宅配ボックスの普及に向けて補助金も。増加する再配達削減に向けての調査~宅配便等取扱個数の調査~

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物流大手企業の引受量抑制の検討も…国内物流の現状とは?


2017年3月7日、宅配最大手の一社であるヤマト運輸は、サービスの維持、社員の労働環境の再整備などに向け、「運賃体系やサービスの内容について総合的な見直しを検討している」ことを発表した。この一つの要因が、インターネット通販市場の拡大による宅配便の急増である。さらに、運送事業者のサービス競争の激化により、「時間指定」や「送料無料」、「即日配送」は珍しいことではなくなった。消費者にとっては便利になる一方で、物流事業者側の負担は重くなっている。

国土交通省が2016年7月に公表した「宅配便等取扱個数の調査結果」によると、平成22年には31.9億個だった宅配便の取扱個数は、5年後の平成27年には約1.2倍の37億個にまで増えている。また、厚生労働省が2017年12月に公表した「労働経済動向調査」によると、2016年11月の「運輸業・郵送業」における労働者の過不足判断DI(「不足」と答えた企業の比率から「過剰」と答えた比率を引いた数値)が46%と、2011年2月の18%から28ポイント増加しており、労働者の不足感が5年前よりも高くなっていることがわかる。トラックドライバーの確保が必要な状況ではあるものの、人手不足は深刻化しており、限られた人員の中で増加する荷物の配達をしなくてはならない状況だ。


グラフ左:宅配便取扱実績の推移 参照:国土交通省『平成27年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法』を元に作成<BR />グラフ右:運輸業・郵送業における常用労働者の過不足状況 厚生労働省『労働経済動向調査』を元に作成



時間指定の有無に関わらず再配達は約2割発生


大きな課題の一つとなっているのが「再配達」の発生である。
国交省が平成26年12月に実施したサンプル調査の配達完了までに要した再配達回数を見てみると、「再配達1回目」が15.7%、「2回目」が2.6%、「3回目以上」が0.9%と、全体の約2割で"2回以上の再配達"が発生しているのだ。
さらに注目したいのが、配達日時の指定だ。各宅配会社では、配達時間の指定ができる場合が多いが、宅配便の配達を時間単位や午前午後で指定する割合は、2005年の23%から5年後の2010年には56%と2倍以上に跳ね上がっている。しかし、同調査によると時間指定をした場合であっても荷物の再配達率は17%と、時間指定の有無にかかわらず再配達率にはほとんど変わりないことがわかった。
つまり、宅配事業者は、本来スムーズに配達ができるであろう効率的なルートを崩して、時間指定に対応するために非効率なルートに変更しているにも関わらず、再配達削減の効果が改善されていない状況なのだ。


グラフ左:参照:国土交通省『平成26年12月 宅配事業者3社によるサンプル調査』を元に作成<BR />グラフ右:国土交通省『全国貨物純流動調査(物流センサス)』を元に作成



宅配便を1回目で受取れなかった理由は?


宅配便を1度の配送で受取れなかった理由として最も多かった回答が、「配達が来るのを知らなかった」で全体の42%を占めており、高齢層になるほど割合が高いことがわかる。また、「もともと不在になる予定だったため、再配達してもらう予定だった」が26%、「配達が来るのを知っていたが、用事ができて留守にしていた」が14%など、"再配達の依頼を予定して不在にしていたケース"も4割を占めている。この場合は、若年層になるほど割合が高くなっている。
「その他」の声としては、『通販会社のホームページで注文時に日時指定は追加料金かかるのでしなかったため、いつ来るのかわからなかった』や、『そもそも日中は仕事で受け取れないなど再配達してもらえることを前提としている』が挙がっており、配達時間を事前に知らされていない場合を除き、一定数の"再配達ありき"という受取り側の意識もあるようだ。


参照:国土交通省『宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会 報告書』を元に作成



再配達の削減に向けた主な対策


今後、再配達の削減に向けて、政府ではどのような具体策が講じられているのだろうか。主なものとしては次の通りだ。

【1】消費者と宅配事業者・通販事業者との間のコミュニケーションの強化
"配達が来るのを知らなかった"、"再配達前提で不在にした"というアンケート結果から、受取側の配達ニーズに応えるためには、在宅予定時間の変更に対応可能なコミュニケーションの強化が必要である。
具体策としては、宅配事業者・通販事業者から消費者への適切な配達日時の確認・通知(特に配達希望日時なしの場合の入念な確認が必要)や、Webやアプリなどを活用し、消費者が配達日時の指定を変更する仕組みの構築などが考えられる。主な事例としては、スマートフォンのコミュニケーションアプリ「LINE」の活用がある。荷物の配達状況の確認や配達日時、受取り場所の変更が、人工知能による会話形式で手順が案内され、これまでの電話による問い合わせやダイヤプッシュなどと比べて気軽にできるようになっている。(※LINEによるこれらのサービスは、2017年3月現在、ヤマト運輸と日本郵便が導入しており、サービス利用には会員登録が必要)

【2】消費者(受取人)の受取への積極的参加の推進のための環境整備
再配達によって生じる社会的損失は、CO2排出による地球温暖化など一事業者に限った問題だけではない。受取人である消費者自身が積極的に再配達削減に向けた行動を起こすための環境整備が必要である。
具体策としては、国や宅配事業者・通販事業者を通じた社会的損失の試算結果を消費者に幅広く理解してもらう取組みや社会的損失の減少に貢献した消費者に対するポイントなどのメリット付与など。

【3】受取方法の更なる多様化・利便性向上等の新たな取組みの促進
自宅周辺のコンビニ等での受取サービスは浸透しつつあるものの、コンビニごとに取り扱っている宅配事業者が異なるなど消費者にとってわかりにくい部分も否めない。そのため、一つのコンビニで複数の宅配事業社を扱う環境の整備が必要である。
具体策としては、コンビニなどでできるだけ多数の宅配事業者、通販事業者からの荷物を受け取れるようにする"地域インフラ化"の推進、そしてコンビニの労働力不足に対応するための、受取サービスのオペレーションの効率化など。

既に進められている物流の効率化の取組み事例としては、東京港区にある「虎ノ門ヒルズ」で2014年6月から始まった、ヤマト運輸による佐川急便、日本郵便との一括配送がある。高層ビルの場合、複数の物流事業者による配達は、各社のドライバーが必要となる上、荷降ろし場の車両混雑による待機時間など効率が悪かった。そこで、1社が他社の宅配物を集めることで、人手不足の緩和や受取り側の負担軽減につながるなどメリットが多い。


宅配サービスは競争激化により、消費者にとっては便利になる一方で、物流事業者側の負担は重くなっている。国交省が発表したデータより、大きな課題となっている再配達の発生の現状と、今後の対策について見ていこう。



住宅における宅配ボックス等の整備


共働き世帯の増加による昼間の不在やライフスタイルが多様化する中、新築の集合住宅で欠かせない存在の一つとなっているのが「宅配ボックス」だ。
現在では、宅配ボックスの鍵を紛失した場合も、24時間体制で監視センターとつながるオンライン型のサービスや、宅配ボックスに収納してある荷物を集荷してもらい、そのまま発送するサービスなど様々な製品が登場している。

そんな中、政府は複数の宅配事業社が連携し、各社が共通して利用できる「オープン型宅配ボックス」の設置を推進している。宅配ボックスを設置する物流事業者、ロッカー設置者、ロッカー管理者に対して、設備導入経費の半額を補助する予定で、コンビニでの受取に加えて、自宅や最寄りの駅、公共スペースなどに宅配ボックスが新たに設置されることで、受取人が希望する時間に宅配便を受取れる環境づくりを目指すという。
具体的な動きの一例として、Packcity Japan株式会社のオープン型宅配ボックス「PUDO ステーション」がある。2017年3月現在、首都圏の駅構内を中心に約100ケ所に設置されており、利用可能な運送会社はヤマト運輸株式会社、佐川急便株式会社の2社となっている。今後、利用可能な宅配会社が順次追加される予定で、2022年度中に5,000台の設置を目指しているという。

宅配ボックスは、将来的に普及する可能性があるものの、いくつか課題も残っている。荷物の紛失や危険物の収納など、荷物の安全性や事故が起こった場合の責任の所在などだ。さらに宅配ロッカーに荷物を収納したまま放置するケースなど、まだまだ宅配ボックスを利用する上でのルールが浸透していない側面もある。
日用雑貨の定期購入や高齢化を背景に今後、インターネット通販市場はさらにが拡大が見込まれる。便利な宅配サービスを享受する受取側としても、きちんと宅配物を受け取るという意識がこれまで以上に求められるように思う。宅配業界の労働力不足問題の解決の一助を担う可能性のある宅配ボックスが、しっかりとしたルール整備に基づいて普及していくことを願う。


■国土交通省『宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会』
http://www.mlit.go.jp/common/001106398.pdf

■国土交通省『宅配の再配達の削減に向けた検討の進め方について』
http://www.mlit.go.jp/common/001106424.pdf


集合住宅に設置された宅配ボックスのイメージ。今後は、最寄りの駅や公共スペース、さらには自宅など活躍の場が広がりそうだ



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