東急不動産、渋谷サクラステージにディープテック・スタートアップ支援拠点「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA」を開業 MIT教授陣と連携、アクセラプログラムも開始 ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2025/1/27 17:37 ジョルダンニュース編集部
再び、渋谷が、人工知能など新たな分野で世界の中心を目指す
東急不動産は1月23日、ディープテック領域のスタートアップ育成・支援を目的とする渋谷最大級のコミュニティ拠点「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA(SDS、サクラ ディープテック シブヤ)」を渋谷サクラステージに開業した。マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授陣などと連携し、国内外のディープテック・スタートアップの多角的な支援に取り組む。
「日本最大級のディープテックコミュニティの創出を目指し、ここ渋谷から世界の未来を動かしてまいります」。同日開催したオープニングカンファレンス「DEEPTECH INNOVATORS DAY」で、東急不動産の黒川泰宏・渋谷開発本部本部長は高らかに宣言した。「昨今、全世界で注目が集まるエネルギーやAI、ロボティクスといったディープテック領域は社会に大きな影響を与える可能性のある高度な技術領域であり、日本でも国を挙げて大きな支援がなされています。その一方で、ディープテック領域は研究開発に長い時間がかかり、多額の資金が必要となる上、投資回収にも時間がかかることから、事業化の難易度の高さが大きな社会的産業的課題となっております。SDS では様々な支援を通じて、ディープテック領域における日本の研究力、技術力の高さという強みを生かし、広域渋谷圏からグローバルに活躍できるようなスタートアップを生み出してまいります。 SDS では明日の提供にとどまらない多角的な取り組みを通じて、国内外のディープテック・スタートアップをグローバル市場へと進出させるサポートをしてまいります」と述べた。
SDSでは、有力なスタートアップ支援会社、スクラムスタジオが運営するグローバルなディープテック・スタートアップを対象としたアクセラレータープログラム「Sakura Deeptech Accelerator」を4月に開始する。支援対象はクライメートテックとAI・ロボティクスの2分野。クライメートテックは、クリーンエネルギーや燃料、カーボンマネジメント、サステナブル素材・化学品、サーキュラーエコノミーなどを含む。AI・ロボティクス は、IoTやエッジコンピューティング なども対象だ。国内外から、アーリー・グロース ステージ10社の参加を募り、SDSなどの共有オフィススペースや研究・実験施設、住居などを提供する。スクラムスタジオの髙橋正巳社長は「プロダクトマーケットフィットがすんでいる。つまり市場である程度製品が受け入れられているスタートアップを対象とすることで、大企業とのコラボレーションにもつながる」と、大企業とのコラボレーションの実現に意欲を見せた。
提携するMITを代表して、MIT Industrial Liaison Programのスティーブン・パルマー、 シニアディレクターがあいさつした。「日本の産業界に対する私の希望は、新しいトレンドに焦点を当てることです。ファーストムーバー、アーリーアダプターになり、業界の他社が何をしているかではなく、自分たちがどうすれば違うことができるかを考えることです。競合他社や競争相手が何をしているかではなく、自分がどうすれば違うことができるのか。Sakura Deep Techインキュベーターが、日本のスタートアップが成功するのに役立つと信じています」と話した。
東急不動産は広域渋谷圏のまちづくりにおいて、新産業や最先端の事業創出を通じた「価値創造力」の強化を目指している。渋谷ではすでに、IT分野では有力な上場ベンチャーが本拠を置き、産業基盤が形成されている。東急不動産は長期的な視点から、エネルギーやAI、ロボティクスといったディープテック領域の育成が、広域渋谷圏の長期的で持続的な成長に必要だと判断した。日本の産官学の研究力や技術力の高さを活かし、アクセラレータープログラムを通じた伴走型の支援を提供することで、ディープテック・スタートアップのさらなる成長を後押しし、広域渋谷圏にグローバルなイノベーションエコシステムの構築を目指す計画だ。
ジョルダンニュース編集部