乗換案内30周年 短期集中インタビュー2 スマホ1台で移動を快適に!

ジョルダンニュース編集部

 ジョルダンの経路検索「東京乗換案内」が1993年5月に発売されてから約15年後の2008年7月、スマートフォン(iPhone)が世に出た。それまでもパソコンブラウザと、いわゆるガラケーで乗換案内は利用されてきたが、スマホのアプリに“主戦場”は移っていった。アプリ版の乗換案内の企画を担当した長岡豪と開発に携わった市岡享の2人に聞いた。(敬称略)

アプリ版開発について振り返る長岡(左)と市岡

――スマホが登場するまで、乗換案内はどういう使い方が多かったのですか。

市岡 iモード全盛時代だったので、それとパソコンのブラウザが使われていました。

長岡 あの当時を振り返ると確かにiモード、つまりガラケーを使っていたけれど、今のようなパケット使い放題はまだ少なかったから、ビジネスマンなどはパソコンで経路検索して、それを印刷して持ち歩いていたようです。

iPhoneの登場でビジネスの芽が生まれた


――ガラケーとは機能も見た目もガラリと違うスマホが登場した時に、乗換案内はどのように対応しようと考え、それを実現していったのですか。

市岡 2008年7月にアップルがスマホを発売してから、5か月を経ずして、その年の暮れにはアップルのアプリストアに乗換案内のアプリを提供できました。5か月間で作り上げたのです。パソコン版の延長線で開発できたのですが、最初は長岡さんから『ちょっとやってみてよ』と言われてスタートしました。その時、たまたま他の開発の仕事の手が空いた“社内失業状態”だったのも幸いしました。

長岡 ガラケーは携帯電話会社による制限がありましたが、iPhoneはパソコンと同じようブラウザがキャリアの制限を受けないので参戦しようと考えたのです。当時、佐藤社長が社内各部署にアプリを作れと号令をかけていました。まあ、初期段階では研究に近かったのです。最初は無料アプリで、広告の仕組みもありませんでした。

市岡 iPhoneが発売されたころは、一部のギーク(新しい技術を使いこなすことに関心と喜びを見出す層)のニッチなおもちゃだとされていました。それがあっという間に国内流通100万台となり、ガラケーを凌いでいきました。つまりビジネスの芽が生まれてきたということです。2009年にはバナー広告も入れることが可能になり、さらに、年額2300円の有料版、鉄道事業者とのアライアンスも生まれました。これが収益を採れる3本柱でした。

ビジネスとして将来性が見えてきた有料版。広告が表示されないほか、アプリに搭載しているすべての機能が使える。


長岡 1日のダウンロード数も1万弱となり、アプリランキングのトップに上り、市岡と2人ではしゃいだ記憶があります。経路検索サービスでは後発だったので、なおさらうれしかったですね。

――後発にもかかわらず、高い評価を受けたのはなぜですか。

市岡 建付けのよさだと自負しています。言い換えれば使いやすさで、これは現在に至るまで基本的には大きく変わっていません。

長岡 簡単に、そして早く検索結果が分かる、誰が操作しても経路検索の目的が果たせる、ここにこだわりました。また、起動の早さ、にも力を注ぎました。

経由地を後ろに下げるなど使い勝手を重視


――そうは言っても、いろいろ苦労したこともあったのではないですか。

市岡 機能やメニューを増やすと利用者は迷うことがあるかもしれないので、「迷わない、操作に困らない」ようにしました。が、社内では、これを加えてほしいなどの要望があったため、そうした社員を説得するのが難しかったのです。

長岡 企画と開発。市岡と実質2人で行っていたので、日々、「ここはダメ、これ以上は無理」などと議論しながら進めていました。いずれにしても「使いやすい」ということは常に意識して進めていました。

市岡 例えば、パソコンキーボードに比べて、小さいスマホで操作するので、誤タップを少なくするためボタンを大きくするなどの地味な工夫も取り入れました。

長岡 当時は、「出発地」「経由地」「到着地」の入力欄を順に画面に並べていました。しかし、発着地間の運賃と時刻だけ知りたいという利用者がほとんどなので、少しでも早く入力を完了させるために、そしてシンプルに見せるために「出発地」「到着地」を上から並べるデザインに変更、「経由地」を後ろに下げるようにしました。昔も今も、検索の首位は東海道新幹線の東京―新大阪。その場合、経由地は不要なわけです。

無料版により利用数が10倍増


――収支について聞きたいのですが。

長岡 有料版アプリをしばらく続けていました。しかし、バナー広告が入るようになって無料で使ってもらえるようになり、利用数が10倍くらい増えたのはよかったのですが、広告単価がガラケーの10分の1程度に下がってしまいました。

利用数が約10倍増になった無料版。広告が表示され、一部機能は制限される。

――私も無料版を使わせてもらっています。無料、有料の違いはどこにありますか。

市岡 有料版は、まず広告が非表示。そして、経路検索結果上で、運行情報、発車番線、乗車位置が分かることです。(経路検索結果上の運行情報は、現在は無料機能として提供)その後、「青春18きっぷ検索」「ジパング検索」「フリーパス検索」など、便利な検索機能を追加していきました。

長岡 有料化の際の差別化は行っていますが、ここでも情報を多くしても、シンプル、かつ使い勝手の良さは重視しています。

――ありがとうございました。

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記事提供元:タビリス