「実録 ナニワ金融道」「反社につけ込まれるってこういう事なんだな」 いわき信組・調査報告書が怖すぎる
2025/11/5 18:33 J-CASTニュース

反社会的勢力に約10億円の資金提供をしていた「いわき信用組合」(福島県いわき市)について、弁護士らでつくる特別調査委員会が発表した報告書の中身がリアルで怖すぎると、ネット上で話題になっている。
1990年代から繰り返された200億円超の不正融資の一部が、「解決料」として反社への資金提供に使われたという。発表した2025年10月31日付で、金融庁から再度の業務改善命令を受けている。その生々しすぎる中身とは――。
反社関係者から「街宣活動を中止させる」と仲介され...
この調査報告書では、まず24年9月にSNS上で投稿された元信組職員の告発がきっかけだったと明かした。
これを受けて内部調査が進み、預金者に無断で開設した口座を使った「無断借名融資」などを通じて、不正融資が発覚した。同年11月に第三者委員会が設置され、翌25年5月に調査報告書が出たが、信組側の協力姿勢に強い疑義が指摘された。そして、6月に今回の特別調査委がスタートし、反社が関わったとされた不正融資の追加調査を行った。退職者ら51人をヒアリングし、役員らの携帯電話データも調べて、不正融資の実態が分かってきたという。
報告書によると、反社との関わりは、1992~2001年に在任した理事長(故人)から始まった。当時、暴力団関係者と交友があり、融資に便宜を図った理事がおり、弱みを握られるようになった。そんな中で、1994年ごろに、暴力団関係者との癒着などを激しく糾弾する全国規模の右翼団体による街宣活動が理事長らの自宅周辺などで繰り返され、大口融資先の反社関係者から右翼団体との仲介役を務めると申し出があった。
しかし、信組側は、この仲介で助けられる代わりとして、街宣活動を中止させるための解決料3億円超を現金で支払うよう求められた。理事長らは、この求めに応じ、信組の納税充当金からこの額を支払った。これは不正な会計処理に当たるが、当時は公認会計士による外部監査も実施されていなかったという。
その後、この関係者は、16年ごろまで億単位の不当要求を繰り返し、信組側は、その弱みを反社につけ込まれる形になってしまった。
「終わりになっちゃうべ。従業員の前でみんなやられっから」
こうした経緯で、後に理事長となる信組役員は、反社関係者と飲食し、数回にわたって海外旅行に行くなど親密な関係になった。当時の理事長は、在任中に合計数億円を関係者に支払ったと推測されるとし、報告書では、「反社からの脅しに屈して資金提供を行った場合、そのことも弱みとなり、その後も繰り返し、反社による不当要求の餌食となることは容易に想像できる」と指摘した。
この理事長は、不祥事追及などをしている情報誌の反社関係者からも不正を暴くと脅され、97年ごろに担保価値不十分な絵画を担保にするなどして8億円の融資を実行し、元本回収が行われなかったともいう。
その後も、信組役員らは、反社と関係を続け、2000年代には、無断借名融資という「最悪の禁じ手」を使うようになった。
この役員が04年に理事長になると、再び右翼団体から街宣活動を受けた。これに乗じて、反社関係者も不当要求を再開し、信組側も、計約10億円の資金提供をした。07か08年に、別の情報誌にも不正を暴くと脅され、情報誌の反社関係者に1億5000万円を渡したともいう。今度は、監査法人による外部監査も実施されたが、本店営業部の金庫は調べられなかったため、不正が発覚しなかった。
17年に入ると、理事長は、反社関係者からの不当要求を拒否するようになったが、録音データによると、関係者は、街宣活動を指す「『あったまんま放送』でされるよ」と脅してきた。
「終わりになっちゃうべ。従業員の前でみんなやられっから」
要求に応じなければ、街宣活動が続くと告げたという。この要求に屈したのか、理事長は、翌18年に反社関係者の子どもに水戸市内の飲食店ビルの購入資金などとして3億円を融資し、関係者から今後は金銭を要求しないとする確認書を受け取ったという。この融資は、現在も返済が遅延しているとしている。その後の19から24年までも、別の反社関係者から紹介された9件に融資し、焦げ付き気味だという。
こうした内容の報告書について、X上などでは、「実録 ナニワ金融道」「反社につけ込まれるってこういう事なんだな」「過程が克明に記されてて怖くなってきた」と驚く声が上がった。それとともに、「業務改善命令なんて甘い対応ではいけない」「もう貸金業剥奪しないとダメでしょう」などと厳しい声が寄せられている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)









