亀田総合病院と生成AIの電子カルテ連携の実証実験を実施がん登録業務の情報収集時間を年間約3割削減

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医療現場の煩雑な情報収集・入力業務を生成AIとデータ連携で大幅効率化

 Ubie株式会社(本社:東京都中央区、共同代表取締役:阿部吉倫・久保恒太、以下「Ubie」)は、医療法人鉄蕉会 亀田総合病院(所在地:千葉県鴨川市、病院長:亀田俊明、以下「亀田総合病院」)において、「ユビー生成AI」を活用し、電子カルテシステムと連携したがん登録業務の効率化に関する実証実験を実施しました。本実証実験では、これまで医療従事者が多大な時間と労力をかけて手作業で行っていた、電子カルテからの情報収集・整理・入力作業の効率化を目指しました。その結果、対象患者の抽出にかかる時間を年間約3割削減(年間約100時間、約2週間分の業務時間に相当)するなど、業務負担の大幅な軽減に繋がる顕著な成果を確認しました。今回の連携は、様々な電子カルテ環境下での「ユビー生成AI」の活用可能性を示すものであり、他の医療機関における多様な業務効率化への応用が期待されます。

<実証実験概要>
実施期間: 2025年6月
実施場所: 医療法人鉄蕉会 亀田総合病院
対象システム: 同院にて稼働中の電子カルテシステム(IBM社製)を活用
主な検証項目:
・DWHを経由したデータ連携により、ユビー生成AIを活用した情報の構造化・統合・要約等の検証
・がん登録業務における対象患者抽出および登録作業の効率化効果測定

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/48083/166/48083-166-e9a7bd17a6777f1d5852119938343bfd-1920x1280.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

■取り組み背景と導入目的

医療機関における「全国がん登録・院内がん登録」業務は、患者さんの診断、治療内容、経過など、電子カルテや様々な部門システムに分散・断片化して記録された情報を収集・整理する必要があり、多大な時間と労力を要する課題となっています。特に、電子カルテ内の情報が必ずしも構造化されておらず、必要な情報にアクセスするのに手間がかかることが業務効率を低下させる要因となり、診療情報管理室などの担当部署に大きな負担がかかっています。

亀田総合病院は、千葉県南部の基幹病院として、優れた人材、高精度機器を導入・駆使し、急性期医療を担っており、集中治療部門(ICU、CCU、ECU、NCU、NICU)を整備し急性期高度医療の提供に力を注いでいます。また、診療部門も含めた医療サービス全般にわたるISO9001の認証や、国際的な医療機能評価であるJCI(Joint Commission International)から日本初の認証を取得するなど、医療の質の向上に取り組んでいます。
同院では、質の高い医療を提供し続ける一方で、前述のようながん登録業務の負荷が高いことが具体的な課題となっていました。年間約2万8000件にも及ぶカルテを確認し、その中から登録対象となる約2800件の患者さんの情報を手作業で収集・入力する必要があり、この情報収集・整理に多大な時間を要していました。医療従事者が本来注力すべき患者ケアや専門性の高い業務に、より多くの時間を充てられる環境を整備するため、電子カルテ連携による情報収集・入力業務の効率化を目指し「ユビー生成AI」を活用した実証実験をUbieと共同で開始しました。

■実証実験の概要と成果

亀田総合病院では医療現場の課題解決に向け、2025年6月に、実際のがん登録業務を対象とした以下の実証実験をUbieと共同で実施しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/48083/166/48083-166-ef9123d5353322b282494b644bf0300c-1999x458.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
電子カルテデータ連携基盤の構築
亀田総合病院の電子カルテシステムに蓄積された診療情報を、データウェアハウス(DWH)と呼ばれる仕組みを介して「ユビー生成AI」のシステムへ自動連携する基盤を構築しました。これにより、必要な患者データをまとめて「ユビー生成AI」側へ効率的に連携することが可能となりました。これまでの個別のデータ連携とは異なり、大量のデータを一度に処理できる新たな連携方式です。また、「ユビー生成AI」の既存のワークフローと併用することで、特定の時間に大量の処理をプリセットすることが可能になります。例えば前日の夜に設定すれば、翌朝には数百名、数千名のがん登録情報構造化や退院サマリー等の生成物を自動的に生成することが可能です。
AIによる患者情報の構造化・整理
「ユビー生成AI」に連携された電子カルテ内の様々な形式のデータ(非構造化データや断片化された情報)から、がん登録に必要な情報を自動的に抽出し、構造化・一覧化しました。これにより、担当者は、当該患者ががん登録を行うべきかどうか(スクリーニング)の効率が大きく上がり、かつ電子カルテ内の複数箇所を個別に参照する手間なく、必要な情報をまとめて確認できるようになりました。

これらの取り組みの結果、以下の顕著な成果を確認しました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/48083/166/48083-166-b4fc97c8030c450f95c27bbca5741ac9-1874x520.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
対象患者抽出時間の削減
がん登録が必要な患者さんを特定するために、年間約2万8000件のカルテを確認する作業において、「ユビー生成AI」を活用することで、対象患者の抽出にかかる時間を年間約3割削減できる見込みであることが確認されました。これは、年間約100時間、約2週間分の業務時間に相当します。

登録作業全体の効率化
「ユビー生成AI」によって構造化・一覧化された情報を参照しながら登録作業を行うことで、登録作業全体においても約30%程度の効率化が見込まれます。必要な情報が一覧で確認できるようになったことで、電子カルテ内の複数箇所を参照する手間が大幅に軽減されました。

これらの成果は、がん登録業務に携わる医療従事者の業務負担を大幅に軽減し、医療従事者がより患者ケアや専門性の高い業務に時間を充てられるようになることを示唆しています。また、本取り組みで得られた知見は、電子カルテ内の情報収集・整理を伴う他の業務(退院サマリー作成など)の効率化にも繋がるものです。
Ubieは今後も、今回の亀田総合病院様との実証実験で得られた成果や知見を活かし、他の医療機関における同様の課題解決に向けた取り組みを推進していくことで、医療現場の業務効率化と医療従事者の負担軽減に貢献し、より良い医療の実現を目指してまいります。

※本連携においては、患者さんのプライバシー保護を最優先とし、個人が特定できないよう適切なマスキング処理を施した上でデータを連携・処理しています。

■医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 情報管理本部 本部長 / 糖尿病内分泌内科 シニア・ダイアビーティス・アドバイザー / CSR推進室顧問 小川 理様 コメント

今回の実証実験を通じ、当院の医療情報をDWH経由でUbie生成AIと連携させることで、まずは「院内がん登録」業務において効率化が実現できることが確認できました。これは、これまで院内に点在していた情報を横断的に活用するための一歩と考えます。今後はこのDWH連携を軸として、より多くの業務への応用を進めることにより、病院全体の生産性向上に繋がるものと期待しています。

■Ubie株式会社 生成AIプロダクトマネージャー・医師 原瀬 翔平 コメント

電子カルテには様々な形で自然言語情報が蓄積されていますが、利活用には一定のハードルがありました。弊社のデータ連携構造化基盤を利活用することで、時間、データ量、ユースケースにかかわらず汎用的に使っていただけるプラットフォームが構築されました。がん登録に限らず退院サマリー等様々なユースケースを柔軟にチューニングして大量に自動処理を行うことが可能となり、これは真に文書作成業務の大幅な効率化を実現できただけでなく、直近のAIエージェントが活躍できる環境を提供できるようになります。今回の事例は単純にコピー&ペーストを無くしただけでなく、人間が情報を探し、まとめ、作成するという一連の業務フローを根本的に解決し、医療従事者しかできない業務に注力してもらえる環境を提供できた事例だと考えています。


【医療機関向け「ユビーメディカルナビ」について】
「ユビーメディカルナビ」は診療の質向上を支援する医療機関向けサービスパッケージです。問診業務効率化を図る「ユビーAI問診」や、認知向上をサポートする「ユビーリンク」などを提供しています。「ユビーAI問診」は紙の問診票のかわりにスマートフォンやタブレットを活用した、医療機関の業務効率化を支える問診サービスです。医師は文章に翻訳された問診内容と病名辞書の結果を活用することで、電子カルテ記載に伴う事務作業が大幅に削減されます。結果として、より患者さんに向き合う時間が増え、診察等の医師にしかできない業務により集中していただけるようになります。2024年10月時点で、病院・クリニック合わせて全国47都道府県・1,800以上の医療機関で導入されています。第三回日本サービス大賞で「厚生労働大臣賞」と「審査員特別賞」を受賞しました。2024年5月からは、複数の生成AIを活用し、病院内のさまざまな業務効率化を支援する「ユビー生成AI」を開始しています。2024年12月に「生成AI大賞2024」にて特別賞と優秀賞を受賞しました。
ユビーメディカルナビ:https://intro.dr-ubie.com/
ユビー生成AI:https://intro.dr-ubie.com/hospitals/generativeai_lp

【Ubie株式会社が提供するサービス一覧】
▽生活者向け 症状検索エンジン「ユビー」
日本版:https://ubie.app/
US版:https://ubiehealth.com
▽医療機関向け「ユビーメディカルナビ」
https://intro.dr-ubie.com/
▽医療機関向け「ユビー生成AI」
https://intro.dr-ubie.com/hospitals/generativeai_lp
▽製薬企業向け「ユビー for Pharma」
https://ph-ubie.com/

【Ubie株式会社について】
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医師とエンジニアが2017年5月に創業したヘルステックスタートアップです。AIをコア技術とし、症状から適切な医療へと案内する「ユビー」と、診療の質向上を支援する医療機関向けサービスパッケージ「ユビ―メディカルナビ」等を開発・提供。誰もが自分にあった医療にアクセスできる社会づくりを進めています。
所在地  :〒103-0023 東京都中央区日本橋本町三丁目8番4号 日本橋ライフサイエンスビルディング4 5F
設立   :2017年5月
代表者  :共同代表取締役 医師 阿部 吉倫・共同代表取締役 久保 恒太
URL   :https://ubie.life

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記事提供元:タビリス