「IVS」のアーリーステージ特化型ピッチイベント「ローンチパッドシード」 優勝は自動的にピントが合う眼鏡の「エルシオ」 ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

アイデアを超え社会を変革する可能性を秘めたビジネスモデルが終結!

11月28日、東京ポートシティ竹芝ポートホールで、次世代スタートアップの熱い戦いが繰り広げられた。グローバルに事業展開するベンチャーキャピタルのHeadline Asiaが運営する国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」が開催したシードステージのスタートアップを対象とするピッチコンテスト「LAUNCHPAD SEED(ローンチパッドシード) 2024」がその舞台だ。

今回はファイナリストに選出された9チームが、投資家たちの鋭い眼差しの中、自らの夢と戦略をプレゼンテーションした。これら最先端のスタートアップは、単なるアイデアを超え、社会を根本から変革する可能性を秘めたビジネスモデルを携え、注目を集めた

コンテスト終了後に記念写真に応じるファイナリストやスポンサー関係者ら

1位になったのは、エルシオ(京都市、李蕣里代表取締役)。同社は、大阪大学発のスタートアップとして、自動でピントを調整するオートフォーカスグラスと称する眼鏡「Elcyo Glasses(エルシオグラス)」を開発する。

優勝したエルシオの李蕣里代表取締役(右)と、主催者でプレゼンターを務めた島川敏明 Headline Japan 代表取締役

エルシオの「フレネル液晶レンズ」は、液晶レンズとフレネルレンズを組み合わせた技術で、電圧変化によりピントを変えられる液晶レンズを薄型・大口径化することに成功した。従来の液晶レンズの欠点である「分厚くて視野が狭い」問題を克服し、広い視野と快適な使用感を実現した。

この技術を用いたオートフォーカスグラスは、装着者の目の動きに合わせて度数が自動で変化するため、自分で度数を調整する必要がなくなる。老眼や乱視、弱視、近視などの視覚障害を持つ人々にとって特に有益で、複数のメガネを交換する煩わしさから解放される。審査員からはこの点を評価する声が多く上がっていた。

2位はフィンテックスタートアップの BANKEY(東京・千代田、阪本善彦代表取締役)。伝統的な銀行サービスにテクノロジーを融合させ、革新的な金融サービスを提供することを目指す企業だ。BANKEYの「Pay By Bank」という新しい決済方法は、銀行口座を直接利用した決済システムである。ユーザーが銀行口座と直接連携することで決済処理を簡素化し、手数料を削減することを目指す。従来のクレジットカードやデビットカードなどの決済手段と異なる新しいアプローチであり、銀行の「正しい記帳」機能を活用することで決済の信頼性とセキュリティを高める。

世界では、欧州を中心に、銀行とサードパーティープロバイダー間でAPIを介して金融データを共有するオープンバンキングが盛んになっている。金融サービスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として位置づけられる。

2位に入ったBANKEYの阪本善彦代表取締役(右)と主催者でプレゼンターを務めた島川敏明 Headline Japan 代表取締役

3位はメタバースクリエイターズ(東京・渋谷、若宮和男代表取締役)。2023年4月に設立された日本初のメタバースクリエイター専門プロダクションである。メタバース空間におけるクリエイターのプロデュースとマネージメントを主軸に事業を展開している。クリエイターを通じてメタバースユーザーのコミュニティへのアクセスを有しており、効果的なコンテンツ配信を実現している。

具体的な事業内容としては、メタバースコンテンツの企画、制作、販売、配給、配信などを手掛ける。さらに、著作権などの知的財産権の取得と管理も行い、企業との協業やレベニューシェア型のコンテンツ開発にも力を入れている。今後は、エンターテインメントとメタバースを融合させた領域へのさらなる進出を計画している。

(ジョルダンニュース編集部)

記事提供元:タビリス