仏壇を置く向きは?中に祀る仏具の意味や歴史、DIYでもできる省スペース仏壇

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仏壇を置く場所が無い?祖先を敬う気持ちは7割超の人が持つと言うデータも


皆さんの家に仏壇はあるだろうか。昔は、朝になると仏壇や神棚に炊き立てのご飯をお供えし、ご先祖様や神様に手を合わせるといった光景があちこちで見られたものだが、最近は仏壇や神棚そのものが無い家も多いようだ。

日本人の生活スタイルは、ここ30年ほどで大きく変化している。マンションでは和室が無い間取りが増え、置き場が無くなったお雛様は7段飾りではなくコンパクトな親王飾りが主流になった。

もちろん仏壇の置き場があろうはずもなく、仏壇につきものの仏具やろうそく、線香などの販売数も減少の一途をたどり、昭和40年代に比べると三分の一を下回るほどになっている。年間の死亡者数は1.5倍になっているのにも関わらずである。

しかし、だからと言って日本人の宗教心が薄れているかと言うと、そうでもなさそうなデータがある。平成27年、文化庁より「宗教関連統計に関する資料集」と言う、日本人の国民性や宗教観に対するアンケート調査の結果をまとめたデータ集が公開された。

これを見ると、日本人の持つ独特の宗教観が浮き彫りになっていて非常に興味深い。まず「宗教を信じるか」の問いには、約3割の人が信じていると解答、残り7割は信じていない、興味がないと答えている。

しかし、「宗教心は大切か?」の問いには、約7割の人が大切だと回答。また先祖の霊的な力を信じている人は約5割存在し、7割を超える人が祖先を敬う心を持ち、毎年の墓参りを欠かさないとある。

日本人の7割が祖霊を大事にしているというデータがあるにも関わらず、仏壇が無い家をよく見るようなったのには、生活スタイルの変化と共に、昨今の住宅事情にも大いに関係があると思われる。

そこで今回は仏壇について、その歴史や意味などを紐解きつつ、仏壇や仏具の種類、配置、向き、限られた空間でも設置できるアイデアなどをご紹介しよう。


日本人の約7割の人が、宗教に興味がないと回答しているにもかかわらず、ほぼ同じ割合の人が先祖の墓参を欠かさない



仏壇の中に入れる仏具の構成は?宗派によって異なる位牌の有無


まずは仏壇の中に置く仏具についてご紹介しよう。仏壇の内部は、須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる階段状の構造をしていて、様々な仏具が置かれている。須弥壇とは、仏がいる場所という意味で、仏教思想の須弥山を模したものである。

仏具は、一般的に手前から火立て、花立て、香炉、おりん、茶湯器、高杯、灯籠、位牌、仏画、仏像、瓔珞(ようらく)という具合に配置されている。瓔珞とは、天井から吊り下げる飾りである。

このような仏壇の設え自体には、宗派による大きな違いは見られないが、置かれる本尊仏と両脇の仏画や軸には、それぞれ決まりが存在する。

中でも特に注目したいのが位牌の有無だ。仏壇に位牌を置く宗派と、置かない宗派が存在している。なぜ宗派により位牌の有無があるのか?そもそも位牌とは何なのだろうか。

参考までに、主な宗派による仏壇の設えの違いを列記しておこう。

・浄土真宗:本尊仏は阿弥陀如来、仏画は親鸞聖人と蓮如上人、位牌は置かない
・浄土宗:本尊仏は阿弥陀如来、仏画は円光大師と善導大師、位牌は置かない
・真言宗:本尊仏は大日如来、仏画は不動明王と弘法大師空海、位牌を置く
・天台宗:本尊仏は全の仏様、仏画は伝教大師最澄と天台大師、位牌を置く
・日蓮宗:本尊は大曼荼羅、仏画は鬼子母神と大黒天、位牌を置く
・臨済宗:本尊仏は釈迦牟尼佛、仏画は達磨大師と各派開山者、位牌を置く
・曹洞宗:本尊仏は釈迦牟尼佛、仏画は道元禅師と瑩山禅師、位牌を置く


仏壇の中は、仏教思想の世界観が表現されており、須弥壇の上部は仏界として仏の場所である



仏壇の中の位牌の意味は?禅宗が持ち込んだ祖先礼拝の依代が仏具として定着


位牌は鎌倉時代初期、禅思想と同時に日本に輸入されたものである。禅とは宗教の中でも異質の存在で、多くの信仰が他力本願であるのに対し、禅は唯一無二の自力本願である。

禅においては、絶対救済者としての仏の存在は無く、「見性成仏」すなわち自分の中に仏性を見出したら、それこそが仏であり悟りであるとする。しかし自分自身の中に仏があるとするならば、禅における信仰の対象は「自分」ということになってしまう。

そこで禅僧たちは、自らの仏性の象徴として、儒教の先祖霊や亡き先達の僧侶の依代となる「位牌」という存在を取り入れた。時は中国の南宋時代、その後日本に伝来してからは、禅宗以外の多くの宗派に仏具のひとつとして採用されるようになった。

しかし、なぜ宗派によって、この位牌が仏壇に安置されたりされなかったりするのだろうか。位牌の有無は、実は仏壇の歴史に関係がある。

仏壇の由来には2つのルーツがある。持仏堂(じぶつどう)と魂棚(たまだな)である。持仏堂とは仏像や仏画を安置し、日常的に拝礼するために建てられた堂のことで、魂棚とは盆に先祖霊や新仏霊を迎える祭壇のことを言う。

持仏堂はもともと毎日寺院に参拝して仏様に手を合わせるのが難しいため、自宅に寺の本堂の代わりとして安置したものである。そこに儒教の祖霊信仰から受け継いだ位牌を介在して、先祖供養や葬送の役割を荷う魂棚との融合がなされた。これらの習俗が時代と共に変化し、現在の仏壇という形に集約されたと考えられている。

位牌を仏壇に置くかどうかは、その宗派の仏壇の捉え方によって異なり、仏壇を持仏堂として厳格に捉えるのであれば位牌は無し、魂棚的要素を受容するなら位牌は有りというわけである。


位牌は儒教の「孝」の精神を表しており、父母や祖先に対する礼節の象徴である



仏壇を置く向きは?基本の配置は階上、神棚や床の間の位置に注意を払う


さて仏壇の内部の構成や仏具がわかったところで、次は仏壇の種類や置く向き、限られた空間でも設置できるアイデアをご紹介しよう。

まずは仏壇の種類を見てみよう。地域や宗派によってまちまちではあるが、一般的に多いのは家具調仏壇、唐木仏壇、金箔仏壇だろう。他に厨子・手元供養と呼ばれる、卓上に設置できるコンパクトな仏像や位牌を置く台もある。

家具調仏壇は、材質・形状ともにバラエティに富んでいて、洋間にも合うようなモダンな作りのものもある。唐木仏壇は、紫檀・黒檀などの銘木を使い木目の美しさを大事にした仏壇で、殆どの宗派で採用されている。金箔仏壇は、黒漆が塗られ金箔で装飾され豪華で派手な造りで、真宗系の宗派が採用している。

仏壇は主に宮大工が匠の技で作り上げるものである。仏壇を寺院の本堂の代わりと考えるのであれば、至極当然のことであろう。

しかし手元供養などの簡易な仏壇なら、基本の配置方法さえ押さえておけば、DIYで挑戦してみるのも良いのではと筆者は考えている。大切なことは思いであって、仏壇の種類も材質もそこまでこだわる必要はないように思う。

仏壇の基本の配置方法は、以下の3つである。どれも仏壇に対する畏怖心を持つと言う意味で大切なこととされている。

①階上に人が歩かない
②神棚と向かい合わせにしない
③床の間と向かい合わせにしない

階上に人が歩かないとは、仏壇の上方向に人が立つことが無い間取りのことである。簡単に言えば仏壇の上を人が歩かないようにするということだ。理想は仏壇の上に床が無い事だが、そうは言ってもなかなか難しく、マンションではさらに難易度が上がる。

そこで、壁面収納やクローゼットの内部、壁の厚みを活用したニッチなどに仏壇を組み込むアイデアはいかがだろうか。マンションでは各階、だいたい同じ間取りであることが多いので、仏壇の上を人が歩くことを防ぐことができる。特にニッチは、カウンターを取り付けて手元供養風に設えたり、小さな厨子を安置したりすれば、かなり省スペースな仏壇にすることができるだろう。

遺影を飾ることの是非に関しては宗派により扱いがまちまちで、曹洞宗では邪魔にならなければ差し支えないとしているが、浄土真宗では置くことは禁じられているので、菩提寺に確認してみることをお勧めする。

よく聞かれる仏壇を配置する向きに関しては、おおよそ2通りあるので、その理由と主な宗派を列挙しておく。

・南面北座(北側に南向きに安置する)は、中国の仏教思想の影響で日本でも天皇や貴人の居所とされている。平安京の御所がこの位置になる。禅宗である曹洞宗・臨済宗・黄檗宗など。

・東面西座(西側に東向きに安置する)は、インドの習慣からの影響。仏教思想における極楽浄土とは西方に位置し、阿弥陀如来が作った仏国土である。阿弥陀如来を信仰する浄土真宗・浄土宗・天台宗など。

・本山に向けるという宗派も存在し、特に思想背景はなく安置場所と本山の方向で決まる。真言宗。

・特にどちら向きでも構わない宗派が日蓮宗である。


手元供養の例<br>祖先礼拝で重要なことは、形式や形では無く、心の有り様である。<br>立派で高価な仏壇を設えるのも尊信なら、身近で常に手を合わせることも尊信である



仏壇の意義とは?死後の安住の地の象徴としての存在


日本は古くは、鳥葬や風葬をしてきた。京都の徒野や鳥辺野は当時の鳥葬場所である。鳥葬風葬とは、野面に死体を放置して、カラスや猛禽、虫やバクテリアに食べさせて白骨化させる埋葬法で、当然のごとく腐敗臭がひどく、損壊した遺体があちこちに散乱していたことは想像に難くない。

このような状況は戦国武将たちにとっては切実な問題であった。彼らは日常的に人を殺し、殺される危険に晒されていた。自らが奪った生命の行きつく先、自分が殺された後、魂はどこへ行くのかということが、切実な問題として存在していた。

禅宗が日本全国に一気に広まるのは武家の時代である。位牌という魂の依代を持ち、死後の行く末を解き、仏壇という安住の地を提供してくれる禅宗にこぞって帰依したのは無理からぬことであったのである。

八百万の神を持ち、先祖の霊がお盆に帰ってくると信じてきた日本人にとって、仏壇と位牌は、祖霊信仰の象徴や葬儀の仏具としてだけでなく、自分の死後の安住の地の象徴としての意味を持っているのである。


仏教思想において死者は厳密には仏ではないが、日本人の信心の中には死ねば皆仏という思いがある



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