スシテック、盛況のうちに閉幕 ピッチコンテストの優勝は3D Architech ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2025/5/19 10:31 ジョルダンニュース編集部

「ボーングローバル」スタートアップの若き才能、成田さん、学生たちが展示で魅了した「ITAMAE」、子供たちの笑顔が溢れた富士通ブース__単なるスタートアップの祭典に留まらず未来への希望を育む場としての役割も果たし__まさにイノベイティブする イベントとなりつつある
スタートアップのグローバルイベント「SusHi Tech Tokyo 2025」(スシテック東京 2025)が先週末5月10日、東京ビッグサイトで盛況のうちに幕を閉じた。国内外から集結したスタートアップ企業や大企業の新規事業部門など、イノベーションの熱気に満ちた3日間となった。
イベントのハイライトは、2日目に行われたアワードセレモニー。スタートアップのピッチコンテスト「スシテックチャレンジ」では、革新的な技術を持つ企業がしのぎを削った。栄えあるグランドプライズに輝いたのは、日本人起業家が率い、米マサチューセッツ州ボストンと宮城県仙台市に拠点を置く3D Architech(3Dアーキテック)。同社は、10マイクロメートルレベルの精密なデザイン制御を実現する独自のゲルベース金属の3Dプリンティング技術を開発。強度や柔軟性、導電性などを自在に調整でき、製造コストの削減も可能という。

成田海CEOは、東京工業大学出身で、カリフォルニア工科大学博士課程在籍中にリチウムイオン電池の電極作製技術を開発した。米国の電池メーカー24M Technologies(24Mテクノロジーズ)を経て2023年1月に同社を創業。30代前半の若きリーダーとして、世界を舞台に活躍する「ボーングローバル」スタートアップの代表例と言えるだろう。
また、展示ブースの最優秀賞にあたる「イノベーティブ・パビリオン」は、大学生らが運営する「ITAMAE」とスイスのパビリオン「SWISSTECH」の2つが受賞した。「ITAMAE」は学生向けの起業やスタートアップに関するセミナーやワークショップが高く評価された。スイスのパビリオンは、黒地に「swisstech」の電飾の文字が印象的。世界のどのテックイベントでも同様の展示ブース作りで、ブランドイメージを確立している。個別の展示では、Flybotixのケースに入ったドローンが目立った。視覚機能も備えた物体知能ロボティクスおよびサイバネティクスを専門とするインドのディープテックスタートアップであるCynLrも、スイスに拠点を置く関係から、スイスパビリオンからの出展となった。

最終日の3日目は入場無料のパブリックデーとして開催。ビジネスデーとほぼ同等の展示に加え、子供向けの企画も多数用意された。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西卓哉宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)から会場と交信し、ISS内部ツアーも実施。富士通は参加者の顔をアバターに反映させる展示で人気を集めるなど、会場は多くの家族連れで賑わい、子供たちの笑顔が溢れた。
「SusHi Tech Tokyo 2025」は、単なるスタートアップの祭典に留まらず、未来への希望を育む場としての役割も果たした。イノベーションに触れ、刺激を受けた子供たちの中から、未来の社会を変革するイノベーターが誕生することを期待したい。
2日目に開催されたアワードセレモニーでは、小池百合子東京都知事が、来年の開催も発表した。これまでのゴールデンウイーク後から、一転して、ゴールデンウイーク前の4月27日に初日を迎え、28日までの2日間がビジネスデイ。29日の休日がパブリックデイとなる見通しだ。

ジョルダンニュース編集部