「AIとWeb3は融合、相乗効果生む」 を議論 暗号資産取引所バイナンスCEOのCZ氏 ジャパンブロックチェーンウィークサミット2025

ジョルダンニュース編集部

え、「サトシ・ナカモト=AI」説!?

一般社団法人Japan Blockchain Weekは、2025年8月23日、東京都内で「Japan Blockchain Week Summit 2025 AI edition」を開催した。世界最大の暗号資産取引所バイナンスの創業者兼CEO、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、以下CZ)氏が登壇し、Web3とAIの融合がもたらす未来について語った。セッションでは、主催者側から、生成AI企業Xinobi AIの馬渕邦美氏と、Web3企業INTMAXの藤本真衣氏が聞き手を務めた。

左から順に、馬渕邦美氏、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、CZ)氏、藤本真衣氏

バイナンスと日本の深いつながり

冒頭で、藤本氏は、バイナンスがこれまで日本の災害時に行った人道的支援に触れ、東日本大震災の際には1億円を、コロナ禍ではマスクを寄付したことに感謝を伝えた。CZ氏は、規制当局からの警告後に日本を支援したことで驚く人もいたが、自身が東京に長年住んでいたことや、日本に多くの友人がいることから、支援は自然な行為だったと説明した。また、この支援がバイナンスの慈善事業「バイナンス・チャリティ」の始まりになったことも明らかにした。

AIはWeb3とどう融合するのか

CZ氏は、Web3とAIの融合は不可避であり、いくつかの側面から相乗効果が生まれると指摘した。

バイナンスの創業者兼CEO、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、CZ)氏

第一に、AIエージェントの活用だ。将来的には個人が何千ものAIエージェントを使いこなす時代が来ると予測し、ホテルの予約や記事の購入など、無数の取引が発生すると述べた。これらの取引には、クレジットカードのような従来の決済手段ではなく、ブロックチェーンのマイクロペイメントが適していると強調した。

第二に、データのプライバシー保護である。AIの学習データは、ブロックチェーン上に記録することで、個人のプライバシーを保護できると提言した。

第三に、資金調達である。AI開発には莫大な資金が必要だが、どの国も単独で賄える金額ではない。そこで、多くのAI企業が計算能力をトークン化し、ブロックチェーン上で資金調達する「コンピュートトークン」を検討していると述べ、AIは公共財として人類全体で資金を調達し、管理すべきだと主張した。

「サトシ・ナカモト=AI」説とUXの変革

馬渕氏が「サトシ・ナカモトが未来から来たAIだ」というCZ氏の以前のジョークに触れると、CZ氏は「冗談だったが、今ではそう信じている人もいるかもしれない」と述べ、参加者の笑いを誘った。

また、CZ氏はWeb3のユーザーエクスペリエンス(UX)がAIによって劇的に変化すると予測した。現在は複数のクリックが必要な操作も、AIエージェントに「ポートフォリオの10%をイーサリアムに変換して」と話しかけるだけで完了するようになり、より自然な操作が可能になると述べた。

AIが変える法律と仕事の未来

CZ氏は、AIは法律を簡素化し、より公平な判断を下す「AI裁判官」を生み出す可能性に言及した。人間の感情に左右されないAIが、法律の解釈と運用を改善すると見通した。

AIがもたらす雇用の変化については、単純作業や記憶に頼る仕事はAIに置き換えられるが、これは仕事がなくなるのではなく、より創造的な仕事をするための時間を生み出すと強調した。宇宙探査や医療、新素材開発など、人類がまだ解決できていない大きな問題に取り組むためのAIの可能性を熱弁した。

記念撮影する馬渕邦美氏、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao、CZ)氏、藤本真衣氏(左から順)

最後にCZ氏は、AI、ブロックチェーン、インターネットという3つの技術を組み合わせることで、多くの新たな機会が生まれるとし、日本の聴衆に向けて「スタートアップを始めて、ビルドし続けてほしい」とメッセージを送った。

記事提供元:タビリス