入居者同士が開発チームのような関係に。IT技術者専用シェアハウスの効能とは?

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夢を叶えるため、テックレジデンスは不可欠だった


IT技術者専用シェアハウス「テックレジデンス恵比寿」(全12室)。
前回記事では、運営管理に携わる人材サービス会社の株式会社ウィルグループでシェアハウス部部長を担う若泉大輔さんの想いを中心にお伝えした。今回は入居するIT技術者のインタビュー記事をお届けする。

この「テックレジデンス恵比寿」は、IT技術者が育ち、成長していけるようなコミュニティの場をつくることを目的とするシェアハウス。
ここに住むことで、キャリアを形成した人がいる。中西由貴さん、30歳。株式会社ネットネイティブに勤務し、国内最大級の女性向けニュースサイト「モデルプレス」の運営を担当している。

「テックレジデンス恵比寿」の住人第1号で、2017年4月末のオープンとともに入居した。

「以前、この物件と同じウィルグループが運営していたIT技術者向けのシェアハウス『テックレジデンス表参道』に7ヶ月ほど住んでいたんです。そこに住んでいたメンバーからよい刺激を受けたし、私自身、本当にやりたい仕事への転職を叶えることができました。でも、2016年暮れに運営終了になってしまって…。テックレジデンスのコミュニティは素晴らしいと思っていたので、この『恵比寿』ができるのを待って、引っ越してきました」

中西さんから「転職」という言葉が語られたのだが、前職はソフトウェア会社勤務のエンジニア。クォリティエンジニアとして、ソフトウェアの仕様を考えたり、サービスの品質に問題がないかをチェックしたり、使いやすさや機能のテストを行うといった業務に就いていた。

「ソフトウェアに関して幅広いスキルが身についたし、いろんな経験をさせてもらったと思います。でも、私が本当にやりたいことは『伝える仕事』でした。大学時代もマスコミを専攻していて、メディア業界で働きたいと考えていましたが、私が就職活動をしていた頃はリーマンショックの影響で新卒採用を控えていた企業が多くて…。大学は大阪でしたが、卒業後はひとまず東京のソフトウェア会社に就職し、『いつかは…』と転機を探っていたのです。ただ、就職先は大手で福利厚生もよかったし、仕事も任せてもらっていたので踏ん切りがつきませんでした。そうこうするうちに29歳になってしまい、『20代のうちに、Web業界への転職を実現させたい!』と、気持ちを奮い立たせたのです」


株式会社ウィルグループのシェアハウス部部長、若泉大輔さんと、「テックレジデンス恵比寿」に住む中西由貴さん



入居者からの情報や励ましに助けられた


ソフトウェア会社に勤めながら、転職エージェント会社を利用して転職活動を開始。そのプロセスで知ったのが、IT技術者向けのシェアハウス「テックレジデンス表参道(以下、「表参道」)」の存在だった。中西さんが登録していた転職エージェント会社がウィルグループの系列会社だったことから得られた情報という。

「ちょうど1部屋空いていたので、『ここに住みたい!』と思いました。同じIT業界でも、Webは私にとっては未経験の世界です。『表参道』にはWeb業界に身を置くエンジニアやデザイナーも住んでいるので、転職にプラスになると思い、入居しました」

2016年5月、一人暮らしをしていた賃貸から「表参道」へ引っ越した中西さん。
そこにはITの最前線のサービスに携わる技術者が住んでいて、Web業界に関するさまざまなリアルな話を聞くことができたし、勉強会も頻繁に開かれていたので知識を増やすことができた。

そうして2016年9月、念願の転職を果たした。転職先の会社はWebメディア事業を立ち上げようとしているタイミングで、その事業を任されたのが中西さんだった。

「私自身、将来は独立を考えていて、ひとつの事業をまるごと任せてもらえるような会社で働きたいと希望していたんです。理想の職場と出会え、Webメディアの立ち上げを担当させてもらえることになりました」

担当者は中西さんひとりだけという状況だったが、「表参道」の入居者からアドバイスをもらいながらやり遂げることができたという。その実績が評価され、現在の勤務先であるネットネイティブへ2度目の転職をした。

「Web業界への転職も、そして最初の転職先でのメディア立ち上げの仕事も、20代最後の年だからと思って無我夢中でした。サイトに掲載する記事が足りなければ夜も寝ないで自分で書いたし、土日も関係なく働いていました。そこまで私が頑張れたのは、テックレジデンスのメンバーのおかげです。『こういう知識がほしいのなら、詳しい人が知り合いにいるよ』と、人を紹介してくれたし、なにより、嬉しかったのは、『ユキならできる!』と励ましてもらえたことです。テックレジデンスに住まなくても転職できたかもしれませんが、これほどまでに自信をもってスタートラインに立つことはできなかったと思います。私の人生を変えた住まいなんです」


上左)「リビングは居心地がよくて、仕事も進みます」と、中西さん</BR>上右)リビングにさりげなく置かれているロボット掃除機。新しいIT機器を取り入れていきたいとのことで、</BR>最近ではAIスピーカーを導入</BR>下右)リビングの入口のガラスには、入居者全員で考えているという新サービスの開発メモが書かれていた</BR>下左)共用の本棚には入居者が持ち寄った専門書が並ぶ



趣味の延長のような感覚で、IT関連の話題で盛り上がる


「IT技術者」という共通項でつながれた仲間たちとの日々を、心から楽しんでいる中西さん。

現在、「テックレジデンス恵比寿」では、中西さんはじめ12人の入居者と、運営管理にあたるウィルグループとのやりとりに使われているのは、Slack(スラック)というチャット形式のツール。Slackは企業の開発部などで使われているコミュニケーションツールで、そうしたツールが導入されていることも、IT技術者専用の住まいならでは。このSlackを用い、IT関係のセミナー情報から恵比寿のグルメ情報まで、入居者や若泉さんが自由に投稿し、共有している。

「でもメンバーとは、ほぼ毎日顔を合わせていますよ。会社から帰ってきても自分の部屋ではなくて、みんなリビングでパソコンを開いて作業したり、最近発売された端末やアプリの話題などで盛り上がったりしています。そういうコミュニケーションを通じ、メンバーそれぞれのビジネスに活きるときもあります。発表する前のサービスや事業に関する秘密保持をするのは当たり前のルールですが、自分の仕事のヒントになるような意見をもらったり、『今、こういうスキルのあるエンジニアが足りないんだけど、いい人知らない?』という情報交換はしょっちゅうです。メンバーの中にはフリーランスで働いている人もいて、ここのメンバーを介して仕事につながったケースもあります」

現在、入居者全員で新しいサービスの開発にも取り組み中で、この取材の前日も開発に向けて話がはずみ、気がついたら深夜1時過ぎになっていたという。

一般的には「家に帰ってまで仕事の話をするなんて…」と考えてしまいがちだ。が、「テックレジデンス恵比寿」の入居者にとっては、「ITは仕事である以前に、大好きなこと」だという。

「パソコンと向き合うことは、メンバーにとっては趣味の延長みたいな感じなんです。だから『このアプリ、面白いね』とか『こういうITサービスが世の中にあったら、楽しいね』『こういうのを、みんなでつくってみない?』という具合に、話が尽きなくて(笑)。メンバーそれぞれで得意分野が違うので、役割分担もできています。同じ家の住人という枠を超えて、メンバーみんながお互いに高め合うチームだと思っています」

好きなことにとことんのめり込みつつ、入居者同士で料理を一緒につくったり、バースデーパーティを開いたりしてリフレッシュの時間も楽しんでいるといい、「ここのメンバーは同志であり、友だちでもあり、家族のような存在です」と、中西さんは話す。


2017年夏には、鎌倉で合宿。入居者が集い、新しいアイデアを考えた



同じ志をもつ仲間とつながり、未来の自分を語ることができる


中西さんの部屋をみせてもらった。Wi-Fiや部屋の四隅にコンセントがあったり、洗面台が設けられていることなど、住み心地もよく、気に入っているという。2階の約7.2帖の広さの部屋で、家賃と共益費・管理費で月に12万8000円を支払っている。

「恵比寿で新築の物件で、最寄り駅から徒歩10分という立地からすると、一般の賃貸住宅と比べると安いと思います。でも、知り合いから『シェアハウスにしては家賃が高いんじゃない?』と言われることもあります。私は入居するメンバーと時間や知識をシェアできて、つながれることに価値を感じてここに住んでいるので、高いとは思いません。また、30歳前後の男女が暮らすシェアハウスなので、浮足立ったイメージで見られがちですが、ここのメンバーはみんな、自分の成長に対してすごく前向きです。将来の自分はこうなりたいと、恥ずかしがらずに語れる場なんです」

これほどまでに満足できる住まいと出会えた中西さんは幸せだと思う。

「一般的にシェアハウスは、安いから住む、寂しいから住む、恋愛がしたいから住むという場所だと思われがちです。私は世の中にあるそういうイメージを変えたいのです。このシェアハウスに住んで世の中の役に立つサービスを生み出すことで、実証したいです」という力強いメッセージで中西さんは締めくくった。

2回に渡ってレポートをお届けした「テックレジデンス恵比寿」。仕事や働き方、住まいに対する価値観について、興味深い視点が得られた取材だった。

☆取材協力
株式会社ウィルグループ
http://willgroup.co.jp/

テックレジデンス恵比寿
http://techresidence.com/


居室にはエレベーターか階段で移動。中西さんの部屋は2階のBタイプ(扇型の部屋:12.02m2・約7.3帖)



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