古アパートをDIYで科学館に!柏市の”手作り科学館”ってどんなところ?

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柏に科学館がオープン予定!そのちょっと変わった現場とは?


千葉県柏市は、人口約42万人(平成29年8月1日現在、柏市発表)。
上野東京ラインでJR柏駅から東京駅まで約35分。
都内に通勤する人がたくさん住んでいる街だ。
駅前はとても栄えていて、お店は基本、なんでも揃っている。
昔ながらの商店街がある、という街ではなく、駅を降りたらドーンと大きなデパートがいくつも建っているような街並みだ。

JR柏駅近くに、科学館ができるという話を聞いた。
「科学館」というと、沢山の展示物のある大きな施設を想像してしまうが、そんなスペースが柏駅近くにあっただろうか?
というのも、柏の駅前は割といつも混雑していて、毎日の通勤通学時間には渋滞が起きる。駅の近くには十分な駐車場もないので、車での移動は遠慮するくらいだ。
混雑している駅前なのに、どこにそんなスペースが?

柏市の住人としても、とても興味がわいたので、現場を訪ねてお話を伺った。


柏に科学館ができるんだって!



それは一軒の…アパート。ここが科学館?


その場所は駅からは近いが、少々入り組んだ場所にあった。
昔ながらの飲み屋さんや食べ物屋さんが並ぶ、小さい通りを曲がって一本奥へ入ったところ。昭和の香りのする住宅街の中だ。
科学館と聞いていた場所にあったのは、どこから見ても古いアパート。
「本当にココ?」と思わず周りを見渡した。
サッシの上側に小さい小窓があるところや、引き戸式の雨戸がついているところから見ると、築
30年以上は経っていそうだ。

外で塗装作業をしている方がいたので確認をする。
「あのー、科学館というのは…」
「はい、ここが科学館になる予定のアパートですよ」

なんと、この一棟の古いアパートを改装し、科学館としてオープンするのだそうだ。
しかも、DIYで改装をしているという。いったいどんな科学館になるのだろう。とってもワクワクしてきたぞ。

科学館を運営する柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(以下KSEL)、会長の羽村太雅(はむらたいが)さんにお話を伺った。


ここが科学館? おどろくあべ(右)と編集部のT谷氏



科学コミュニケーションを推進する柏の葉サイエンスエデュケーションラボとは?


柏市にはJR柏駅から車で15分ほど離れたところに、つくばエクスプレスの駅、柏の葉キャンパスがある。東京大学のキャンパスなど、大学の研究施設が集まる文教地区だ。
そこで羽村さん率いるKSELは生まれたそうだ。
KSELとはどんな集まりなのだろうか。

「KSELは柏の葉で東大の大学院生を中心につくったグループです。
立ち上げメンバーの4人はそれぞれ、都市工学、社会学、惑星科学、物理学を専攻していました。
自分たちの研究を地域の人たちにも知ってもらいたい、紹介したい、という思いで始めました。」と羽村さん。

「科学とか科学館というと、ほとんどの人が“子どものためのもの”と思うらしいのですが、実は大人向け、でもあるんです。KSELは子どもだけではなく、大人に向けても情報発信をしています。子どもたちにもっと科学を好きになってもらうには、まず大人を巻き込まないとなあ、と思って。」

私も科学館というと、てっきり子どもが勉強に行く場所だ、と思っていた。
そうではない?

「例えば子どもが科学のワークショップに参加したとして、その数時間は、『あー、楽しかった!』って思うかもしれないけど、その楽しい気持ちを持続させるのはなかなか難しい。興味が続くにはどうすればいいかを考えたんですが、それにはまず、親や先生、子どもに影響がある大人に、興味を持ってもらうことがよいのではないかと!
例えば先生に科学の楽しさを教えれば、先生はその生徒たち何十人に教えることができる。お母さんが科学に興味を持つようになれば、子どもと科学の話をするようになりますよね。『新聞にこんな科学の記事が載っていたよ』とか『今日は星がよく見えるらしいよ』とか。それは子どもにいい影響を与えると思うんです。」

つまり、大人に魅力を伝えれば、子どもが科学に触れる機会も増えていく。だから大人も楽しめる場所になってほしいのだという。
『子どもに興味を持たせるには、その影響力のある大人から』という発想は、私は考えたことがなかった。それはいいなあ!と素直に感心してしまった。

羽村さんは、「誰もが科学好きになってほしい!」というような『科学推し』をしたいのではなく、ちょっとした科学ネタをみんなで笑って、コミュニケーションができる、そんな日常が理想だそうだ。


KSELの羽村さん



科学に触れる活動が地域貢献につながった?


KSELが科学館を完成させるまでの道は、小さな本棚から始まった。
いつでも気軽に科学に触れられる場所を作りたい、との思いから、柏の葉キャンパス駅近くのレストランやカフェに科学の本を集めた本棚を置かせてもらった。その後、事情があり継続が難しくなってしまったのだが、活動はその後も形を変えて続いていった。

その後は、街なかで、科学が話題に上るような仕掛けをつくる試みや、海や山へ行き、自然体験を通して科学を学ぶイベントもはじめた。
2015年には、柏市が庭の貸し借りを仲介する「カシニワ」制度を利用し、「理科の体験農園」というプロジェクトを始めた。
放置され、荒れていた庭は整備され、地域の人とのコミュニケーションの場になった。
理科の体験農園は一年で終了したが、いつでも科学に触れられる場は今後も継続して作っていきたい、と羽村さんは考えていた。小さくてもいいから科学館を作りたい、という構想は、このころからすでに持っていたそうだ。

「アパートを使った科学館、というのを考え始めたのは理科の体験農園を始める頃でした。いろいろな庭を見学していく中で、全戸が空き家となった大きなアパートを見たんです。こういう空き部屋を101号室は海の部屋、102号室は宇宙の部屋…というように部屋ごとにテーマの異なる展示を設置したら面白いな、と思いました。」

その後、科学館の候補地探しを始めるも、物件探しに難航する。
「駅近がいいとか、建物一棟丸ごと使いたいとか、我々のわがままを全て満たしてくれる物件はなかなか見つからなかったんです。そんな時に協力してくれたのは、カシニワでKSELの活動を知った人たちでした。多くの人の手を借りて、やっとこの建物に巡り合うことができたんです。」

半ばあきらめかけた頃、有志から突然情報が寄せられたのが、この古アパートだった。

このアパートは築年数がわからないという。これまで、ほとんどの部屋が長い間空き家状態だった。庭も雑草が伸び放題で、手入れを業者に頼むなど、大家さんは管理に苦労していた。
しかし、ここをKSELが科学館に改修することで、人が出入りするようになり、部屋も庭もキレイになって、管理のコストも削減され、大家さんはとても助かっている、と話しているそうだ。
科学館を作るという話が、思いがけず地域の空き家対策に貢献した形になった。

ボランティアの手作業で改装が進む科学館。オープンまではまだ少し時間がかかりそうだ。次回は科学館の計画を応援する人々と、難航した資金集め、そしてオープン時期についての話を紹介する。


改装前のアパートは全面畳の部屋



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