団地から考える”借りて暮らす”面白さとは。「OURS.KARIGURASHI MAGAZINE」

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団地から考える”借りて暮らす”面白さとは。「OURS.KARIGURASHI MAGAZINE」の記事画像

「借り暮らし」にフォーカスしたカルチャーWebマガジン


戦後の住宅不足を解決するため大量供給された団地。これらの団地を日本住宅公団から受け継ぎ、現在約74万戸の賃貸住宅を管理しているのがUR都市機構だ。高度経済成長期に都市へ集中する労働者の受け皿として開発された郊外の住宅地は、日本の経済発展の象徴ともいえるだろう。

しかし、建設から50年以上が経過し、その状況は変わってきた。本格的な少子高齢化や人口、世帯減少社会の到来を迎え、住民の高齢化や建物の老朽化が大きな課題となっているのだ。また、当時主流だった間取りも、消費者のライフスタイルの多様化と共に、ニーズに合わなくなってきている。

その中で、「借りて暮らすこと」の面白さや魅力を発信するWebマガジンがある。「OURS KARIGURASHI MAGAZINE」(アワーズ カリグラシマガジン ※以下、OURS.)だ。運営しているのは、UR都市機構の西日本支社の社内プロジェクトを中心とするメンバーである。しかし、直接的なUR賃貸住宅への誘導や広告などはなく、「UR」という企業のPRをしている訳でもなさそうである。

今回、LIFULL HOME'S PRESSは、OURS.と提携し、定期的に記事をあげてもらうことになった。OURS.の立ち上げにはどのような背景があり、日々どのような運営がされているのか。UR都市機構の担当者と編集担当する二人にお話を伺った。


「OURS.KARIGURAHI MAGAZINE」のTOPページ。一般的なWebサイトのカテゴリ構造ではなく、企画やタグなど、様々な切り口からアクセスできるのがユニークである



「借りて暮らす」ことの概念を覆したい


今回お話を伺ったのは、OURS.の企画立案を担当したUR都市機構 大阪エリア経営部企画課長 西山直人さんと、プランニング・撮影を担当する株式会社 フォトアンドカラーズ 代表取締役 平野愛さん、編集を担当するRe:Sの竹内厚さんの3名。(※以下、インタビュー内敬称略)

-OURS.はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

西山:元々は、UR賃貸に住んでいただいている年齢層として少ない20~30歳代前半の世帯に対し、賃貸住宅に住む身軽さや自由さなど、もっと広い意味で「貸し、借り」の面白さを発信したいと考えていました。また、持家志向が強い世の中にあって、「賃貸」や「団地」という言葉が持つ少しネガティブな概念を覆したかったという一面もあります。 ですから、発信したかったのはUR賃貸の直接的なPRというよりも、“貸す、借りる”といった行為に潜む人と人との繋がりや、面白さを表現する文化発信的なウェブにしたいという気持ちがありました。

平野:この企画をいただいた時、私自身もそれまでにたくさんのUR賃貸の撮影をする中で、"借り住まい"の魅力を伝えるカルチャーマガジンのようなようなものをやりたい気持ちがずっとありました。そして、この企画を形にする上で、それまで様々なカルチャーマガジンの編集に携わってこられた竹内さんに参画して欲しく、声をかけたんです。構想に半年をかけ、1年で公開までこぎつけました。


今回お話を伺ったOURS.に携わるスタッフの皆さん。左から株式会社フォトアンドカラーズ 制作担当 助口優衣さん、</BR>Re:S 竹内厚さん、フォトアンドカラーズ代表取締役 平野愛さん、株式会社フォトアンドカラーズ 制作担当 松川祥広さん、UR都市機構 大阪エリア経営部企画課長 西山直人さん。撮影場所は、UR梅田営業センター内にあるOURS.のブース。</BR>Webの世界がそのまま飛び出したかのように作品、出版物が紹介されている



3年続けてきたからこそ見えてきた"生活感"という魅力


-OURS.を運営する上で、編集者としてこだわっている部分は?

竹内:日本全国にある団地ですから、住人や1階部分にテナントとして入っている場合のある飲食店の紹介など、"団地の中"にフォーカスするだけでも一つの雑誌ができてしまうと思っていました。住む人が違えば歴史も異なるので、団地に特化したメディアを立ち上げることについて異論はありませんでした。ただ、それだけに閉じてしまうと、"団地"というキーワードを検索しないような人に対して、借り暮らしの魅力が伝えきれないとも思いました。そうした想いもあり、OURS.では、住人の方だけでなく、アーティストを中心とした様々な分野の方にインタビューしています。
団地の中だけに閉じてしまってもいけないし、かといって団地の要素をすべて除く訳でもない…こうした"団地色"の見せ方のバランスは、今も微調整をしながら運営しています。

-OURS.の中でも特に人気を集めている企画コンテンツがあるとお伺いしました。

平野:OURS.は、主にコンテンツをキーワード(タグ)で括っているのですが、その中でも、「#家の中」というタグがダントツの人気があります。これは文字通り、団地の部屋の中の様子を取材しているコンテンツなのですが、突撃取材のような形で訪問することもあるので、住人さんの"生き様"があらわれやすいからかな、と思います。

竹内:立ち上げ当初は、団地の外観、廊下や階段のディテールなど、建物の味わい深さを伝えようとする写真を多く掲載していました。写真家らの眼を借りて、多くの発見もありましたが、ただ、それだけでは団地の面白みを全て掴みきれていない感覚もありました。そこでこの1年、部屋にフォーカスを当てた企画を増やしました。同じ間取りにも関わらず、住人一人ひとりの創意工夫があり、写真を通じて住民の生活がにじみ出るコンテンツとなりました。あえて住人の姿を写さないようにした企画もあり、部屋だけを見せることで読者に想像を掻き立てる余白を残しています。


「OURS.KARIGURASHI MAGAZINE」掲載記事より。それぞれの部屋に住む住人のリアルが生活感がにじみ出ている<BR />(写真左上)桜川団地 撮影:Ayami、(写真右上)赤川町団地 撮影:Ayami、</BR>(写真左下)さざなみプラザ第8団地 撮影:沖本明、(写真右下)鷺洲団地 写真:Ayami</BR>いずれも編集は竹内厚さん、団地コーディネートは団地愛好家としても知られる辻野憲一さん



記事を通じて新しい暮らしの哲学を知ってほしい


-LIFULL HOME'S PRESSに「OURS.編集部」として記事をあげていただくことになりました。

平野:LIFULL HOME'S PRESSの「"らしく暮らす"ための情報を提供する」というところで同じ方向と感じています。OURS.の記事から"借りて暮らす"ことに対する多様性を知ってもらい、納得のいく住まい選びをして欲しいと思います。今では「OURS.を読んで団地のイメージが変わった」、「きれいに飾られた部屋ではなく、こうした他人の生活感のある記事が読みたかった」というご意見もいただけるようになりました。関西から全国に向けて発信されるメディアが少ない中、関西にも多彩なクリエイターがたくさんいるということも伝えられたらと思います。

竹内:OURS.では、団地の枠にとらわれず、”借りて暮らすことの意味"という答えのない問いに向き合っています。インタビューでは、「借り暮らし」というテーマの中で、住まいにまつわる専門家だけではなく、アーティストを始め多彩に活躍されている幅広いジャンルの方にお話を伺っています。新しい暮らしの「ニュー哲学」を聞き出したいという思いです。単なるニュースではなく、様々な人が考える、古びない、今考えるべき住まいに対する哲学を投げかけていることを知ってもらえると嬉しいです。

西山:OURS.で伝えたいことは、いかに「家」という空間を住みこなすのか、そこでの暮らしをどのように豊かにするのかということです。その問いに答えるために、いろんな方の住みこなしの例を提示し、暮らしに対するちょっとしたヒントを発信できればと思っています。借りている部屋であってもいかに快適に住みこなすか、このあたりをより多くの皆さんに感じていただければと思います。


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住まいの「本当」と「今」を伝えるLIFULL HOME'S PRESSと、「借り暮らし」の魅力を伝えるOURS.。「らしく住む」ための知識・アイディア・ヒントの提供という共通した思いで連携できることになった。

LIFULL HOME'S PRESSの中で発信される「借り暮らし」の魅力を、楽しみにして欲しい。

■取材協力
OURS. KARIGURASHI MAGAZINE http://ours-magazine.jp/


昭和30年代の鶴舞団地(奈良県)の空撮写真。OURS.ではこうした貴重な写真も発信している



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