香港の賃貸物件に住むとしたら?マンション・サービスアパートメントの家賃、契約方法と注意点

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香港の賃料指数は上昇中も、依然進出する企業は多い


成長著しい東南アジアの中心に位置する香港。
長年、中国向けビジネスの玄関口としての役割を担い、さらに、近年では東南アジア域へのビジネス発展の地としても人気が高い。法人税率が16.5%と低いことや、経済自由度指数が23年連続で1位と自由経済度の高さも、香港を拠点としたビジネス展開の魅力である。

だが一方、懸念として挙がるのが、香港の不動産価格の高騰だ。一般財団法人 日本不動産研究所が発表した第9回「国際不動産価格賃料指数」(2017年10月現在)の調査結果によれば、オフィス価格・マンション価格ともに上昇率が最も大きかったのは香港であった。変動率は2017年4月から2017年10月までの数値で、香港のオフィス価格は6.5%上昇、マンション価格は5.2%上昇した。もともと不動産の価格が高いことで知られているが、さらに上昇を続けているのだ。

香港の不動産事情については、「世界でもトップクラスの不動産価格水準。香港の住宅事情とは?」の記事でも触れているので、興味のある方はご参照いただきたい。

そんな懸念材料がありながらも、香港に進出する日本企業は少なくない。外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、平成28年の都市別日系企業の拠点数は、上海、大連に次いで香港は3番目に多く、1,376拠点。対前年比で1.3%増加している。
もし、そんな香港に住むことになったら…?どんな物件でどれくらいの費用がかかるのだろうか。


香港魚涌(Quarry Bay)のマンション。香港では超高層マンションが密集しているのをよく見かける



マンション・サービスアパートメントの家賃は?


香港で不動産の売買仲介・マンションやオフィスの賃貸仲介などを事業とする、スターツ香港有限公司の岩崎 美里さんにお話を伺った。

「日本人の方の多くは、マンションやサービスアパートメントで暮らしています。マンションの家賃は、ワンルームで2万ドルくらいから、平均的な家賃は2.5万ドルくらいでしょうか。サービスアパートメントは、ハウスクリーニングやコンシェルジュなどのサービスがあるホテルとマンションの中間のような住居で、こちらの平均家賃は2.2万ドルから3万ドルくらいです。」

香港ドルを日本円15円で換算すると、マンションはワンルームで家賃30万円から、平均で37万5千円ほど、サービスアパートメントは33万円から、平均で45万円ほどとなる。だが、不動産価格の上昇が続く香港。

「契約更新の際に、家賃の値上げを提示されることもあります。最近だと、2~5%程上昇した物件もありました。」

日本であれば契約や契約更新の際に家賃の交渉が可能なケースもあるが、香港は完全に貸し手市場なようだ。中環や金鐘、銅鑼湾などのビジネス街の近郊ではなく、郊外に行けば家賃は安くなるのだろうか。それについて、岩崎さんは、「例えば新界の沙田などに行けば、少し部屋の面積が広くなります。しかし、極端に家賃が下がるわけではありません。また、賃貸物件のほとんどが分譲マンションなので、オーナー様が物件を個人所有することが多く、設備や物件の状態もまちまち。物件の契約条件についてもオーナー様との交渉が必要になります。ですので、同じエリア、同じ棟のマンションであっても、家賃がバラバラなことも多くあります。日本のように明確な家賃相場は出しにくいかもしれませんね」と話す。


不動産の価格が高いことで知られている香港だが、もし住むことになったら…?どんな物件でどれくらいの費用がかかるのだろうか。手続きの流れや居住時に注意すべき点などを、現地で仲介している会社に聞いてみた。



物件契約にかかる費用は?


続いて、一般物件の契約にかかる費用や手続きなどについて聞いてみた。

「家賃には、管理費や水道光熱費、レイツ(Rates)という不動産税、ガバメントレント(土地使用税)が含まれているのが一般的ですが、契約前に必ずオーナー様に確認することをおすすめします。保証金はだいたい家賃の2ヶ月分で、特に問題がなければ退去時に全額返金されます。契約の際にはその他費用として、不動産会社への仲介手数料(月額賃料の0.5ヶ月分が相場)や印紙代の支払いが発生します。
香港の賃貸物件の契約期間は2年契約が通常で、1年間は途中解約ができません。2年目以降、1~2ヶ月前に入居者様からオーナー様に通知することで契約解除ができます。オーナー様も入居者様と対等に解約権を持つ場合もありますので、契約時によく確認しておく必要があります。」

物件情報を見る際の注意点についても、教えてもらった。
「香港では物件の面積が平方フィートで表記されます。契約面積の表記には、共用部の面積も按分して含まれていることが多く、実際の居住スペースは80~90%ほど面積が小さくなると思って確認しておくとよいです。」


不動産の価格が高いことで知られている香港だが、もし住むことになったら…?どんな物件でどれくらいの費用がかかるのだろうか。手続きの流れや居住時に注意すべき点などを、現地で仲介している会社に聞いてみた。



水回りのトラブルに注意


亜熱帯性気候に属する香港。夏は高温多湿で、度々大規模な台風が訪れる。日本とは異なる気候、建物の造りもあり、岩崎さんが香港に移り住む人にいつも伝えていることがあるそうだ。

「夏の間は湿度が90%を超える日が続くため、一日中エアコンを稼働したままになります。エアコンを切ってしまうと、あっという間にクローゼットの衣類にカビが生えてしまうんです。実は私も赴任してすぐに洋服とバックをカビでだめにしてしまいました…。エアコンの稼働時間が長いので、エアコンが故障したり、水が噴き出してきたりと、故障しやすいんです。エアコン以外の設備も、海外製品が多く、日本よりも故障が多く発生すると思っておいた方がいいですね。エアコン以外では、とにかく水回りに関するトラブルが多いです。トイレの水に海水を利用している住宅が多く、排水管が劣化しやすく水漏れや逆流が起こることもあります。お客様には頻繁にトラブルが発生することをご契約前にあらかじめお伝えしています。また、虫が苦手な方は、内見の際に部屋で害虫やシルバーフィッシュ(日本名:しみ)を見かけたときは要注意です。建物自体に生息している場合、害虫駆除をしても、完全にはいなくなりません。」

水回りのトラブルが発生した場合に修理に訪れるスタッフは、広東語しか通じないことがほとんどだと言う。また、訪問時間も午後1~5時までの間など、ざっくりとした範囲でしか予約が出来ないのだそうだ。

「修理の対応の為に自宅に滞在しなければならず、しかも、それが度々発生する可能性があります。ご家族の方が対応してくださる場合はいいのですが、特に単身赴任の方には、不在時に修理の対応をコンシェルジュがしてくれるサービスアパートメントをオススメしています。
年に数回発生する大規模な台風の際は、あちこちのマンションで雨漏りが起こります。雨漏りは建物の構造上の問題のため、オーナー様も対応できないケースが多いです。」

日本のように、オーナーや管理会社に電話をすればなんとなかる、対処してくれるという常識はもしかしたら通用しないのかもしれない。


スターツ香港は日本語対応が可能な現地スタッフが4名、日本人3名が駐在。顧客の好みに合わせたエリアの提案や、ウォーターサーバーの手配、新聞購読やインターネット接続のサポート、水道・ガス・電気などのインフラまで幅広くサポートもしてくれると言う。契約後に賃貸設備の故障やトラブルが発生した場合、個別契約の場合は自身でオーナーとの交渉をしなくてはいけないが、スターツ香港の仲介により契約をすると、その後のオーナーとの交渉なども引き受けてくれるそうだ



2018年度から一部企業向けに税率優遇開始


香港政府は10月、法人税率の一部引き下げを発表した。

「2018年度より課税対象所得200万香港ドルまでを対象に、現行の基本税率16.5%の半減、8.25%に引き下げる方針のようです。企業規模としては中小企業やスタートアップが対象となりそうですが、この影響が限定的なものとなるのか、それとも、さらに進出する企業が増えるのか…。不動産価格の高騰を招く脅威と捉えるか、チャンスと捉えるか企業によっても動きが別れるかもしれません」と、スターツ香港有限公司の桜木竜二氏は話す。

不動産価格の高騰、住宅不足は香港に住む人たちや進出する企業にとって重大な問題である。不動産価格はどうなるのか…今後の動きを見守りたい。


取材協力/スターツ香港有限公司
https://www.starts.co.jp/hongkong/


ビクトリア・ピークから見た香港の高層ビル群



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