cosmobloomとスタッフ、衛星直接通信用の膜面アンテナを共同開発へ 軽量・コンパクト化
2025/8/12 8:56 ジョルダンニュース編集部

宇宙スタートアップのcosmobloom(東京・大田)とアンテナ技術で知られるスタッフ(横浜市)は7月31日、携帯電話などと衛星が直接通信するための膜面アンテナを共同開発すると発表した。軽量かつコンパクトに折りたためる膜面技術を活用し、数メートル級の大型アンテナを小型衛星に搭載することを目指す。2025年8月に米国で開催される専門会議で開発進捗を発表する予定だ。

共同開発では両社の技術を融合させ、膜面アンテナの実用化に取り組む。cosmobloomはこれまで宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙構造物システム研究室との共同研究を通じて柔軟構造物の設計技術を蓄積。スタッフのアンテナ開発技術と組み合わせることで、設計と製品化の間に存在する技術面の実務的課題の解消を目指す。
衛星ダイレクト通信は米スペースX社や米AST SpaceMobile社などが急速にサービスを拡大している分野だ。高速・大容量通信を実現するには数メートルから数十メートル級の大型アンテナが必要になる。現在は剛体パネルを用いたアンテナが主流だが、膜面アンテナは軽量で収納性に優れるという利点がある。
両社によると、開発中の膜面アンテナは衛星ダイレクト通信以外にも、合成開口レーダー(SAR)アンテナや低消費電力広域無線(LPWA)アンテナなど多様な用途への展開が可能という。将来的には宇宙太陽光発電システム(SSPS)の実現に向けた基盤技術としても期待されている。
cosmobloomはすでに宇宙ごみ対策機器「0.25Uデオービット装置」の開発に着手しており、膜面アンテナはその次のステップと位置付けている。宇宙空間における大型構造物の実現に向けた技術開発を進めていく方針だ。

(中山社長コメント)
この度、cosmobloom様と衛星ダイレクト通信の実現に向け、膜面アンテナの開発を進める運びとなりました。非地上系ネットワークの活用において、高速、大容量通信を実現するためには宇宙空間で安定的に使える大型アンテナの開発が必須です。cosmobloomと本開発に関わる機会をいただけたことへの感謝を申し上げると共に、その実現に向けて覚悟を新たに取り組んで参ります。
(福永CEOコメント)
この度、スタッフ株式会社様とご一緒に膜面アンテナの開発を進めさせていただくことになりました。研究としては様々な取り組みがされていますが、本当に使えるものとして実用化を共に目指していただけることに大変感謝をしております。cosmobloomでは初期よりアンテナ開発を視野にいれて検討を進めてきていますが、コア技術は機構部分であるため、アンテナのプロフェッショナルであるスタッフの皆様と開発を進めることで、より早く、最適な設計を目指していくことができるようになりました。
※写真やCG画像は、cosmobloom提供。