家賃債務保証業者登録制度が2017年10月スタート。その登録基準やルールは?

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家賃債務保証業者登録制度は10月25日に申請受付を開始


国土交通省が検討を進めてきた「家賃債務保証業者登録制度」については以前、「家賃債務保証業、登録制度検討の背景とは?」で紹介した。2017年10月2日にその「登録規程」が公布され、10月25日には登録申請の受付が始まっているため、その主なポイントについて改めて整理しておくことにしよう。

なお、ここでいう「家賃債務保証業」とは「賃貸住宅の賃借人の委託を受けて当該賃借人の家賃の支払に係る債務を保証することを業として行うこと」(国土交通省による定義)である。要するに、借主が滞納したときに備える保証業務(連帯保証人の代わり)だ。用語のうえでは、サブリース(一括借上げ)などオーナー(賃貸人)に対する「家賃保証」と紛らわしいだろうが、両者を混同しないように気をつけたい。

また、この「家賃債務保証業者登録制度」は、2017年10月25日施行の「新たな住宅セーフティネット制度」に伴い創設されたものだが、必ずしも住宅確保要配慮者に対する保証を義務づけているわけではない。また、登録そのものも任意となっていることに注意が必要だ。


家賃債務保証業者登録制度に関する「登録規程」が2017年10月2日に公布され、10月25日には登録申請の受付が始まった。規程の内容をもとに、登録基準や遵守すべきルールなどについて確認しておくことにしよう。



制度の目的や仕組みはどうなっている?


「家賃債務保証業を適正かつ確実に実施することができる者」として、一定の要件を満たす家賃債務保証業者を国に登録し、国はその情報を広く一般に公開する。また、登録業者に対して制度で定めたルールを遵守させることにより、一定レベル以上で業務適正化に取組んでいること(その姿勢があること)を明らかにする。

現状では特段の法規制などがない家賃債務保証業について、共通のルールを定めることにより信頼性を高めようとするものだ。国が何らかの保証やお墨付きを与えるものではないが、貸主や借主が家賃債務保証業者を選択する際の目安として活用することができるだろう。

また、「新たな住宅セーフティネット制度」と関連し、登録を受けた家賃債務保証業者が住宅確保要配慮者に対して保証をする場合には独立行政法人住宅金融支援機構による家賃債務保証保険の対象となるほか、住宅セーフティネット法に基づいて登録された「専用住宅」に低額所得者が入居する場合における保証料の低廉化補助の対象にもなる。これらは国土交通省が「登録業者のメリット」として挙げているものだ。

これらのメリットは、家賃債務保証業者に登録を促す要素としてやや弱い印象も否めないが、大手事業者が率先して登録し、それが一般に周知されていく流れができれば、登録事業者の増加につながるものと考えられる。


家賃債務保証業者登録制度は、貸主や借主が家賃債務保証業者を選択する際の一定の目安として活用することができる



登録業者が守るべきルールとは?


登録された家賃債務保証業者が遵守すべきルールとして定められているのは主に次の項目だ。

□ 登録業者の従業者であることを証する証明書の携帯
□ 暴力団員等の排除
□ 虚偽告知及び誇大広告の禁止
□ 違約金等について消費者契約法に反する契約の制限
□ 契約締結までに重要な事項に関する説明・書面交付
□ 契約締結時の書面交付
□ 賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け
□ 登録業者であることを表示する標識の掲示
□ 受領した家賃等について自己の財産と分別して管理
□ 業務及び財産の分別管理等の状況の報告

他の業種、業界に共通する内容も多いが、注目しておきたいのは「契約締結までに重要な事項に関する説明・書面交付」である。不動産取引における「重要事項説明」と同じようなルールが設けられた。

ただし、宅地建物取引士のような資格制度はないため、説明をする者について特段の制限は設けられていない。登録業者の責任において適切に説明をさせることができるなら、委託を受けた不動産仲介会社(登録業者でなくても可)による説明も認められる。

また、説明方法についてもとくに規定はなく、対面のほか、電話やテレビ電話などによる説明も可能だ。「口頭で説明すること」は求められるものの、重要事項説明書を紙の書面ではなく電磁的記録として電子メールで送ることもできる。

なお、従事する際に携帯、および関係者から求められたときに提示する「登録業者の従業者であることを証する証明書」についても特段の様式や定めはなく、会社名およびその従業者であることが分かればよいとされている。宅地建物取引業を兼ねているのであれば業法に基づく従業者証明書、あるいは他の制度による従業者証明書などでも構わない。任意登録制度である限りは、あまり厳格な内容にできないのだろう。


家賃債務保証業者登録制度に関する「登録規程」が2017年10月2日に公布され、10月25日には登録申請の受付が始まった。規程の内容をもとに、登録基準や遵守すべきルールなどについて確認しておくことにしよう。



家賃債務保証業者登録基準の主なポイント


登録の有効期間は5年間(5年ごとの更新制)となっているが、初回登録時および更新時において一定の要件を満たしていなければならない。その主な基準は次のようなものだ。

□ 暴力団員等の関与がない
□ 安定的に業務を運営するための財産的基礎がある(純資産額1,000万円以上)
□ 法令等遵守のための研修の実施
□ 業務に関する基準を規定した内部規則・組織体制の整備
□ 求償権の行使方法が適切である
□ 相談または苦情に応ずるための体制整備
□ 法人の場合、次のいずれかを満たすこと
 ・家賃債務保証業を5年以上継続している
 ・常務に従事する役員のうちに、家賃債務保証業務に3年以上従事した経験をもつ者がいる
□ 個人の場合、その者が家賃債務保証業務に3年以上従事した経験をもつこと
□ 使用人(事務所の代表者など)は家賃債務保証業務の経験が1年以上であること
□ その他、一定の欠格要件に該当しないこと

登録を受けようとする家賃債務保証業者の売上高の多寡は問われないが、債務超過に陥っていないかを確認する観点から「純資産額が1,000万円以上であること」を登録基準としている。登録業者は毎事業年度終了後3ケ月以内に「業務等状況報告書」を提出することになっており、その時点で純資産額が1,000万円を下回れば欠格要件に該当し、登録は取り消されることになる。

登録は個人事業者も可能だが、法人でも個人でも一定年数以上の実務経験が求められる。金銭にまつわる業務が伴うため、全員が未経験の会社を登録しないのは当然の措置だろう。業務経験の内容としては、商品企画、保証審査、契約管理、督促・回収、相談対応、代理店管理、サブリース事業における転貸人としての督促・回収などが想定されているようだ。

なお、1年以上の経験が求められる「使用人」とは、契約の締結や履行に関する権限を有する者であり、事務所の代表者、支店における支店長などが該当する。


金銭にまつわる業務が伴うため、全員が未経験の会社を登録しないのは当然の措置といえる



家賃債務保証業者登録制度の実質的なスタートは2018年から!?


家賃債務保証業者の登録は国土交通省が実施する。ただし、実際の登録事務は各地方整備局(北海道は北海道開発局、沖縄県は沖縄総合事務局)が行うため、申請者は主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局などに対し、原則として郵送で申請書類を提出することになる。郵送実費などはかかるが、登録そのものについては無料となっている。

提出書類は多岐にわたるが、役員(全員)や使用人の本人確認書類、内部規則や組織体制についての書類、実務経験者証明書、実務経験者の業務経歴書、直前の事業年度における財務関連書類なども必要だ。

登録申請から実際の登録までは、すべての書類が揃ってから90日程度を想定しているという。ただし、登録制度開始直後に申請が集中すれば、これを超える場合もあるようだ。新たな住宅セーフティネット制度の施行に合わせて10月25日から登録申請の受付が始まったものの、実質的に年内は「登録事業者が存在しない」状態が続くことになる。

そのため、家賃債務保証業者登録制度の実稼働は2018年からになるが、一般に対して稼働後にどう周知していくのかが課題だろう。国土交通省の対応をしっかりと注視していきたい。


家賃債務保証業者登録制度の実稼働は2018年からとなる



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