米グーグル、AIコマース共通規格「UCP」発表 検索から購入まで会話で完結 ウォルマートやShopifyと連携 小売向け生成AI利用は11倍に急増
2026/1/20 13:34 ジョルダンニュース編集部

米アルファベット傘下のグーグルは11日、ニューヨークで開催した全米小売業協会(NRF)のリテイルズ・ビッグショーで、生成AI(人工知能)を活用した新たな電子商取引(EC)の共通規格「Universal Commerce Protocol(UCP)」を発表した。AIエージェントが消費者と小売企業の仲介役となり、商品検索から決済、配送手配までをシームレスにつなぐ「エージェント・コマース」の基盤構築を急ぐ。
会話画面から離脱せず「即購入」
サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は基調講演で、「発見から決定、そしてその先まで顧客関係を中心に据えた」とUCPの狙いを語った。新規格の最大の特徴は「ネイティブ・チェックアウト」機能だ。グーグル検索のAIモードや対話アプリ「Gemini」上で、消費者がAIと会話しながら商品を絞り込み、画面を遷移することなくその場で「購入ボタン」を押して決済まで完了できる。

例えば、旅行用スーツケースを探す際、AIが推奨したブランドの商品をタップすると、その場で会員登録やロイヤルティープログラムへの加入、関連商品(パッキングキューブなど)の追加提案が行われ、Google Payで支払いが完了する。小売企業にとっては、自社サイトへ誘導できなくても、AIとの対話を通じて顧客データを取得し、関係性を構築できる利点がある。
UCPはオープンかつ特定のベンダーに依存しない規格として設計されており、初期パートナーとしてウォルマート、ターゲット、ウェイフェアに加え、EC基盤のショッピファイ(Shopify)、Etsyなどが参画している。
小売業界のAI利用、1年で劇的拡大
グーグルによると、小売業界における同社のAI API上のトークン処理量(データ処理量)は、2024年12月の8.3兆トークンから、1年後の2025年末には90兆トークンへと前年比11倍以上に急拡大した。ピチャイCEOは「小売業界はまさに拡大局面にあり、この機を逃してはならない」と強調した。

消費者の検索行動も変化している。従来のキーワード検索やフィルタリングから、自然言語による詳細な要望を伝えるスタイルへとシフトしており、同社の「Shopping Graph(ショッピンググラフ)」は毎時20億以上の商品リストを更新し、リアルタイムな情報提供を支えている。
企業向けエージェント開発支援も
企業向けソリューションでは、新たに「Gemini Enterprise for Customer Experience」を発表した。ホーム・デポやマクドナルド、クローガーなどが既に導入を進めており、断片化していた検索、商取引、サービスのタッチポイントを統合。あたかも知識豊富な販売員のように、詳細な質問への回答や能動的な提案を行う「ショッピング・エージェント」を自社アプリやサイト上に構築できる。
ドローン配送網の拡大
「発見から決定」だけでなく、物流の課題解決にも着手する。アルファベット傘下のドローン配送企業Wing(ウィング)とウォルマートの提携を拡大し、2025年に配送数を倍増させた実績を踏まえ、ヒューストンなどで新たなサービスを開始すると発表した。
グーグルは、検索エンジンの強みと生成AI、そして新たな共通規格UCPを組み合わせることで、Amazonなどが先行するECプラットフォーム競争において、AIを起点とした新たな商流の覇権を握る狙いがある。

「NRF 2026: リテイルズ・ビッグショー」は、2026年1月11日から13日までニューヨークのジャビッツ・センターで開催された。世界100カ国以上から約40,000人の参加者と1,000社以上の出展企業が集まる世界最大級の小売イベントとなった。「The Next Now」をテーマに掲げた本イベントでは、AIによる効率化や顧客体験の変革が焦点となり、著名人の登壇や大手IT企業の出展、NY店舗ツアーなどを通じて次世代の消費トレンドが議論された。









