エージェンティックAIが調達を変える――契約リーケージ検知で支出の1~3%を回収する可能性【A.T. カーニー】

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運用面の影響は12~18カ月、戦略変革には3~5年――人とAIの役割分担が焦点に

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『エージェンティックAI革命――調達リーダーが今知るべきこと』(英題:The agentic AI revolution: what procurement leaders need to know now)を公開しました。
本論考は、アムステルダムで開催されたKearneyの調達ラウンドテーブルでのCPOの議論をもとに、エージェンティックAIが調達業務と組織にもたらし得る価値と、実装に向けて解くべき課題を整理しています。予測AIがパターンを分析して結果を予測し、生成AIがコンテンツ生成するのに対し、エージェンティックAIは意思決定、タスク実行、成果最適化を通じて自律的に行動する点が異なります。
その便益を実現するには、効率性だけでなく有効性やユーザー体験を含む事業ケースの設計に加え、AIに委ねる統制範囲、データとチームの準備、人とエージェントから成る二つの労働力の融合を設計する必要があります。本論考は、CPOがベンダーの主張を見極めると同時に、自らの機能や事業を不当な価格設定や過大に売り込まれた能力から守る役割も担うと指摘しています。


契約リーケージ検知は支出の1~3%を回収し得る、事業ケースは3視点で再設計
エージェンティックAIは比較的新しい技術であり、従来のデジタル投資を正当化してきた効率性重視の事業ケースが必ずしもそのまま機能するとは限りません。調達バリューチェーン全体における効率改善は散在し、十分に捉えきれない可能性があるためです。本論考は、効率性に加えて、有効性とユーザー体験という視点も含めて価値を捉える必要性を示しています。
具体例として、契約リーケージ検知によって、支出の1~3%を回収し得るとしています。これは、企業が全請求書を契約条件やリベートと突合できないために失われている損益インパクトです。また、交渉インテリジェンスは、人出では不可能な量の工数を要する示唆と機会を特定できる可能性があります。
一方、ラウンドテーブルで共有された個別事例では、あるベンダーが既存の調達ソフトウェアにAIを組み込み、「新しく、より強力なソリューション」として提示したうえで、請求額を50%引き上げました。本論考は、AI搭載という表示だけで大きな価値が生まれるとは限らず、CPOには能力と価格を見極める役割があるとしています。

AIの自律性は「支援型」から「自律型」まで、統制水準の設計が不可欠
エージェンティックAIの導入では、何を人間の手に残し、何をエージェントに任せるのかが中心的な論点になります。本論考が参照するエージェンシー・フレームワークでは、AIが推奨して人間が実行する「支援型」から、AIが最小限の監督のもとで独立して行動する「自律型」までの幅を示しています。どの閾値で人間の関与を必須とするかは、調達と事業が判断すべき事項です。
高い自律性は大きな価値をもたらし得る一方、現状からの大きな変化と重大なリスクを伴います。組織は、リスク許容度、規制環境、変化受容の準備状況に基づき、スペクトラム上の位置を意識的に選ぶ必要があります。倫理的なガードレールとハルシネーションを防ぐ方法を理解し、安全に展開できるようにすることも重要です。
本論考は、調達部門の担当者がエージェントの管理者となる将来を見据え、1.エージェント性能を年次ではなく週次または日次で評価・管理・改善する、2.データ品質と独立したインサイト創出のオーナーシップを担う、3.プロンプト・エンジニアリングを理解する、4.仮説シナリオを創造的に考える、5.ワークフローをプロセスではなく「なすべき仕事」として再定義する、という5つの能力を挙げています。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46861/136/46861-136-f46f0f61ff77c0db13d86f123fb4001c-1683x935.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


運用面の影響は多くの用途で12~18カ月、戦略変革はおそらく3~5年
エージェンティックAI活用の効果が現れるまでの時間軸は、事業ごとに異なります。運用面の影響は多くの用途で12~18カ月とする一方、戦略変革が必要な品質と規模に達するには、約3~5年を要します。
実装にあたっては、部門横断チームがアジャイル・スプリントで取り組み、エージェントの性能を反復的に改善するところから始めるとみています。データの完璧さを待つのではなく、用途ごとに許容誤差閾値を定義しながら、データ準備を進めることが重要です。また、チームの準備は技術以上に重要であり、ITと事業だけでなく、調達部門と人事部門の関与も必要だと指摘しています。
CPOが現時点ですぐにエージェンティックAIを活用する必要は必ずしもありませんが、いつ導入を始め、どのように活用するかについての計画は必要です。成功する調達リーダーは、必ずしも最初または最速の導入者ではなく、変革の可能性と実装上の課題の双方を冷静に見据え、データの準備状況、ベンダーの主張、組織能力について難しい問いを発するリーダーだといえます。


- 論考について
論考名:『エージェンティックAI革命――調達リーダーが今知るべきこと』(英題:The agentic AI revolution: what procurement leaders need to know now)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-agentic-ai-revolution-what-procurement-leaders-need-to-know-now


- 監修者
濱口 典久 シニア パートナー
東京大学農学生命科学研究科、博士課程修了。博士(PhD)。米系戦略コンサルティングファームを経てA.T. カーニー入社。戦略オペレーションプラクティス、消費財小売プラクティスのコアメンバー。サプライチェーン、調達、営業、サービスオペレーション、間接業務の改革プログラムに関する経験が豊富。近年は、戦略や計画の設計に留まらず、チェンジマネジメントを通じて目に見える成果を実現するプロジェクトに注力。
長内 正一 パートナー
東京オフィスの戦略オペレーションプラクティスのコアメンバー。ICT企業、金融機関、製造業などのクライアント企業のトランスフォーメーションを中心に支援。


A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。
https://www.jp.kearney.com/

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記事提供元:タビリス