防衛省、民間衛星網で画像収集 総額2831億円、Synspective・QPS研究所・アクセルスペースなど宇宙スタートアップが参画
2026/2/26 1:49 ジョルダンニュース編集部

防衛省は、複数の小型人工衛星を連携させる「衛星コンステレーション」を活用した画像データ取得事業について、三菱電機やスカパーJSATなどが設立した特別目的会社(SPC)と契約を結んだ。契約総額は約2831億円。民間の宇宙インフラを活用する民間資金等活用事業(PFI)方式で、安全保障上重要な「スタンド・オフ防衛能力」の向上に不可欠な画像情報を安定的に取得する狙いがある。

三菱電機、スカパーJSAT、三井物産の3社が設立した特別目的会社「トライサット・コンステレーション」が2月19日付で防衛省と事業契約を締結した。事業期間は2026年2月19日から2031年3月31日までの約5年間となる。同社主導のもと、画像データを取得する衛星コンステレーションと専用地上施設を整備・運用する。
画像データの取得には、宇宙スタートアップ企業が中核として参画する。小型SAR(合成開口レーダー)衛星を手掛けるSynspectiveとQPS研究所に加え、光学衛星を展開するアクセルスペースがデータを提供する。また、三井物産エアロスペースも協力企業として加わり、計7社体制で事業を推進する。
全体の契約総額約2831億円のうち、Synspectiveは小型SAR衛星の画像データ取得業務について、トライサットおよび三菱電機との間で1056億円の委託契約を結んだ。また、本事業で唯一の光学衛星事業者として参画するアクセルスペースも、トライサットおよび三井物産エアロスペースとの間で約480億円の画像データ取得業務委託契約を締結した。QPS研究所も、トライサットおよびスカパーJSATとの間で同様の委託契約を結んでいる。
防衛省は本事業を通じて、脅威圏外の離れた位置から目標を対処する「スタンド・オフ防衛能力」の実効性確保を目指している。地球の低軌道(高度約200~2000キロメートル)に多数の小型衛星を配置し連携させるシステムを構築し、防衛省のニーズに応じた高頻度かつ安定的な衛星画像の提供体制を整える方針だ。

今回の防衛省による民間衛星コンステレーションの大規模活用は、日本を取り巻く急激な安全保障環境の変化を背景としている。東シナ海や台湾海峡における中国の軍事的台頭や北朝鮮のミサイル開発など、地政学リスクがかつてなく高まる中、広域かつ常時監視が可能な宇宙空間からの情報収集能力の強化は急務となっている。さらに、米国で「米国第一主義」を掲げるトランプ政権は、同盟国である日本に対し、自国の防衛力強化や防衛負担の拡大をこれまで以上に強く求めている。本事業による抑止力の向上は戦略的な重要性を増している。
また、本件は日本の宇宙スタートアップ企業が有する先端テクノロジーを、安全保障分野へ本格的に応用する「ディフェンステック」の画期的な事例となる。SynspectiveやQPS研究所、アクセルスペースといった新興企業が中核を担うことで、これまでの重厚長大な防衛産業の枠を超えた官民連携が加速する。
こうしたスタートアップの衛星技術は、災害対応やインフラ監視といった民生分野と、国防分野の双方で活用可能な「デュアルユース(軍民両用)」の性質を持つ。政府が新興企業の機動力や革新的な技術を防衛に取り込みつつ、大型契約を通じてその成長を強力に後押しすることは、安全保障の強化だけでなく、日本の宇宙産業全体の競争力底上げにもつながる重要な意義を内包している。










