ヨコハマを舞台にした「自分ゴト」のまちづくり。市民の力を集め未来を創る「横浜コミュニティデザイン・ラボ」の取り組み

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市民の力を少しずつ持ち寄って、よりよい未来を創るために活動


これから一段と加速する高齢化。地域住民のつながりの希薄化。人口減少による税収減。生活保護者の増加。子どもの貧困。幼稚園や保育園に入れない待機児童の未解消。国全体で問題になっていることはもちろん、多くのまちでも同様の課題を抱えているだろう。様々な課題の解決には行政の力も必要だが、もはやそれだけでは不可能であろうことを多くの人が薄々と感じているのではないだろうか。

ただ、「自分たちの手でもっと住みよいまちにしたい」と考えても、新たな人間関係づくりや、活動中のグループへ飛び込むことに難しさを感じる人も多いように思う。私自身、ボランティア活動をはじめ何かをすることで地域社会に貢献したいと考えても、「役に立てるのか」「続けられるのか」「何から始めればいい?」と、初めの一歩を踏み出すことを躊躇してしまうし、多くの人が同様なのではないかと想像する。

そんな中、住みやすいまちづくりのために「シーズとニーズのマッチングによる、市民がボランティアなどに参加しやすい環境の整備」「よりよいまちづくりを願いプロジェクトを企画する人へのクラウドファンディングによる支援」など、市民の力を少しずつ集めて未来を創ることを目指したNPO法人が横浜にあるという話を知人から聞き、取材に訪れた。

そのNPO法人の名前は「横浜コミュニティデザイン・ラボ」。まちづくりに関する調査・研究・コンサルティング事業、コミュニティビジネスの研究及び開発に関する事業、市民メディア・ソーシャルメディアに関する調査・研究・実践などを行うほか、よりよいまちづくりを実現するための活動も積極的に行っている。今回は同NPO法人が私のような一般市民がまちづくりに参加するために行っている取り組みにフォーカスして紹介しよう。


「市民が地域社会に創造的に関与する機会をつくる」をミッションに掲げ誕生した横浜コミュニティデザイン・ラボ。地域の活動にその人なりの関わり方で参加・参画するためのプラットフォームづくりにも力を注いでいる



他人ゴトではなく「自分たちゴト」と考えて住むまちをよくしていく


NPO法人横浜デザインコミュニティ・ラボは、世界の港町「横浜」で面白く楽しいまちづくりを実践型で研究する非営利のラボ(研究機関)。横浜市を中心とした各地域を舞台に地域をよくしていこうという想いを持つ団体・個人を支援し、公益の増進に寄与することを目的に2003年に設立された。市民が地域社会に創造的に関与する機会をつくろうと、市民一人ひとりが地域のことを「他人ゴト」ではなく「自分たちゴト」として捉え、地域の活動にその人なりの関わり方で参加・参画できるようなプラットフォームづくりに取り組んでいる。

「横浜には人、組織、施設などはもちろん、特産品や名所旧跡などたくさんの『地域資源』があります。ただ、その資源も知られないと何も始まりません。私達も同様で、何かしたい時に相談できるNPO法人があったとしても、その存在、活動を知られないと相談に来てもらえません。存在を知ってもらうためにも設立当初から情報を発信するメディアを持つことが大切だと考えており、設立の翌年(2004年)に『ヨコハマ経済新聞』を立ち上げました」と話すのは、同NPO法人代表理事の杉浦裕樹さん。

2000年に渋谷経済新聞が立ち上げられたのを皮切りに、ヨコハマ経済新聞は2番目に誕生。今までに1万本以上の記事を作成している。現在「みんなの経済新聞」のネットワークは全国に113ヵ所に広がり、その「経済新聞ネットワーク」のひとつとして横浜の情報を発信し続けている。

ヨコハマ経済新聞による地域情報の発信に加え、先に紹介したように地域をよくするため、また地域活動に参加・参画しやすくするための様々な活動も行う。クラウドファンディングを利用してまちをよくするためのプロジェクト支援や、シーズとニーズをマッチングさせて地域の課題解決の手助けなどを行う「LOCAL GOOD YOKOHAMA」、シェアオフィス「さくらWORKS〈関内〉」の運営などがその代表的な取り組みだ。


左上写真はさくらWORKS〈関内〉。右上のファブラボ関内と下2点のアンブレラ関内は同NPO法人が入るビルの中にある。</br>ファブラボ関内とアンブレラ関内はどちらもLOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディングを利用して事業化したもの



クラウドファンディングによるプロジェクト支援や、力を借りたい人・貸したい人をマッチングする「LOCAL GOOD YOKOHAMA」


「地域を知り、地域の価値ある活動に参加・応援するきっかけをつくるプラットフォーム」をコンセプトに2014年に立ち上げたのが「LOCAL GOOD YOKOHAMA」。多くの市民が横浜をよくする活動(LOCAL GOOD アクション)に参加して、「温かいお金」の循環による「コミュニティ経済」の構築を目指したものだ。

LOCAL GOOD YOKOHAMAの掲げるテーマが「地域を知ろう」と「地域に参加しよう」の2つ。
「地域を知ろう」では、サイト内に地域のニュースのほか、投票率や高齢化率、年間来街者数、横浜市の生活保護費・人員・世帯数など横浜市に関する様々なデータを提示。さらに地域をよくするために頑張っている人や団体の紹介、よりよい社会をつくるための声を掲載した投稿欄を設けるなど、横浜の今をリアルに知ることができる。

「地域に参加しよう」では、クラウドファンディングによるプロジェクト支援、ボランティアとして地域活動に参加しやすくするためのスキルマッチングなどを行う。
プロジェクト支援では、地域問題解決のために資金や仲間を集めたい人(プロジェクトオーナー)を対象に、スタッフが資金調達やプロモーションの仕方などをプロジェクトオーナーと一緒に考え、提案するなどしてサポート。今までに18件のプロジェクトの依頼があったが、すべて目標金額に達してプロジェクトを無事にスタートさせている。

市民が地域活動に参加するきっかけづくりになる「スキルマッチング機能」も便利だ。地域の課題解決のためのプロジェクトに必要な仲間を募集できるほか、地域の活動に関心を持つ人に対してスキルや専門性を提供しやすくすることで地域活動への参加のハードルを下げている。
「地域活動に参加するきっかけの場の提供、地域をさらによくするためのプラットフォームを目指し、皆さんが持つスキルをICTの技術で活かそうと考えたのがLOCAL GOOD YOKOHAMAです。子育て、スポーツ、環境・エコ、国際交流など、誰しも関心のあることや今までに培ってきた経験や技術が活かせる得意な分野があるはずです。その力を地域社会に提供することで、自分が暮らすまちがもっと楽しくなったり問題が解決されたりするなど、地域が今以上によくなると信じています」


LOCAL GOOD YOKOHAMAのホームページ。クラウドファンディングで支援を募集した案件は全部で18件。そのすべてが目標金額に到達し、事業化に成功。集まった資金の総額は1175万7970円にもなる



一人ひとりの力は小さくても、力を結集すれば大きな力になる


横浜コミュニティデザイン・ラボが入るビルと同じビルに、シェアオフィス「さくらWORKS〈関内〉」がオープンしたのが2011年。入居しているのはウェブプロデューサー、デザイナー、ライター、研究者、マーケティングプランナーなど個性豊かな会員の面々(一般の利用も可)。協働・共創の場となっているほか、市民や企業を対象とした各種セミナーや勉強会などもこの場所で行われている。

ビルの4階には「ファブラボ関内」がある。ファブラボとは3Dプリンターやレーザーカッターなどのパーソナルなデジタル工作機器を備えた、市民のための実験的な工房で、この10年間で世界50ヵ国以上にネットワーク化。ファブラボ関内は日本で6番目のファブラボで、先に紹介したLOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディングでリノベーション費用などを調達した。同ビル3階にある、発達障害など学びにくさを持つ生徒の高校卒業資格取得を支援し、保護者・当事者が集う交流拠点となっている「アンブレラ関内」の改装・運営費用もLOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディングで調達したもの。どちらも賛同者の「温かいお金」が有効に使われた事例だ。

「市民意識調査などのデータからも、横浜市民は横浜好きが多いと読み取れます。シビックプライド、市民であることの誇りですね。そんな横浜をより住みやすいまちにするために、大企業から小さな商店、そして個人個人がもっと地域に関心を持っていただきたいと思うのです。たとえばLOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディング。横浜市の18歳以上の有権者が250万人いるとします。毎月一人100円を寄付してくれれば1ヶ月で2億5000万円、1年で30億円。一人ひとりは小さくてもみんなの気持ちが集まれば膨大な金額になり、よりよい地域社会の実現に向けた様々な施策を行うことができます。シーズとニーズをうまくマッチングさせて、企業や個人の方々と地域社会の接点づくりを今後も続けていきたいと思います」

■ヨコハマコミュニティデザイン・ラボ/
http://yokohamalab.jp/

■ヨコハマ経済新聞
https://www.hamakei.com/

■ローカルグッドヨコハマ/
http://yokohama.localgood.jp/


NPO法人 横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事の杉浦裕樹さん。「自分が役に立ち、人から『ありがとう』と言われる機会があると嬉しいですし、自分の存在を肯定できますよね。たとえボランティアに参加しなくても、応援したい活動について少額の募金をすることやその活動をSNSで拡散することも貢献です。そのような、人の役に立つ機会をもっともっとつくっていきたいと思います」



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