オンライン内見やセルフ内見で変わる賃貸の選び方。貸し手と借り手にメリットのある新たなサービスとは?

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続々登場している新しいスタイルの内見サービス


インターネットの普及が進み、私たちの生活のあらゆる場面で新しいサービスによる変革が進んでいる。これは不動産業界もまたしかり。
例えば、昨年(2017年)10月より「IT重説」が解禁された。これは、従来は対面が前提とされてきた賃貸借契約の借主への重要事項説明を、テレビ会議システムなどによって行うものだ。このことでアパートやマンションを借りる人は、直接宅地建物取引士と会わなくても、スマートフォンなどの端末さえあれば重要事項の説明を受けることができる。
この「IT重説」のような賃貸における効率化は、部屋を事前に確認する「内見」でも進んでいるようだ。仲介会社のスタッフが立ち会うことなく自分たちだけで希望する時間に部屋が内見できたり、スマートフォン等を通じたリアルタイム動画で借りたい部屋を確認できる「オンライン内見」などである。こうしたサービスは、急いで部屋を決めなくてはならない転勤・進学前などは非常に便利だろう。
このようなサービスが生まれた背景には、消費者からのどのような声があり、事業者側にとってどのようなメリットがあったのだろうか。これらのサービスを提供する2社にお話を伺った。


不動産業界における新しいサービスの一つとして「内見の効率化」がある。今回はそのなかから株式会社クラスコとハウスコム株式会社のサービスを紹介する。



自分たちだけで好きなように内見できるサービス


賃貸を探すユーザーが希望した時間に自分だけで賃貸物件を内見できるサービスが、株式会社クラスコが2017年9月から提供を開始している「じぶんで内見」だ。
これまで賃貸の内見をするには、まず賃貸の仲介会社へ足を運び、希望に沿った物件を紹介された後、スタッフと共に移動し、説明を受けながら見学をするのが一般的だった。対して「じぶんで内見」は、営業スタッフが同行することなく、自分たちだけで自由に内見をすることが可能だ。現地への移動手段や、検討する物件が複数ある場合、内見する順番も自由に決めることができる。

サービス利用の簡単な流れは以下の通りだ。
1)来店予約
「じぶんで内見」のWeb上で、希望日時と内見希望物件(3物件まで)を選択し、来店予約。
2)来店
予約した日時に来店し、内見時の注意事項を聞き、希望物件の鍵を受け取る。
3)内見
好きな方法で現地まで移動し、到着後は自分のペースでじっくり内見。不明点などはその場から店舗へ問い合わせてもいい。※内見は90分以内に3物件まで可能
4)鍵を返却して終了
内見時間内に来店した店舗へ鍵を返却する。

このサービスの提供に至るまでにはどのような背景があったのだろうか。そこには、賃貸を検討するユーザーに、ある"特徴"があったと株式会社クラスコ代表取締役社長の小村典弘氏は言う。

「スマートフォンの普及によって賃貸物件の情報収集や比較検討は以前に比べて手軽にできるようになりました。つまり、お客様ご自身が物件を絞り込みやすい環境が整ってきているといえます。弊社にお問合せいただくお客様のほとんどは、お問いわせをいただく時点で、ある程度希望する物件に目星が付けられており、すぐに部屋を見てみたいという場合がほとんどです。実際、契約まで至った方は、仕事等の都合で急いでいた方が多い傾向にあります」と語る。

つまり、ユーザー側からすると、仲介会社で希望条件等を伝えたり、提案を待つといった不動産会社とのやりとりの時間を省くことで、物件の契約に至るまでの時間短縮につながるのだ。また、時間の効率化という点以外にも、家具の配置を考えたり寸法を測りたいが、営業スタッフが近くにいると落ち着けないといった、自分のペースで部屋を見たいという要望にも応えるものだという。

さらに、「じぶんで内見」は、仲介事業者側が抱えていた課題の一つを解決するサービスでもあると小村氏。
「引越しの繁忙期である2月~3月は、殺到する内見希望数に対応しきれず、過去、タクシーを用意し、スタッフが同行することなくお客様だけで内見していただく『タクシー内見』もしてきましたが、『じぶんで内見』は、こうした繁忙期の営業スタッフの同行を減らすことで、業務の効率化にもつながっています」。

部屋を借りる側と繁忙期の不動産会社側の双方にメリットのある『じぶんで内見』。同社では、これまでどうしてもスタッフが同行できない場合には、内見希望者の身分証明書を確認した上で自身で見学をしてもらっていたそうだ。その際に、物件の破損や汚損など問題がなかったため、利便性を考えてサービス化に至ったのだという。また、この取り組みは、賃貸物件のオーナーからも内見の機会損失が減ったと好評だといい、借り手と貸し手、仲介事業者の3者にメリットが生まれている。


賃貸を探すユーザーにとっては自分のペースで物件が見学できる点に加え、仲介事業者側からは繁忙期の混雑を緩和できるなど双方にメリットがある(画像提供:株式会社クラスコ)



遠隔地にいてもリアルタイムで部屋の中を確認


ここ数年、新しい内見サービスの一つとして導入が進んでいるのが「オンライン内見」だ。これは、スマートフォンやPCを通じて、現地にいる不動産会社スタッフとのビデオ通話によって、リアルタイムに物件の内見ができるサービスである。仮に遠方からの引越しであっても、利用者は希望する物件の様子を好きな場所から確認できるため、移動時間の短縮につながるものだ。
これまで、内見や賃貸契約をはじめとする不動産取引は、対面を伴うものが多かったが、"不動産テック"に代表されるように、従来の業界慣習や仕組みをデジタルシフトすることで変革を試みる事業者も現れている。全国に約160店舗の不動産仲介店を展開するハウスコム株式会社もその一つである。

同社が「オンライン内見」をスタートさせたのは2015年10月。テクノロジーを活用したサービスの提供に踏み切った背景にはどんな理由があったのか。ハウスコム株式会社 サービス・イノベーション室の室長を務める安達文昭氏にお話を伺った。

「オンライン内見を提供しはじめたきっかけの一つは、消費者ニーズの多様化と共に変革を試みる業界が現れる中、不動産業界が未だ閉鎖的だった事でした。インターネットが普及し、お客様一人ひとりが興味のある物件を見つけられる中、"物件を右から左へ紹介する業務"だけでは、仲介手数料をいただくだけの価値提供が果たせないと感じたのです。お客様の想像を超える新しい賃貸選びの体験を提供することで、これまでの"仲介業"から"サービス業"への転換を目指したのです」。

オンライン内見中は、現地にいるスタッフと会話することも可能だ。「クローゼットの中は?」、「コンセントの位置は?」、「洗濯機置き場の幅は何cm?」といった細かい質問もできる。
オンラインでの内見は、移動時間の短縮につながる入居希望者だけでなく、ハウスコムや物件オーナーにもメリットが生まれていると安達氏は言う。
「オンライン内見をしたお客様のその後の来店率は90%以上となっており、成約率の向上に寄与しています。これまで内見に行きにくい事がネックで契約に至らなかった場合の課題を解決する手段の一つになっているんです。例えば、ご主人の転勤に伴うご夫婦のお部屋探しの場合、決定権は奥さんにあっても内見はご主人しか来られないことがあります。このようなケースでも、現地から奥さんに回線をつなぎ、オンラインで旦那さんと話し合いながらその場で契約に至ったこともありました。中には、交通事故で入院中の方が病院内で退院後の住まいを決めたケースもありました。また、物件のオーナー様にとっても、入居希望者の許可が得られれば録画された内見の様子を見ることができるので、賃貸を探すお客様のリアルなニーズを把握する機会につながっています」。
※株式会社クラスコも2015年10月からオンライン内見サービスを提供している。


インターネット環境が整っていれば、店舗に足を運ぶ必要がなく移動時間や交通費の節約につながる<BR />(画像提供:ハウスコム株式会社)



部屋探しにも人工知能(AI)導入の流れが


このように、ITの進歩や制度の改正でますます利便性の高いサービスが登場する部屋探し。また、今回紹介したサービス以外にも、現在インターネットでの賃貸探しをする上での大きな動きの一つが人工知能(AI)の導入である。
AIとは、学習や推論・認識・判断などの人間の知能を持たせたコンピューターシステムのことで、現在では、人の感情を認識するロボットや、スマートフォンの音声アシスタントなど、生活をする上で身近な存在になってきている。
こうした技術が、賃貸探しにも活用されつつある。現在の主な利用シーンとしては、賃貸物件を探すユーザーの物件に対する質問に24時間即座に回答や希望条件に対する物件候補の提案をするチャットサービスだ。これまでスタッフが一件一件対応していた業務をAIが担うことで、コスト・業務の効率化が図られると共に、ユーザーとしても電話やメールと比べて早く、且つ気軽に問合せができることで、住まい選びの幅が広がることも考えられる。
なお、現在ハウスコムはAIを活用したチャットボットを導入しており、クラスコについても2018年春に「部屋探しから退去まで対応するAIサービス」の開始が予定されている。

これまでは、対面や書面の提出など、どちらかというとアナログな手続きが多かった不動産取引。こうしたテクノロジーを活用した取り組みは今後、ますます広がっていくだろう。"より早く、より簡単に、より的確な"賃貸選びへ。今後の不動産業界の革新にぜひ期待したい。

■取材協力
株式会社クラスコ
https://www.crasco.jp/

ハウスコム株式会社
http://www.housecom.co.jp/


不動産業界における新しいサービスの一つとして「内見の効率化」がある。今回はそのなかから株式会社クラスコとハウスコム株式会社のサービスを紹介する。



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