戦争の記憶、次代へ=戦後世代「語り部」を育成

時事通信社

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中国残留邦人からの聞き取り後、反省会で意見交換する「語り部」育成研修参加者の巻口清美さん(左から2人目)ら。中央の男性は加藤聖文・国文学研究資料館准教授=7月30日、東京都台東区

 戦争を体験した世代の高齢化が進む中、戦後生まれの世代が体験者から話を聞き取り、後世へ伝えていく「語り部」を育成する国の事業が始まっている。参加者は3年間の研修を経て、小中高校での講演など語り部としての活動を始める。

 事業は戦没者遺族や空襲被害者、引き揚げ者らの苦労を伝える昭和館(東京都千代田区)、戦傷病者についての資料を展示するしょうけい館(同)など3施設が、厚生労働省の委託を受け昨年10月から実施。計約30人が研修を受講している。参加者は体験者から聞き取った内容を基に自ら講話を作り、朗読技術などを磨く。

 帰国した中国残留邦人やその家族の支援を行う首都圏中国帰国者支援・交流センター(台東区)では、主婦や大学講師、残留邦人の2世や3世ら、さまざまな背景を持つ男女8人が研修中。7月には、現地で養父母に捨てられそうになるなど過酷な体験をし、1990年に帰国した残留邦人の女性から4時間にわたって話を聞き、反省会で互いの感想などを話し合った。

 参加者の一人で会社員の巻口清美さん(51)は祖母と父が中国残留邦人で、自身は現地で父と中国人の母との間に生まれた2世。82年、15歳の時に家族と共に初めて「帰国」した。当初は日本語が分からず苦労を重ねたが、何とか高校を卒業して就職。今は中国人の夫との間に2人の子供がいる。

 父に終戦前後の話をされたことは一度もなく、「もう少し聞いておけば」との思いを抱えていた巻口さん。子育てもほぼ終わり、「ようやくきちんと自分と向き合えるようになり、『今しかない』と参加した。自分を見詰め直す機会にもなった」と話す。

 同センターで研修のアドバイザーを務める国文学研究資料館の加藤聖文准教授(日本近現代史)は、「戦争で起きた悲劇は社会が共有すべき問題。今までは体験者に話を聞けば済んだが、これからは聞いた人が次に伝えていかなければ」と話した。 

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