住まいを3Dで体感。東北初のリノベーションショールーム、仙台Rゲート・八本松ベースを見てきた

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広いワンルームに住宅のすべての要素を詰まったショールーム


八本松ベースは不動産会社アイ・クルールと設計施工会社エコラが異業種でタッグを組んで2014年にオープンした、リノベーションをしたい人たちのためのショールーム。2014年のリノベーション・オブ・ザ・イヤーではビジネスモデル賞を取っている。元々は不動産会社のオフィスだった200m2余の広いワンルーム内にリビングやキッチン、ダイニング、子ども部屋、バスルーム、トイレなどが設置してあり、住戸内の要素がすべて体感できるようになった空間である。

7年くらい前から一緒に仕事をしてきたというアイ・クルール、エコラが中古住宅購入からリノベーションをワンストップで行うサービスを「仙台Rゲート」と名付け、力を入れ始めたのは3年ほど前。不動産歴17年というアイ・クルールの石垣智浩さんはその理由を「建売住宅を売っているより楽しいから」と言う。

「建売住宅の場合、買った人たちが納得しているのは分かるのですが、満足はしていないと感じることがしばしばありました。ところが、中古住宅を購入、リノベーションした空間を引き渡すと、お客様が理屈で納得するのではなく、心から感動して満足しているのが分かる。明らかに満足度が違うのです。当然、売った側としてもそのほうが楽しい。そこで中古購入+リノベをワンストップで提供するというやり方で行くことにしたのです」(石垣さん)。


左がエコラの百田さん、右がアイ・クルールの石垣さん。週1回の定例打ち合わせでは互いに違うなあと思うこともあるそうだが、それがあるから幅が広がるとお二人とも前向き



平面図に書かれた空間を立体として体感してもらいたい


利益だけで考えれば、リノベーションを前提とした不動産仲介は得策ではない。不動産の仲介手数料は物件価格で決まるため、たとえば予算3,000万円の人に3,000万円の住宅を売るのが利益的にはベスト。だが、リノベーションを前提に考えると、リノベ費用が必要な分、物件価格は下げざるを得なくなり、それに伴い、手数料は減る。しかも、リノベは打ち合わせだけで1~2カ月かかることもあるという手間のかかる作業である。その時間をお金でカウントするとしたら、これまた収益性は低くなる。だが、それでもリノベにこだわった石垣さんが多くの付き合いのある施工会社の中からパートナーに選んだのがエコラ。

「リノベに惹かれる人は、自分の好きにオーダーできるという部分に加え、いや、それ以上にプロセスを大事にしているように思います。そのため、大事なのは打ち合わせ、施工どちらの段階でも時間をかけて向かい合うこと。それができるのは20社あっても1社くらいなんじゃないでしょうか」(石垣さん)。

プロセスを大事にし、お客様に満足してもらう。そのために打った手のひとつが冒頭のショールーム、八本松ベースである。「しばらくやってみて分かったのですが、多くの人には図面は平面にしか見えていません。でも、リノベーションを成功させるためには立面で空間を考える必要がある。仙台でのリノベはまだスタートラインに立ったところですから、立面に見えない人が多いのは当然。だったら目に見える形で提案しようじゃないか。それがこのショールームです」とエコラの百田好徳さん。「ここなら目で見て、体で感じることができ、いろいろな妄想ができますからね」。


左上から時計回りにキッチン、ベッドルームに水回り、物件資料スペース。実用一辺倒ではなく、家作りを楽しむ気持ちにさせてくれる空間になっている



住宅はもっと自由でいい。ショールームに刺激され、家作りを楽しんで欲しい


ショールームの効果は絶大で、ここに来なかったら、リノベと出会わなかったら家を買わなかっただろうという人もいるほど。「家を買いたかったのではなく、自分の好きな空間が欲しかったという人が多いのです。賃貸で希望が叶うなら賃貸でも良かったかもしれませんが、賃貸では自分の好きな空間は作れない。だったら、買って作ってもらおうという流れです」(石垣さん)。ここへ来ると、石垣さん、百田さんが狙った通り、ぼんやりとした憧れだったリノベーションが具体的に見えてくるというわけである。

具体的に見えてくるだけではない。ショールーム内には家具や絵、照明、雑貨など生活を楽しく彩ってくれるものが随所に置かれており、それを眺めているだけで楽しい気分になってくる。これから家を作るという人であれば、さぞやわくわくするだろうと思う。中には足場板をスライスして貼りつけたキッチン面材や、トランクをリビングのテーブル代わりにするなど、大胆な提案もある。

「実際に自宅に取り入れることはないアイディアだとしても、トランクを見て『こういう使い方があるんだ!』と思ってもらえたらと思います」と百田さん。「1から10までの考え方しかできなかった人が、ここを見て、家はもっと自由でいいんだと思い、1から15まで考えられるようになったら、家作りはもっと楽しくなると思います」。


トランクをテーブル代わりに置いたリビング。リノベだけでなく、それに合わせた家具の提案もしているので、家具はもちろん、レイアウトなども定期的に変えているそうだ



衣食に比べると選択肢の少ない日本の住宅。リノベで新しい選択肢を


だが、そもそも日本の住宅は自分たちが思っているほど自由ではないと石垣さん。「主催するセミナーでは冒頭で皆さんに問いかけます。『住宅は自由ですか、不自由ですか?』ってね。日本は豊かになって衣食住のうち、衣食は自分の好きなものを選べるようになった。好きなモノを食べて、好きなモノを着られる。でも、住だけはそうではありません。たとえば一戸建てには注文住宅、新築建売住宅、中古、リフォーム済の中古の4種類しかなく、注文を建てられるのは家を建てたい人のうちのごく一部。それ以外の人は3種類の中から選ぶしかないんです」(石垣さん)。

言われてみると確かにその通り。衣食であれば、ある一定の予算内で考えても複数の選択肢があり、その人の好きに選べるが、それが住宅となると無限に予算があるのでない限り、かなり限定される。その上で立地にこだわるなどすると選択が難しいこともしばしば。「そのせいでしょう、多くの人は住についてあまり考えていません。考えたって決まりきった選択肢しかないなら、考えたって仕方がない。男性なら頭の中の100分の1くらい、女性だともう少し多くて10分の1くらいでしょうか。でも、それでは家は良いものにならない。今は新たに中古購入+リノベという新しい手もあるんです」(石垣さん)。

リノベの有無は別として、ショールームをきっかけに家のことを考えてもらえるようになったらうれしいと石垣さん、百田さんは口を揃える。そのため、春には仙台市中心部に新たなショールームも予定しているとか。楽しみである。

仙台Rゲート
http://www.rgate.co.jp/


楽しい雰囲気の打ち合わせスペース。奥のカウンター上部には様々な種類の照明が飾られており、そうしたものの使い方ひとつで部屋の雰囲気が変わることなども実感できる



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