香港、日本のスタートアップ誘致に本腰 ドローンや医療AIに熱視線 豊富な資金と「グレーターベイエリア」への足掛かりに
2026/2/26 1:54 ジョルダンニュース編集部

香港貿易発展局(HKTDC)は2月13日都内で、日本のスタートアップ企業を対象とした交流イベントを開催した。香港政府は近年、金融・物流に加え、イノベーションやテクノロジー分野の育成を強化している。中国本土の「グレーターベイエリア(GBA)」へのゲートウェイ機能や、豊富な投資資金を武器に、日本企業の誘致を加速させる狙いだ。
「日本ブランド」と資金力が強み
香港には現在、約1550社の日本企業が進出しているが、その多くは大手企業であり、スタートアップは20〜30社程度にとどまるとみられる。香港貿易発展局のベンジャミン・ヤウ日本首席代表は、「香港のスタートアップ数は5000社を超え、その3分の1は海外からだが、日本からの進出はまだ少ない。伸び代は大きい」と強調する。

香港進出の最大のメリットは、厚みのある資金調達環境だ。香港には200以上のファミリーオフィス(富裕層の資産管理会社)が存在する。従来は不動産投資が中心だったが、中国本土の不動産市況の変化を受け、AI(人工知能)やテック分野へ投資先をシフトさせている。HUMANITY VISIONの松本仁CSOは、「香港では日本企業というだけで圧倒的な信頼(バフ)があり、ファミリーオフィスなど長期視点の投資家と繋がりやすい」と指摘する。キャピタルゲイン課税がない点も、投資家・企業双方にとって大きな魅力となっている。

ドローン・医療AIが先行
具体的な有望分野として、「低空経済(Low-Altitude Economy)」や「ヘルスケア」が挙がる。
2024年7月に東証グロース市場に上場した産業用ドローン開発のLiberawareは、香港市場の開拓を進めている。同社は狭小空間を飛行できる小型ドローンに強みを持つ。香港でも日本同様にインフラ老朽化が進んでおり、高層ビルの点検や上下水道の維持管理などで需要が見込まれるためだ。
同社の伊藤英・海外事業部部長代理は、「香港政府が推進する『低空経済』政策の波に乗り、現地のAIスタートアップと提携して実証実験(POC)を重ねている」と語る。

東北大学発のエイジングテック企業、CogSmart(コグスマート、東京・中央)は、創業からわずか1年後の2020年に香港法人を設立した。香港サイエンスパーク(HKSTP)の支援プログラムに採択され、約1億円相当の助成金を獲得している。共同創業者の医師、中村匠汰氏は、「香港法人を持つことで、中国語・英語を操る国際的な人材獲得や、グローバルな展示会への露出が可能になった」とメリットを語る。

政府主導でエコシステム整備
香港政府は、スタートアップ支援機関である「香港サイエンスパーク(HKSTP)」や「サイバーポート」を通じ、研究開発(R&D)やデジタル分野の企業支援を拡充している。特に高齢化が進む香港では、バイオテックやヘルスケア分野の企業数が急増しており、2023年には前年比40%以上の伸びを見せた。
HKTDCは、4月に開催される技術展示会「InnoEX(イノエックス)」などを通じ、日本企業と世界のバイヤーや投資家とのマッチングを促進する方針だ。渡航・宿泊費の補助制度も設け、日本からの参加を促している。香港貿易発展局のジョイス・チャン マーケティング・マネージャーは「香港は資金、人材、自由な経済システムが揃っている。グローバル展開にあたり、香港を活用してほしい」と呼びかけた。










