注目の台湾!台北のリノベーション事情を現地で探る

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いまどうなってるの?台湾リノベーション事情


近年、台湾がアツい。何かというと、それは台湾各地で起こっているリノベーションプロジェクトだ。タバコ工場や大型倉庫など、長きにわたり使われなくなっていた古い建築を、一般市民が活用できる施設として再生しようとする“文化創造地区(文創)”といわれる動きや、古民家や空き家をホステルやカフェにリノベーションして再活用するという民間レベルの動きなどが挙げられる。特定のエリアを通してのその動きは、まさに今、日本各地で起こっている空き家リノベーションや地方活性化の動きにも重なる。

実際に、現地ではどのような動きが起こっているのだろうか。今回は、台湾と日本の二拠点にてコーディネーター活動を行う会社「Designsurfing(デザインサーフィング)」のChad Liuさんと街歩きをしながら、台北のリノベーションの現状について伺ってみた。


DesignsurfingのChad Liuさん。日本語も台湾語も堪能。台湾と日本の間に立ち、様々なジャンルにおいて人と場を繋ぐコーディネーターハブや個人メディアとしての仕事を行っている。ジャンルは不動産・旅行・アート・デザインなど幅広い。@『OrigInn Space』



現在発展中!もともと貿易が盛んだった大稲エリア


大稻(ダーダオチェン)は、当時は台北で最も重要な茶売買の貿易港だった場所で、周辺には貿易商社が林立していたエリア。西洋の貿易商社がこぞってこの地に参入し、茶売買の交易が行われており、台北の中でも早くから西洋文化が持ち込まれた地域の1つだ。日本人が建てたバロック式建築、台湾の伝統的な南式平屋、赤レンガの洋風建築が混在して立ち並び、今も歴史的建築として残されている。
今でも、食材や漢方薬などを扱う店が軒を連ねる。旧正月末になると、干し物や年明けに食べるお菓子などが売られるマーケット屋台が軒を連ね、多くの買い物客で賑わう。

Chad Liuさん「台北市政府によるリノベーション計画も進んでおり、この場所にショップや事務所を構える若手のクリエイターが集まり始めています。家賃が比較的安いという利点や似た仲間が多いということで、メイン通りから外れた奥の方には、人気のクリエイターが構えるオフィスが徐々に増え、街の雰囲気も変わって来ていますね。街に新旧が入り交じって、新しいカルチャーが静かに生まれ始めています。日本のメディアにはまだあまり取りあげられていませんが、これから注目が集まるエリアになると思います。」


(上)基本的に外壁を壊すことがないので、当初の看板はそのまま。かつての看板が残っているお店というのは、それだけ長く続いているお店という証でもある。(下)クリエイターズショップの内観。趣向を凝らしたものが多い



歴史の残る場所をあえて選んだ。ホステル『OrigInn Space』


『OrigInn Space(オリジン・スペース)』という、台北で人気の宿泊施設もこの大稻エリアにある。日本統治時代に建てられた六館街尾洋式店屋の中に存在する施設は、1階がカフェ兼セレクトショップで、2階から上の階は宿泊施設となっている。店内には、アンティーク家具や年代物のタイプライターなど歴史を感じさせるアイテムや、台湾出身のオーナーがセレクトした本がずらりと並んでいる。

オーナーのウィリーさんが生まれ育ったこのエリア。幼い頃当たり前のように家に置かれていたアンティーク品は、すべて貿易によって集まった海外輸入品だった。その風景はウィリーさんの幼き頃の原風景であり、その過去の記憶をそのまま再現させたのがこの空間なのだそう。欧米で流行った商品が、台湾まで届くまでに少しタイムラグがあった時代。ホステル空間では、台湾のローカルな感覚をそのまま体感してもらいたいと考えている。

Chad Liuさん「今、台湾では古い物件をリノベーションして、コワーキングスペースにするケースも増えています。実際に、このホステルの1階もオフィスとしても使われています。多機能でジャンルがミックスされた空間、人と人のがりが発生するような複合的な空間も増えています。」


(左上)台北で良く見かけるスタイルの入口。(右上)オーナーのウィリーさん。(左下)過去の時代にタイムスリップしたような感覚に陥る共有空間。机は自由に利用可能。(右下)日本式バロック建築が美しい外壁



台南から広がった、リノベーションブーム


もちろん古い空間は、現代生活の条件には合わないことが多い。相反して、空間に新鮮さを求めている若者や消費者も増えている。古い空間でも現代の価値観を築いていけるならば、活用したいというムーブメントが台北でも起こっているのだ。土地の値段も安く、未発達な場所が開発されていく中で、土地の値段が上がっていくことが都市の活性化にも繋がっていく。

Chad Liuさん「台湾の南にある『台南』エリアは、多くの旧跡が残り、現代的な都市景観と併存していることから、”台湾の京都”とも呼ばれている場所です。実は、台南では台北よりも先に市をあげて『文化創造活動都市建設』を推進しています。簡単に言うと、空き物件をリノベーションすることで新しい文化的価値を付与しようということです。結果として台南では、カフェやホステルなどのリノベーション案件が増えて、いくつかの成功事例が出来ました。その事例を参考に、台北でもリノベーションの動きが活発化しているのではないかと僕は考えています。」


「台湾の人は、リノベーション施設が元々何の施設だったかどうかを、日本人ほど意識していないような気がします。逆に日本の方に、”この施設の壁良いですよね”と言われて気付かされることも多いです。僕たちは、普段から古いものを目にする機会が多いのかもしれませんね。」とChad Liuさん



古さに価値を見いだしながら、記憶を残していけるブランディングを


代表的な大規模リノベーション施設といえば、華山1914文創園区と松山文創園区が挙げられるだろう。タバコ工場や酒蔵をリノベーションで生まれ変わらせた、大型の文化総合施設だ。複数のショップ営業やイベントスペースとして活用されている。休日には、エンターテイメントを求めて、自然と人が集まる場所となっている。

Chad Liuさん「台湾のリノベーションはこれからもっと進む中で、施設のブランディングもきちんと伴っていく必要があると思います。例えば、華山1914文創園などもイベント施設として活用されてはいますが、場所としての意味や土地の歴史が施設からあまり感じる事が出来ず、ただのブランド売りだけになっている気がします。例えば、東京駅側のKITTEだと東大と日本郵便が共同で運営する施設が設けられていますよね。KITTEとしての立ち位置を意識した上で、打ち出しを考えていると思うんです。こういう部分は、台湾としても見習いたいところです。リノベーション施設をただの商業施設にしてしまうのではなく、場所としての記憶が無くならないようにしてほしい。物語やストーリーと共に建物の記憶ごときちんと伝えていくことも、これからの台湾リノベーションの課題なのかもしれません。」

これからさらに期待の高まる台湾のリノベーション業界。今後も注目し、状況を伝えていきたい。


(上)松山文創園区。アートやデザインを軸に置いた展示がよく行われている。(下)華山1914文創園区。音楽イベントや大型イベントなどの催しが多い



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