早く帰っても構わない、ただし結果を残せ
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「わが経営」を語る 尾賀真城サッポロホールディングス社長④

森 一夫:「わが経営」を語る (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)(News Socra)

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撮影・中村豊

 ――企業が発展するには、社員が生き生きと働ける企業風土が欠かせないと思います。尾賀社長はどのようにお考えですか。(聞き手は経済ジャーナリスト、森一夫)

 まずはシンプルで、わかりやすく、明快なことが基本です。目標、組織、制度、評価のいずれにおいても、そう言えます。

 小難しくて、みんなに分かりにくいのは、絶対にノーです。よくESG(環境、社会、ガバナンス)がどうで、SDGs(持続可能な開発目標)だ、CSR(企業の社会的責任)で何とかだという話が出てくるでしょう。

 みんな、意味をきちんと分かって、自分の言葉で話しているのですか。誰にでも分かる言葉でなければ、行動に結び付きませんよ。

 また生き生きした組織ならば、自分自身が生き生きとした生活を送っていなければならないでしょう。我々は酒類の会社であり、清涼飲料も含めて飲むことと、食べることに関わる事業をしています。自分が楽しめなくて、お客様を楽しませますか。

 さらにチャレンジする組織であり、チャレンジする個人であるなら、ときにはうまくいかないことがあっても、そのサイクルで会社が回れば明快でいいと思います。

 ――事業の性質上、暗い顔は似合いませんね。

 元気な人も、そうでない人もいるかもしれないけれど、元気印は2割、3割いればいいわけです。みんな自分なりに生活をエンジョイできればいいのです。

 持ち株会社としては、ガバナンスの機能を果たすことが非常に重要です。しかしガバナンスだ、ガバナンスだといって、細かいことまで管理しだすと、官僚主義になり、いたずらに手続きが増えて、組織が肥大化しかねません。

 そんなことはあってはならないわけです。組織はシンプルかつ筋肉質で、やはり持ち株会社は小さな本社であるべきです。

 ――尾賀さんは営業の仕事が長かったそうですが、家庭人としては模範的とは言えなかったのではありませんか。

 特にバブルのころは、夜の12時前に家に帰ったことはなかったですね。何であんなに働いたのだろうと思うくらいでした。もっとも働いていたというより、夜が遅かったということですけどね。(笑)

 お得意さんのお店を回って、1軒目、2軒目まではしっかり仕事をしていますが、3軒目、4軒目になると、どこまで仕事だったのかなと思うときもありました。仕事ですから苦しい半面、結構、楽しんでやっていました。あのころは活気がありましたからね。

 いま働き方改革なんて話を聞くと、昔の自分の姿と重ね合わせて、ちょっと違和感もありますけどね。しかし時代はものすごく変わっています。私たちのころは固定電話で、隣でうるさい先輩が大きな声で電話をするので、こっちの電話が聞こえなくて困るといった時代でした。

 ――今は12時まで頑張れなんて言ってはいけないのでしょう。

 自分でめりはりをつけて仕事をしろということですよ。12時前に家に帰ったことがないなんてバカげた生活は駄目です。営業マンには遅くとも10時には帰れと言っています。

 昔は取引先も同じような仕事の仕方でしたが、今は周りもみんな変わっているはずです。

 ――最近は学生もワーク・ライフ・バランスを重視して就職先を選びます。

 会社がどうこうというより、自分できちんと管理することが大切です。個人の生活ですから、あなた自身がしっかりすべきで、何でも「会社が」という話なのかなという気がします。

 だって、その市場または得意先を一番よく知っているのは誰ですか。会社が全部指示するということにならないでしょう。

 だからたまに遅くなってもいいし、早く帰ったって構わない。自分でめりはりをつけてやりなさい。ただし結果を残せよという話です。もちろん働き方について、会社は方針をきちんと示さなくてはいけません。

 ――これからのビジネスパーソンに求められる条件は何でしょうか。

 一般的に、自分の担当する業務だけしか見ていない人が最近多いかなという感じがしますね。全体をふかんしたり、考え方を広げたりするには、いろんな人と付き合うことも含めて、外に出ることが大切です。

 また世の中がこれだけ変化しているので、それに柔軟に対応できる人間になることも欠かせません。例えばAI(人工知能)だロボットだとなってくると、コミュニケーションから何から何まで激変すると思います。

 それこそ働き方改革なんてレベルの変化ではないでしょう。私が入社してからの40年近い変化も大きいですが、これからはもっと激しい。変化に対して、新しい考え方を打ち出して、みんなと一緒にどう対応していくのかが重要な課題です。

 ――飲食関係の会社でよかったですね。AI時代にもビールは無くならないでしょう。

 この業界は結構しぶといんです。胃袋の数だけ需要があるので、変化してもゼロにはならない。ただしゼロになる会社はあると思います。

 グループ会社では、ポッカサッポロフード&ビバレッジは今、レモンとスープをやっています。同社は飲料もやっており、豆乳なども手掛けています。

 神州一味噌は、ミソそのものは伸びていませんが、カップみそ汁が伸びています。ミソとスープの融合で広がる部分もあると思います。

 需要を細かく見れば、食品には小さな市場がたくさんあります。そうした分野に海外も含めて、お客様に向き合っていろんな提案をすれば、面白い仕事ができると確信しています。

(尾賀氏のインタビューは今回で終わりです)

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