“IT技術者専用”の シェアハウス「テックレジデンス恵比寿」。“住む+学ぶ+成長する”を目指す暮らし方

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東京・恵比寿に2017年4月にオープン、入居待ちが出るほどの人気


住まい選びの選択肢の1つになりつつあるシェアハウス。
同じ趣味や目的をもつ人が暮らすコンセプト型と呼ばれる物件が増えているなか、今回、紹介するのは、ITエンジニアやITクリエイターなどIT技術者が暮らすシェアハウスだ。

取材に訪れたのは、東京都渋谷区にある「テックレジデンス恵比寿」。

JR山手線恵比寿駅から徒歩10分の立地で、2017年3月末に完成した新築6階建て。1階はリビングやキッチンなど共用スペース、2階から5階に居室があり、全12室(各室約7帖)。家賃は11万3000円~12万2000円、このほかに共益費・管理費が月1万5000円(インターネット利用、水道光熱費、イベント費含む)となっている。

大きな特色となっているのが、入居者をIT技術者に限定していること。全室にWi-Fiを完備。高速インターネット回線を共有スペースと各居室に備えているほか、共有スペースにはプロジェクターを用意しているので、入居者同士で勉強会を開くこともできる。

IT技術者というと、多忙で残業の多い職業といわれている。そうした人たちにとって、プライベートでも同業者と一緒に住む環境はどうなのだろうと気になっていたのだが、それは筆者の勝手な思い込みだった。この「テックレジデンス恵比寿」、なにしろ人気なのだ。2017年4月にオープンし、満室になったのは2ヶ月目だが、定員12人のところを約40人もの入居応募があったという。今も10人を超す入居待ちが出ている。


「テックレジデンス恵比寿」の外観。2階から5階が居室で、各フロアにシャワールームとトイレがある。6階は、ウッドデッキが敷かれた屋上



人材サービス会社が新規事業として立ち上げたシェアハウス


運営するのは、人材サービス会社の株式会社ウィルグループ。主には人材派遣や人材紹介などを手がけるウィルグループだが、新規事業として2014年からシェアハウス事業に取り組んでいる。

きっかけは同社の社内新規事業コンテスト。グランプリを取ったのが「IT技術者向けのシェアハウス」だった。この事業の発案者であり、現在、同社シェアハウス部部長をつとめる若泉大輔さんは、原点となった想いをこう話す。

「私は関西の出身で、小学生のとき、阪神・淡路大震災を経験しました。奈良に住んでいたので、大きな被害はなかったのですが、兵庫にいる知人は被災して大変でした。でも、ご近所同士助け合って、乗り切ることができ、子どもなりに『地域の人たちってありがたいな』と思ったんです。私の地元もご近所づきあいが盛んです。高校生のときには『部活の試合、どうだった?』『彼女、できた?』なんて、町内のおばさんが私に聞いてくるという環境でしたから。それが大学卒業後、就職して住むようになった東京は、違いました。はっきり感じたのは、東日本大震災のときです。私は東京の賃貸マンションで一人暮らしをしていて、被災はしていないものの、余震が続いたり、不安を感じながら過ごしていた時期です。ところが、マンションの住民同士で声をかけあったりすることは全然ないし、隣の部屋に住む人とも挨拶すらしたことがない…。寂しいなと思いました。それで、東京を心から好きになれずにいたのですが、私の仕事の拠点は東京だし、これからも住むまちです。どうせなら、好きなまちであってほしい。好きなまちって何だろうと考えたとき、人と人とがふれあえるコミュニティのあるまちだと。ならば、コミュニティが強い場をつくりたい。そう思ったのです」

コミュニティの場づくりを事業にするべく、若泉さんが着目したのがシェアハウスだった。

「その頃、急成長のビジネスとして話題になっていたのがシェアリングエコノミーでした。そこで思いついたのがシェアハウスです。私の友人がシェアハウスに住んでいて、何度か遊びに行ったことがあるのですが、入居者たちのコミュニティができていて楽しそうでした。しかし、事業として考えたとき、世の中には既に多くのシェアハウスがあるので、私たちが参入するなら、斬新なコンセプトを打ち出して『尖る』必要があります。尖るなら、伸ばせるチャンスがあるものを、ということでリサーチをした結果、生まれた構想がIT技術者向けのシェアハウスでした」


株式会社ウィルグループのシェアハウス部部長、若泉大輔さん。同社では営業職や人事などを経験し、現職に。もともと事業を興すことには興味をもっていたという



目指すはIT版「トキワ荘」。IT技術者が切磋琢磨し、成長していける場に!


なぜ、IT技術者なのか?

「その頃、当社でIT業界の人材紹介事業が始まっていたことも影響していますが、リサーチを重ねるなかで私が興味を引かれたのは、日本はIT技術者の人材が不足しているということでした。ITの市場は広がる一方なのに対し、人材が足りていないのです。また、日本はIT教育も遅れをとっています。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されますが、海外に目を向けると既に初等教育に取り入れている国は少なくありません。そんな状況に対して、私たちができることはないかと。そこで、シェアハウスを通して、IT技術者が育ち、成長していけるようなコミュニティの場をつくりたいと考えたのです」

若泉さんが目指したのは、IT版トキワ荘。トキワ荘とは、1950年代から1980年代初めに存在した木造アパートである。多くの若手漫画家が住み、励まし合ったり切磋琢磨しながら数々の作品を描き、後世に名を残す漫画家へと成長していった。若き日の手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、多数の著名漫画家が住んでいたことでも知られる。

このトキワ荘のように、IT技術者が活発に情報交換したり、それぞれの職場で身につけた専門的なスキルや知見を共有しあい、刺激を受け合う場にしたい。そんなコンセプトのもと、ウィルグループの新規事業の手始めとして2014年11月、東京・表参道で「テックレジデンス表参道」を開設した。既存の2階建てのマンションをリノベーションしたIT技術者向けシェアハウスで、全16室。運営を受託する形でのスタートだったが、オープンしてほどなく満室になり、一時は約40人の入居待ちがあったという。

「テックレジデンス表参道」の成功を受けて、ウィルグループが土地を取得し、新築物件としてオープンしたのがこの「テックレジデンス恵比寿」。ちなみに「テックレジデンス表参道」は物件オーナーとの契約期間終了により、2016年12月に運営を終了しているが、ここに住んでいたIT技術者の中の数名は、「テックレジデンス恵比寿」に移り住んでいるという。


1階の共用リビングはカフェのような雰囲気。無料のWi-Fiや52型テレビ、Apple TVなどが用意されている



入居者全員の知識と技術を結集させ、新たなITサービスの開発が進行中


ウィルグループのシェアハウス事業がスタートして3年が過ぎた今、若泉さんは「いい意味で予想が裏切られました」と楽しそうに語る。

「IT技術者として働く人は、新しいITサービスをつくりたいという気持ちが強い人が多く、自分のスキルアップにつながる情報を求めていることがよくわかりました。それは、私が思っていた以上です。このテックレジデンスでも勉強会や、技術開発のアイデアを出し合うイベントなどが活発に行われています。当社が主催するものもありますが、入居者さんが自発的に主催するケースも少なくありません。ここには入居者さんの知り合いのIT技術者もやってきます。ITという共通の話題で語り合い、所属する会社の垣根を超えてコミュニティが広がっていく…そんな場面に私もしばしば立ち会わせてもらっています」

「テックレジデンス恵比寿」に住むIT技術者たちは、勉強会の場でなくてもふだんから新しいアプリやIT機器などの話題で盛り上がっているという。ここに住む全員の知識と技術を結集させて新サービスの開発にも取り組んでいるそうで、夏には合宿までやってしまったというから驚く。

「一つ屋根の下に住んでいるのに、なんで合宿までするのかと思われるでしょうけれど、『いつもと違う場所で気分を変えてやってみたい』ということで、入居者さんから合宿の提案があったんです。そこで鎌倉のゲストハウスを貸し切りにして1泊2日で行ないました。面白そうなので、私も参加しましたが、みなさん、ずっとパソコンに向き合っていて、開発に熱中しているんです。このときに取り組んでいたプロジェクトはまだ開発中ですが、『テックレジデンス恵比寿』から新しいITサービスが生まれ、世の中に送り出せるよう、当社としても支援していきたいと考えています。入居者さんが後世に名を残すようなIT技術者に成長していってくれることを願っています」

現在、ウィルグループでは、東京・目黒に同じコンセプトのIT技術者専用のシェアハウスを建設中で、2018年6月にオープンを予定している。目黒と恵比寿で入居同士の交流を進め、コミュニティの輪を広げていきたいという。


上左)エントランスの様子。玄関の鍵はSuicaやスマホ連動のスマートロックキー</BR>上右)1階リビングにはカウンターテーブル付きのキッチンが併設されている</BR>下)居室は全室に防音設計が施されているうえ、冷蔵庫、洗面台、ワードロープも完備。左はAタイプ(正方形の部屋)、</BR>右はBタイプ(扇型の部屋)



「どんな人が住むのか」にこだわり、入居者は面接にパスした人のみ


こうした「IT版トキワ荘」をつくるうえで、若泉さんが力を入れている重要ポイントがある。それは「入居者を選ぶ」ということ。いかにも人材サービス会社らしい「人へのこだわり」だ。

「シェアハウスの雰囲気をつくるのは、入居者さんです。IT技術者なら誰でもいいというわけではありません。共同生活をするうえでルールやマナーを守れる人であることも大切ですが、お互いによい刺激を与え合い、スキルを高め合うことに積極的な人に住んでいただきたいと考えています。そこで入居を希望する人には当社が面接させていただき、『この人ならば』と思える人のみ、入居していただいています」

こう話す若泉さん。以前、人材紹介や派遣の部門のほか、ウィルグループの人事部にも在籍していた経験があり、面接した人数は1000人以上にもなるという。つまり、よい人材を見極める目をもっている。
そんな若泉さんが入居希望者に必ず質問することは2つあるという。ひとつは「このシェアハウスでどんな価値提供をできるのか、教えてください」。

「その人が関わっている仕事や勉強していることなど、どんなことでもいいので、『ITのこの分野なら自信がある』というものを知りたいです。例えば、『仕事で携わっているこのプログラミング言語なら、みなさんにご指導できます』とか、『AIのこの領域を研究しているから、ノウハウをお伝えできます』などといったことを教えていただければ、と思います」

もうひとつは、「今後、学んでいきたいことや身につけたいスキルを教えてください」という質問。

「これから成長していきたいと真剣に考えている人に住んでいただきたいので、未来に向けてどんなことをしたいのかをお聞きします」

ちなみに「IT技術者を目指している人」の応募も受け付けるというが、その場合には面接で本気度をみる。「最近、ITのどんな勉強会に参加しましたか?」「ITのどんな本を読んでいますか?」「具体的にどんな仕事をしたいですか」といった質問を投げかけるという。

では、どんな人が面接にパスしているのだろう? そして、「テックレジデンス恵比寿」の住み心地とは?

現在、男性7人、女性5人のIT技術者が住んでいるが、入居者のひとり、Webメディアの運営に携わる女性に話を聞くことができたので、次回記事でレポートしたい。

☆取材協力
株式会社ウィルグループ
http://willgroup.co.jp/

テックレジデンス恵比寿
http://techresidence.com/


6階の屋上にはテーブルと椅子が置かれ、入居者たちの気分転換のスペースになっている。入居者が集まって、バーベキューを楽しむこともあるそうだ



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