下水道の仕組みはどうなっている?便器型展示や体感マシンが楽しい大阪下水道科学館に行ってみた

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近代下水道事業開始100年を記念して建てられた大阪市下水道科学館


下水道は本来、生活や産業活動で汚れた水を海や川へ排出するための水路だが、現代の下水道はその限りだけではなくなってきている。排水が海や川を汚染しないよう、さまざまな処理を施して汚れを取り除いているのだ。また、処理の現状を知れば、地球環境を守るために、個々がどんな工夫をできるかも見えてくるだろう。
そこで、どのように水を浄化しているのか具体的に学ぶため、大阪市下水道科学館でお話を聞いてきた。

まず、施設の概要を一通り確認しておこう。大阪市下水道科学館は下水道がどんな役割を果たしているか広報するために造られた施設で、下水がどのように処理されているか、水や地下がどのように利用されてきたか、体感しながら学べる。
平成7年に近代下水道事業開始100年を記念し、下水の学習施設として建てられた建物は6階建てで、1階のエントランスを入ると、ロビーには色とりどりの魚が泳ぐ「ふれあい水槽」がある。地下には、大きなモニターと前後左右の振動で地下探検を体感できる「地下探検号」があり、平日は毎時1回、土日祝日は2回運行されるので、希望者はまず1階の受付で整理券をもらっておこう。
最初に見学してほしいのは4階。大阪市の下水がどのように処理されているか、わかりやすく説明されており、下水処理の仕組みが理解できるからだ。また、降水量100ミリの豪雨を体験できるブースもある。3階には下水から取り除かれた汚泥を焼却する舞洲スラッジセンターに関する展示。5階にはシアターがあり、水が地球環境のために果たしている役割を、毎時30分から3D映像で紹介している。そして6階は高度に処理された水による恒温植物園があるから、水の素晴らしさを体感できるだろう。


便器を模した展示場の前に立つ手嶋義一館長



便器をくぐって……


手嶋義一館長に案内され、エレベーターで4階に上ると、まず大きな便器が目に入る。展示場はその奥、つまり自分たち自身が汚水、あるいは汚水と一緒に流される排泄物になった気分で、汚水処理の工程が学べるようになっているのだ。大阪ならではの「おもろかったらええねん」という感覚は、シャレがキツいと感じる人もいるかもしれないが、便器を入り口とするからこそ実感として伝わるものもあるだろう。
便器をくぐってすぐのエリアには、水がゆるやかに流れながら抽水所(ポンプ場)に集められていく様子がわかる映像と、図が展示されている。下水は傾斜を流れるため、最終的には地中深くにもぐってしまう。そのため抽水所に溜まった水をポンプでくみ上げ、下水処理場に送るのだ。次の沈砂池で砂などが沈み、その後10時間ほどかけて細かい砂を沈ませながら沈殿池を通過すると、ばっ気層(反応槽)に運ばれ、泥の中に住む微生物が食べて汚れを分解してくれる。さらに沈澄池で微生物を底に沈ませて、その上澄みの水を消毒して川に流す。この過程が、エリアを進むごとに映像や図を見ながら理解できるのだ。
沈殿池や沈澄池で底に沈んだ泥を発酵させて量を減らした後に舞洲のスラッジセンターに運び、約1400度の高熱で焼却すると、埋め立てなどに使われるスラグになるのだ。現在は、舞洲スラッジセンターで、大阪市の汚泥の6~7割が処理されているという。

地階で乗車できる地下探検号は、地中や空を自由に走り、ワープもできる乗り物という設定で、人類がどのように地下を利用してきたかわかる体感型施設だ。遊園地のアトラクションのようなライドに乗り、入口の扉が閉まると出発進行。ライドはパリの地下鉄にもぐり、線路を走りながらジェットコースターのレールの上にワープする。そこから急降下してイタリアのカタコンベにもぐり、巨大墓地で600万体ものおびただしい人骨を見たあとは、パリやウィーンの下水道を探検。さらにオーストリアにある世界最大の地底湖やアルプス山中の氷の洞窟、佐渡の金山を見学して、下水道科学館へ戻ってくるという6分間のストーリーだ。前後左右に揺れるいすに乗り、大きなモニターで景色を見ながらの体験はなかなかリアルで、休日は参加希望者も多いようだ。


「地下探検号」に乗って、人類がどのように地下を利用してきたか見に行こう



下水処理の仕組みを知り、環境改善のために一人一人が努力を


現在展示されているのは開館当時最新だった下水処理システムだが、その後22年で、さらに下水処理システムは変化進化している。
たとえば、2016年4月に利用開始された「平成の太閤下水」は、14万立方メートルの水を貯めておける貯留管だ。それまでは大量の雨が降ると、オーバーフローした水は川へあふれていた。下水道の多くは雨水と一緒に汚水を流しているので、雨水とともにあふれた汚水は、川の汚染の原因になる。しかし平成の太閤下水ができたことにより、雨水を貯留しておけるようになり、汚水が川に流れ込むことがなくなった。道頓堀川の水質が改善されたのは、このおかげでもあるのだ。

手嶋館長は、
「現代のまちでは、雨が降っても下水に流れて浸水しません。でも下水をスムーズに流すために、それぞれが注意しなくてはならないことがあります。たとえば、油をそのまま流すと下水管の中で固まって、管が狭まってしまいます。また、ゴミを一緒に流すと汚れがたまりますし、ネズミが繁殖したりして不衛生なのです。どのように下水が処理されているかを知れば、環境に気を付けようとより強く思うでしょうから、たくさんの方に見に来ていただきたいと思います。」
と、語る。

地方自治体の経営が厳しい中、施設のリニューアルやメンテナンスの予算認可には、入場者数の増加が必須。月に一度、親子休日スクールや水環境をかたる会のイベントが開催され、微生物の観察と水質実験や、下水道の原風景点描なども行われている。子どもから大人まで誰でも参加できるので、なるべくたくさんの人に参加してほしいという。
休館日は月曜日(祝日の場合は翌火曜日)。入館は無料なので、ぜひ一度施設を見学し、下水道に興味をもってほしい。


4階には降水量100ミリの豪雨を体験できるブースも。前が見えないほどの豪雨でも浸水せずに済むのは、下水道のおかげだ



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