二世帯住宅が節税対策に?相続から考える二世帯住宅のメリットと注意点

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「二世帯住宅」を希望する世帯の増加


2011年の東日本大震災を機に家族の絆が見直され、さらに昨今の待機児童や単身高齢者の増加などを背景に二世帯住宅を考える人が増えている。

そのことはデータにも表れており、例えば国土交通省の『平成25年住生活総合調査』の最近5年間に実施した住み替えの目的を見ると、「親、子などとの同居・隣居・近居」が10.6%で、平成5年の4.1%から2倍以上の伸びとなっている。また、同調査の今後5年以内の住み替え目的では、「親、子などとの同居・隣居・近居」が17.7%となっており、今後さらに二世帯で住む人が増える見込みだ。

二世帯住宅に住む理由は大きく2つあると考えられる。一つは安心感。親世帯としては自分の急な体調の変化に気づいてもらいやすくなり、もし身体が不自由になったとしてもサポートしてもらえる。また、高齢者だけで暮らす世帯よりも防犯性が高くなるということもあるだろう。子世帯としては、親世帯に育児や家事を手伝ってもらえるし、子世帯が共働きの場合は、子どもが保育園や幼稚園で急病などになったときも親に迎えに行ってもらえる場合もあるだろう。

もう一つが経済的な理由だ。親世帯が土地を持っていれば、子世帯が自分で土地を買って家を建てるよりも、その土地代を抑えることができるだろう。さらに食事や光熱費の負担も分担できれば、より経済的なメリットは大きくなる。


国土交通省の『平成25年住生活総合調査』の今後5年以内の住み替え目的では、「親、子などとの同居・隣居・近居」が<BR />17.7%となっている。二世帯住宅に住む人は今後も増える見込みだ



適用範囲が広くなった「小規模宅地等の特例」


このようにメリットの多い二世帯住宅だが、2015年よりさらに利点が大きくなった。それは相続税の軽減だ。相続税は2015年の税制改正で次のように増税された。

【改正前】基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
  ↓
【改正後】基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の数

例えば、夫が亡くなり法定相続人が母と子一人だった場合、改正前の基礎控除額は7,000万円だった。ところが改正後は4,200万円になった。仮に課税対象相続財産額が6,000万円だった場合、改正前は無税だったのに、改正後は6,000-4,200万円=1,800万円に対して課税される。つまり、課税される人が大幅に増えてしまったのだ。

そこでこの税制改正では、二世帯住宅に住む人に対して増税の緩和も行っている。それが「小規模宅地等の特例」の改正だ。これは相続する居住用や事業用の土地などに対して一定の面積まで相続税の評価額を80%減額するものだ。
この特例は、親と同居していた人(配偶者)、または二世帯住宅に住む人(子ども)に対して適用されるものだ。従来は二世帯住宅でも、建物内で行き来できない構造では適用されなかった。ところが税制改正によってこの縛りがなくなった。つまり、玄関のみなど住居の一部を二世帯で一緒に利用する「部分共有型」、玄関、キッチンなどすべてを一緒に利用する「完全共有型」に加えて、あらたに「完全分離型」も特例の対象になったのだ。

要件も以下のように緩和され、80%減税される対象が広がった。
■居住用の土地などの限度面積
【改正前】:240m2
  ↓
【改正後】:330m2

■居住用と事業用の土地の適用面積
【改正前】:居住用240m2・事業用400m2までの合計で400m2まで適用
  ↓
【改正後】:居住用330m2・事業用400m2までの合計で730m2まで適用


二世帯住宅は、おもに「部分共有型」「完全共有型」「完全分離型」の3種類があるが、<BR />すべてが「小規模宅地等の特例」の対象となる



特例適用で相続税はどれぐらい軽減されるのか?


では、具体的に小規模宅地等の特例によってどの程度軽減されるか、モデルケースで見てみよう。

【家族構成】父、母、長男
◯被相続人:父
◯財産:自宅6,000万円(土地の評価額)+2,000万円(預貯金)
◯相続人:母、長男(二世帯住宅に住んでいる)

基礎控除額は相続人が2人なので以下のようになる。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×2)=4,200万円

財産は6,000万円+2,000万円=8,000万円なので、基礎控除の4,200万円を差し引いて3,800万円に対して相続税がかかる。ところがこの場合は、「小規模宅地等の特例」が適用されるので自宅の評価額は次のように減額される。

6,000万円-4,800万円(80%)=1,200万円

したがって課税対象額は1,200万円+2,000万円=3,200万円となり、基礎控除の4,200万円を下回るので相続税はかからない。


二世帯住宅を考える人が増えている。安心感や経済的負担の軽減などメリットの多い二世帯住宅だが、2015年よりさらに利点が大きくなった。それは「小規模宅地等の特例」の改正による相続税の軽減だ。



特例を利用する際の注意点


ただし、小規模宅地等の特例を利用するには、いくつか手続き上の注意点がある。主なものを挙げてみよう。

■相続税申請書の提出
小規模宅地等の特例を利用するには相続税申告書の提出が必須になる。申告書のほかに被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書などの添付が必要になるので、詳しくは下記国税庁のサイトなどを確認し、分からないことがあれば管轄する税務署に問い合わせをすればいいだろう。
相続税の申告の際に提出していただく主な書類(国税庁)

■区分所有登記した建物は適用されない
二世帯住宅の建物を登記するには、1階が親、2階が子といったように所有権を分ける区分所有登記と共有名義にする2つの方法がある。しかし、区分所有登記をした建物には小規模宅地等の特例は適用されない。将来の利用を考えるなら共有名義にするか親の単独名義にしておく必要がある。


二世帯住宅を考える人が増えている。安心感や経済的負担の軽減などメリットの多い二世帯住宅だが、2015年よりさらに利点が大きくなった。それは「小規模宅地等の特例」の改正による相続税の軽減だ。



「相続」を「争続」にしないポイント


また、二世帯住宅の相続にありがちな家族間の問題も事前に対処しておいた方がいい。二世帯住宅を含む不動産は、現金と違って簡単には分けられない。例えば、相続する兄弟が2人いて、長男が住み続けるのであれば、次男に対して二世帯住宅の価値の2分の1に相当する現金を支払わなければならない。「親が亡くなったあとも二世帯住宅には住み続けたい」、「しかし、兄弟に支払う現金はない」。こういった事情で「相続」が「争続」問題に発展するケースは決して珍しくない。そうならないためには、親が元気なうちから当事者同士で話し合うことが重要だ。
相続時は住宅を売却する、住み続ける者が現金を支払う、同居していなかった者は相続を放棄する、など選択肢は限られてくる。血縁関係に亀裂を生じさせないためにも、事前に納得できるまで話し合うべきだろう。


「相続」が「争続」問題に発展するケースはけっして珍しくない。<BR />血縁関係に亀裂を生じさせないためにも、事前に納得できるまで話し合うべき



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