貴重な姿を残す高層スターハウス。千里竹見台団地26号棟の最後の内覧と建て替え後の行方

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貴重な姿を残す高層スターハウス。千里竹見台団地26号棟の最後の内覧と建て替え後の行方の記事画像

特徴的な外観を持つ「スターハウス」では
住戸の通風採光が徹底的に追求された


団地といえば、直方体のフラットな建物を連想する人が多いかもしれないが、理想的な住まいのスタンダードをつくることを意図して設計されてきた過程において、マッチ箱型だけではないさまざまなデザインの団地も建てられてきた。そうした住棟タイプのひとつとして、「スターハウス」という通称で呼ばれているものがある。上から見ればY字型、階段室を中心に3方向に住戸を配したその形が星型にも見えるところから名付けられた通称だ。

UR都市機構の前身となる日本住宅公団の設立は1955年。積極的にスターハウスが建てられたのは1950年代後半頃で、当時、建てられたスターハウスの多くが現在、建て替えの時期を迎えている。住戸の窓が多くとれるスターハウスは通風採光に優れている反面、工事費と住戸数からすれば費用対効果が悪く、建て替え後もその形状が維持されることは少ない。

そんな中、千里ニュータウンにある「千里竹見台団地26号棟」を含む2棟のスターハウスが建て替えのために、取り壊されるというので、その内部を見学させていただいた。
「千里竹見台団地26号棟」は、14階建て・全221住戸という全国でも数少ない高層タイプのスターハウスだ。


26号棟と並んで、27号棟、28号棟と3棟の高層スターハウスが並ぶ



完成当初の内装をそのまま残した、
約50年使われ続けてきた貴重な住戸に遭遇


「千里竹見台団地26号棟」の建物に入って、まず特徴的なのは、エレベーター停止階ごとに現れる3層吹き抜けのエレベーターホール。エレベーターの停止階を1、4、7、10、13階に限定することで、贅沢にも見える3層吹き抜け空間を実現した。実はこれ、工事費の削減にもつながっており、しかも、エレベーターの停止しない階では外廊下を廃止。その結果、より多くの住戸内の部屋で2方向への開口を確保して、よりよい住環境を生み出していた。

建て替えに備えてすでに全住居者が退去していたため、いくつかの住戸内も見学した。最も驚いたのは、おそらく完成当時から入居者が入れ替わることなく、1度も改装されないまま現在にいたった1DKの部屋。このまま博物館で引き取っていただきたいほど、往時の内装がそのまま残っていた。

というのも、UR都市機構の団地では入居者が入れ替わる際、内装や設備も一新していくため、完成時の内装をとどめている部屋はとても数少ない。床材に無垢の木が使われていたり、モザイクタイル張りの浴室、左官仕上げの壁など、職人の手が伺いしれるような内装は、現代の眼で見ればとても行き届いたものに感じられる。


(写真左)エレベーターホールはすべて吹き抜け空間に (写真右)建築当時の内装を残した1DKのキッチン



高層スターハウスが設計された背景と
その気になる建て替えの行方


そもそも、なぜ全国的にも珍しいとされる巨大スターハウスが千里竹見台に建てられたのか。
1967年から71年にかけて完成した千里竹見台団地は、1970年の「大阪万博」開催期間中は、外国からの関係者宿舎としても転用されることになっていた。また、大阪都心部の人口増を見越して、郊外の高層団地の草分けとして計画されたため、従来の「標準設計」にとらわれず、いちから新しく設計することが許されたのだろう。
なお、「標準設計」というのは、日本住宅公団が数多くの団地を全国で効率よく建てるために本社で定めた団地のひな形のこと。ただし「標準設計」といっても、地域の特性や地形などに応じてマイナーチェンジは加えられていた。また、1978年度以降は廃止されている。

大阪都心と千里ニュータウンをつなぐ阪急電鉄千里線は、1963年に開業した新千里駅(現・南千里駅)が当時、ターミナル駅となっており、その新千里駅前に建つ「千里竹見台団地26号棟」は、千里ニュータウンのシンボルという意味づけもあったに違いない。

そんな「千里竹見台団地26号棟」はすでに建て替え工事に着手。今年6月には整地が完了する予定。
気になる建て替え後の姿についてURの方に尋ねてみると、頭の上で両手を「Yの字」に広げてみせられた。ということは…、そう、巨大スターハウスがまた再び再建されるのだ。建て替え計画図を見てみると、各住棟のボリュームは増えそうだが、スターハウスの特徴的な外観は維持されるよう。完成は数年後とのこと。

※千里竹見台団地26号棟についてより多くの写真を見たい方はこちら
→「OURS. KARIGURASHI MAGAZINE

◎取材・文・写真:吉永健一 
◎写真:平野愛 編集:竹内厚(いずれもOURS.編集部) 


(上)26号棟から千里竹見台団地をのぞむ (下)近隣住民にも配布された、建て替え計画図



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