地域完結型の医療と介護の連携を目指す、恵庭コミュニティビレッジピッセとは?

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包括的コミュニティーを理想とする、複合医療施設とは


総務省によると、2017年4月時点で、65歳以上の高齢者人口は3,489万人、そして2025年には、3,677万人に達するという。国民の3割が65歳以上の高齢者になる時代は、すぐそこにきている。核家族が多い現代では、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が今後もますます増えていくだろう。自立した暮らしかてきなくなったとき、高齢者自身、 住み慣れた地域を離れて都市部に住む子とも世帯と同居をするのか、高齢者向け住宅て暮らすのかと、考えるかもしれない。そういった親を持つ子も、親の終の住まいについて向き合わなけれはならなくなる時かくるたろう。

住み慣れた地域を離れてしまうと、慣れ親しんだ友人もいなければ、今までとは勝手も違う暮らしに戸惑い、孤独を感じてしまう高齢者も多いと聞く。高齢者にとって最後まで安心して暮らせる場とはいったいどういった環境なのだろうか。
そんな中、住み慣れた地域やコミュニティーから離れることなく、「最後まで安心して暮らせる場の提供」と「在宅緩和ケアの推進」を目的とする、「恵庭コミュニティビレッジピッセ」が2017年7月に誕生した。北海道は札幌都市圏内の恵庭市に位置し、サービス付き高齢者住宅とクリニック、デイケアの3棟を一つの敷地に集約した複合医療施設である。今後は高齢者が多世代と共生し、社会と関わり合う包括的コミュニティーの場をつくることを目指すという。

核家族や高齢者のみの世帯が増えた結果、世代間の交流も減り、地域コミュニティーが希薄化してきているようにも感じる。このような取り組みは、これからの地域のあり方としても求められてくるのではないかと思い、訪ねてみた。


恵庭コミュニティビレッジピッセ。クリニック、デイケア棟、サービス付高齢者住宅の3棟が2017年7月にオープン



最後まで地域で暮らすための、地域完結型医療と介護の連携


事業主は、もともと恵庭市内で在宅緩和ケアクリニックを運営していた「医療法人社団 緩和ケアクリニック・恵庭」である。

現在完成している3棟は、所有している土地22,000m2のうち6,000m2を開発したものである。未開発の敷地においては、ショートステイや訪問介護を可能とする小規模多機能施設や戸建賃貸、運動ができる場、畑や果樹園、さらに保育園などをつくり、高齢者だけの場所ではなく、多世代が交わり、互いに支え合って暮らせるような場づくりを進めていく構想だ。
今回は理事長の柴田岳三氏にお話を伺うことができた。

「私たちのような在宅緩和ケアに関わる人は、環境やケアする人たちが変わることなく、地域で完結できるような医療介護の連携を目指します。自宅で訪問診療を受けて、そこで最期をむかえるという方は幸せですが、家にいることができない方も多い。そういった方たちがこの施設に入ることで、病状が変わるたびに違うところへ移動させられる、ということも無くなり、最後まで地域で安心して暮らせるのでは、と考えています。」

構想の実現のために、まずは今ある3棟の経営を成り立たせ、段階的に計画を進めていく予定だ。
「成り立つかどうかもまだわかりませんが、これが地域における在宅緩和ケアのひとつのモデルになればと切に望んでおります。」


医療法人社団 緩和ケアクリニック・恵庭 柴田岳三理事長緩和ケアクリニックは、在宅緩和ケア(家をホスピスにすること)を目指し、訪問診療を生業としている



大事なのは暮らし。木のぬくもりが心身のケアにつながる


現在完成しているサービス付き高齢者住宅とクリニック、デイケアの3棟の建物や内装も理事長の想いが詰まっている。
施工は、4,500棟を越える医療・福祉施設建築に携わる三井ホーム株式会社のグループ会社である三井ホーム北海道株式会社が行った。理事長の「高齢者にとって住み慣れた木造建築物と木のぬくもりは、心身のケアにもつながる」との想いから、全3棟が木造枠組壁工法で建設された。

「何が大事かというと、『暮らし』ですから、居心地のいいところでなくてはなりません。ここに入られる方のために、少しでも病院のような冷たさのない、暖かみのあるところがいいだろうという想いです。」
柔らかな色調の建具や床材に加え、特注のオリジナルテーブルや椅子が各施設に配置されているというこだわりも伺える。
話を伺ったのは、まるで自宅の食卓のように椅子とテーブルが何個も配置されたクリニックの待合室であった。部屋の名前には、多目的ホールと書かれていた。
「ここはもっといろんな企みがあって、自宅で療養している患者さんが集まって、音楽や会話を楽しんだり、趣味を楽しんでもいいし、引きこもりを防いで少しでも楽しい時間を過ごせるようなデイホスピスができればと思っています。」

デイケア棟では、赤や青などのビビットな色を取り入れたり、トイレのインテリアを一室ごとにがらっとテイストを変えるなど、施設内各所にアクセントカラーや色柄が取り入れられ、利用者が楽しく過ごせるよう工夫されている様子が伺えた。

7月にオープンしたばかりのため、サービス付き高齢者住宅とデイケア棟にはまだ空きがあるという。
「利用したかたからの評判でこれから広がっていけばと思っています。告知もインターネットやSNS等も使っていきたい。」とのことだった。

高齢化はますます進行し、さらに多世代間の交流が希薄となっている現代において、高齢者が多世代と共生し、社会と関わる機会を得ることは、高齢者が安心して暮らせるだけではなく、生き甲斐にもつながるのではないだろうか。
まだ始まったばかりの試みではあるが、高齢者以外の世代との関わりが増えていくことで、世代間の交流が活発になり、やがて小さな街のようになっていくのかもしれない。
今後、「恵庭コミュニティビレッジピッセ」がどのように発展していくのか、期待したい。

医療社団法人 緩和ケアクリニック・恵庭 http://www.pcce.jp/index.html


(左上)サービス付き高齢者住宅のモデルルーム、(左下)クリニック棟多目的ホール、(右上)デイケア棟内機能訓練スペース、(右下)デイケア棟内トイレ



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