語り継ぎ風化防ぐ=亡き人思い、慰霊登山-日航機墜落32年・群馬

時事通信社

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父親の南慎二郎さんの新しい墓標に手を合わせる内野理佐子さん(左)=12日午前、群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」

 520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故は12日、発生から32年を迎えた。遺族やゆかりの人は早朝から、群馬県上野村の墜落現場「御巣鷹の尾根」に慰霊の登山を行った。「二度とこういう事故が起きませんように」。故人に思いをはせながら、語り継ぐことで風化を防ぐと誓った。

 父親の南慎二郎さん=当時(54)=を亡くした川崎市の内野理佐子さん(57)はかつて、御巣鷹を避けていた。命日はわざと別の場所へ出掛けたが、他の遺族との交流がきっかけで2004年から毎年訪れている。

 木製だった墓標を今年、石製のものに替えた。「木が朽ちて土に返るのもいい」と思っていたが、毎年エネルギーをもらって帰るうちに考えが変わった。最近は自分が「ここに執着している」と感じ、孫の代まで見守ってほしいと石製を選んだ。新しい墓標には、事故の翌年に生まれた娘が今年結婚したと報告した。

 兵庫県宝塚市の奥田美香さん(47)は子ども3人を連れ、宝塚歌劇団で活躍した吉田由美子さん=同(24)=の墓標を訪れた。吉田さんに憧れて宝塚音楽学校を目指し、事故の後、夢をかなえた。

 「『行ってきます』と出掛けた家族が帰って来ないなんて考えられない」。奥田さんは常々、子どもたちに事故の残酷さを話してきた。

 「どんな気持ちだったのだろう」。長女の瞳子さん(16)は乗客が味わった恐怖を思い、「大切な家族が亡くなるのは耐えられない。同じ事故は絶対に起こしてほしくない」と声を詰まらせた。母の思いを継ぎ、自らも伝え続けると決意。事故を知らない友達に、32年前に何が起きたかを話すと、真剣に耳を傾けてくれるという。

 奥田さんは吉田さんの墓標の前で、「すみれの花咲く頃」「千の風になって」を歌った。チョウチョが一匹、墓標の上を舞っていた。 



吉田由美子さんの墓標前で歌う奥田美香さん(手前)と長女の瞳子さん(左)=12日午前、群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」

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