残っている。

このモデルハウスを建てたのは、碧南市に本社を構える梶川建設だ。1905(明治38)年に造船業で創業し、現在は地盤に関する工事を行うパイラー事業部と建設事業部を備える総合建設企業となっている。学校建設など公共事業も手掛ける同社が、なぜかわいらしいモデルハウスを造ったのか。そこには、4代目社長・梶川光宏さんの熱い思いがあった。

「社長は、建設業のイメージを壊したいという思いを持っているんです。男だけの泥臭いイメージではなくて、建設に“かわいい”という表現があってもいいのではないかと、ここが建てられました」と教えてくれたのは、今回取材を担当していただいた管理部の古居秀崇さん。

そんな社長の思いと、少し前から会社で導入していた地中熱によるエコシステム「ジオパワーシステム」をマッチさせて完成したのが、「風の井戸」だ。今回は、“体感ラボ”と称するこのモデルハウスを見学してきた。


壁から飛び出した木の枝も目を引く外観。近所の子どもたちの待ち合わせの目印にもなっている。また、ここを造ったことで、梶川建設では女性の入社希望が増えるという思わぬ利点もあったそうだ



地中熱を利用したジオパワーシステムとは?


ジオパワーシステムは、地中に専用のパイプを埋め込み、取り込んだ外気を地中で温度や湿度を調整して、壁に設置されたパイプを通って室内に送り出す仕組みになっている。イメージとしては、井戸水と同じ。地中内は外気影響されにくいため、常に温度が安定しており、その地熱を利用することで、夏は涼しさが、冬はほんのり温かい空気が家中に伝わるというものだ。天候に左右されることもない。自然のエネルギーを使った、地球そして人の体にやさしいエコな換気システムとして注目されている。

真夏日などはエアコンが必要になるが、それでも冷暖房費はかなり抑えられて、年間でおよそ50%の節約になることもあるという。CO2の削減も実現している。また、換気システムということで、空気浄化を図れるのもポイントだ。パイプ内で花粉、PM2.5、ホコリなど空気中の汚れを自動除去する。省エネ性を含む地球環境に配慮したシステムで、環境大臣賞を受賞している。

「この家のデザインは、都会というより、自然の中にあるイメージを持つ雰囲気なので、その雰囲気とジオパワーシステムがマッチしていると思う」と古居さん。デザインイメージに合った現代の技術を駆使したシステムが備わった家ということだ。

加えて、屋上にはハイブリッドソーラーを設置。太陽熱を利用した床暖房が家中で24時間利用できるようにしている。


風の井戸では、地中に埋め込むパイプ(写真上段中央)や地中熱を家の中に送るパイプ(写真上段右)などが見えるようにされた場所がある。また、左上の写真のように、外壁に外気温と地中温度の表示と共に、ジオパワーシステムの仕組みを紹介する看板を取り付けている。写真右下はハイブリッドソーラーを設置した屋上の様子



家の中に井戸が 換気システムを体感できるモデルハウス


このモデルハウスの大きな特徴となっているのが、名称にも表される“井戸”。1階の一角に実際に井戸が造られており、そこで地中熱を実際に体感できるという仕組みだ。訪れた日はまだ暑い日だったが、井戸の周辺はほんのり涼やかさを感じた。ただ、実際に家の中に井戸が造られるわけではなく、ここだけのイメージ的なものとなる。システムとしては、家の下などに配置したパイプと屋根裏に設置した送風ファンを通して空気が循環し、床に設けられた送風口から部屋の中に風が送りこまれることになる。送風口は、一部屋にいくつ必要という割合の決まりがあるわけではないが、家の中全体に風が均一に行き渡るように工夫されるという。

前の項目の写真で示したように、風の井戸ではパイプや地熱システムの機械、送風ファンなどを見られるようにしているので、システムとして文章だけだとわかりにくいところをつかむことができる。かわいい外観&内装を楽しみつつ、システムを理解し、体感できるというわけだ。


(写真左)モデルハウスの名称の由来になった井戸(写真右上)床に設けられた送風口。この形以外の選択もできる(写真右下)2階の洋室の様子。真ん中に見える黒いパイプは、1階に設置した薪ストーブのもの。環境と体にやさしいという観点から、例として取り上げている



メンテナンスなど導入の不安は…


地球環境と人にやさしい住環境を両立するという面で注目されているジオパワーシステム。「導入費用は新築で250万円ほどとなります。床下に蓄熱・蓄冷効果のあるグリ石を敷き詰めるため、スペースを作るなど費用が多めにかかるようです」。基本として家の基礎部分から工事が必要となるが、リフォームでも導入が可能だそうだ。

機械となるだけに、メンテナンスも気になるところだが、「数年で交換が必要なものもあるとされますが、それはあくまで目安です。建築の担当者によると、10年以上使っても問題は起きにくいと言われています。風が通る菅の中が水分で汚れる時があるので、その際はご自身でそれを拭いていただく程度だそうです。それでも、不具合や気になることが起きた場合は、施工した会社に連絡していただけたら」と古居さん。

「自然の空気を取り入れていますので、エコ、体にやさしい。現代はエアコンの風に慣れてしまっているので、自然の風で無理しないやさしいものにしたいなと」と、会社が導入したジオパワーシステムの魅力を語ってくれた。

かわいさで目を引くだけでなく、建物のデザインとエコシステムをマッチさせて訴求するモデルハウス。地球の未来につながるひとつのシステムを考える場所としても有効だと思う。

取材協力:梶川建設 http://www.kajikawa.co.jp/
(風の井戸 http://www.kajikawa.co.jp/construction/kazenoido/concept.html※風の井戸の見学は要予約)


今回お話を伺った梶川建設 管理部部長の古居秀崇さん(写真左上)。他写真は「風の井戸」の内観。ロッククライミングのホールドを付けて遊び心の演出をしたらせん階段、おしゃれなバスルームなど、参考になる見どころも盛りだくさんだ



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