自分の身は自分で守る時代へ。地下シェルター「ソトチカ」に求められる性能

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北朝鮮のミサイル発射実験で俄然注目が集まる地下シェルター


地震や台風、津波、噴火などの自然災害に頻繁に見舞われる我が国において、防災への意識は諸外国に比べて高いのではないかと思う。しかしその一方で、地震や台風などはすっかり「慣れっこ」になっているようにも感じられる。未曾有の災害となった東日本大震災から6年半。地震や津波の怖さを「過ぎ去った出来事」ととらえるか、「いつ起こるかわからないから常に備えをしておこう」ととらえるかで、災害時に受けるダメージが大きく変わるだろう。

最近高まっているリスクに北朝鮮のミサイル問題がある。人間が関与しているとはいえ、自分ではコントロールできず、いつ発射されるかわからないという点では自然災害と同様だ。以前から販売されていたにも関わらず、このミサイル問題を機に注目が高まっているのが地下シェルター。そこで、完全防水耐震地下シェルター「SOTOCHIKA(ソトチカ)」の開発・販売を行っている株式会社アースシフトを訪れ、担当の志賀さんにお話をお聞きした。


「ソトチカ」が設置されている株式会社アースシフトの駐車場。見ただけではこの場所に地下シェルターが設置されていることはまったくわからない。ここに埋められているのがソトチカの1号機。その後改良が加えられ現在とは防水ハッチの形状などが異なる



東日本大震災後ボランティアに参加。住宅の基礎が残っているのを見て「地下」の可能性を感じる


ソトチカの開発のきっかけとなったのが東日本大震災。同社では瓦礫の片づけのボランティアに参加。住居部分は流されているものの基礎が残っている様子を見て、「土の中にカプセルのようなものを埋めておけば、大切な品々が津波に流されなかったのではないか」という想いを持ち、社会貢献の一環として開発を始めたという。

ソトチカの庫内は、全高約1.9mと約2.1mの2タイプがあり、長さは3mから3.5mほど(A~Dの4タイプで異なる)。大人が5~6人は十分に入れる大きさだ。タンク部分は原型になるものがあったため比較的短期間で商品化のめどが立ったものの、苦労したのが防水ハッチの開発だったと志賀さんは話す。

「1号機は防水ハッチを頑丈につくり過ぎたことで女性には重くて開け閉めが大変で、何度も改良を加えて現在の形に行きつきました。肝心な防水性能を確保するための実験も繰り返し行いました」
ソトチカは核となる鉄板を含めた7層構造。外側をFRPコーディングすることで長期間錆を寄せ付けない構造となっている。

当初は家庭用地下防災倉庫という位置付けで開発がスタートしたというソトチカ。水や食料などの非常食、乾電池式のランタン、手回し式のライトやラジオ、写真ほか大切な想い出の品々の収納を想定したものだった。その後シェルターの考えを取り入れ、地震や台風、竜巻発生時など緊急時の一時避難場所用として営業を展開してきたという。それが今年に入ってから頻発する北朝鮮のミサイル問題などが原因で地下シェルターのほか「核シェルターが欲しい」という問い合わせも多く寄せられているそうだ。

ソトチカの原型となったのがガソリンスタンドの地下に埋められているガソリンタンク。
「ガソリンスタンドのタンクは、過去の地震で損傷・爆発したことはありません。基本的にソトチカは地震による損傷はないと考えています。ミサイルの直撃は想定外ですが、仮にミサイルが飛んで来ても地下にあるソトチカにいれば爆風は避けられるはずです」


ソトチカの内部。写真はお話を伺った志賀さん。人が閉じこもった際に酸素が不足する場合があるので酸素ボンベを用意。また二酸化炭素の濃度が高まらないように二酸化炭素吸着剤を備え、筒の中に入れて乾電池式のファンで空気を流して二酸化炭素をより効率よく吸着させる。オプションで吸排気用のパイプを地上に出すことや、電気ケーブルを地中に埋めて電源を確保することもできる。設置後約6年が経つがカビなどは見られず嫌なニオイもなかった



地震や津波、噴火対策に。公共施設への設置も考慮した大型タイプも開発済


ソトチカは自宅の庭に埋める個人用のほか、学校や公園、公民館、各自治体施設などの公共施設に設置する防災倉庫などに対応し、緊急避難スペースとして40~50人ほど収容可能な大型タイプ(直径2.83m、全長13.5m)も開発済という。
「海岸線が長い静岡県では津波から身を守るために海沿いの公園に土を盛って『命山』と呼んでいます。大型のソトチカを命山に設置してはどうかと考えて開発しました。同時にいつ噴火するかわからない富士山の噴火対策にもなると思います。静岡県の危機管理部局による『富士山が噴火した時に登山客をどうやって守るか』という議論の中でシェルターという文言が所々に出てきていますので、噴火対策としても有効でしょう。登山道数ヵ所に設置する場合、どのようにして運べばよいか社内で議論しています」

東日本大震災と同様、強烈な記憶に残っているのが2014年9月の御嶽山の噴火だ。登山に絶好の季節を満喫していた58人の方が亡くなった。もしあの時、どのような形状のものであれ頑丈で逃げ込める施設があったらと思わずにいられない。そして、もし登山客が登山道を埋め尽くす夏の富士山で噴火が発生したら…。想像するだけでも怖くなる。大地震や津波、火山の大爆発などに備えた社会的なインフラの見直し、整備を早急に進めなければならない時期に来ているのではないだろうか。


大型のソトチカも開発済。地下を利用するソトチカは地上を占有することなく十分な物資を保管できるほか、緊急時の避難場所にもなる



放射能対策などさらに性能を高めつつ、いかに価格を抑えられるかが今後の課題


気になる価格はソトチカ本体や工事費などを含めた総額で350~400万円ほど(個人用)。受注生産となり、契約後使用開始まで約2.5~3ヵ月ほどかかるという。重量は約1~1.5トン。トラックが入れない狭い場所や穴を掘る建設機械が入れない場所には設置できない。また掘り出した土を置いておく場所が必要となるなど、ソトチカの設置にはある程度のスペースが求められる。都心部の家での設置はスペース的に難しい場合が多いかもしれない。

地震でソトチカに避難していた際、さらにその後の大きな揺れで蓋の上に崩れた家などが覆い被さった場合に脱出できるのかを尋ねたところ、「蓋の上にカバーを付ける二重構造にして脱出空間を確保することも、場所や使用目的によっては必要」とのことだった。ソトチカの内部は決して狭くはないものの地下に設置されるため、実際に入った際「もし蓋の上に瓦礫などが覆い被さり地上に出られなくなったら…」という恐怖を感じたのも事実だ。

現在、問い合わせが多い「核シェルター」用に、放射能、毒ガス、細菌兵器に対応する換気装置付きのシェルターを開発中と話す志賀さん。
「放射能対策など、まだ様々な改良、改造の余地があります。お客様の声を聞きながら協力会社のスタッフと力を合わせて、コストを抑えながらより完成度の高いシェルターをつくりたいと思います」

北朝鮮のミサイル発射実験という思わぬ形で注目度が飛躍的に高まったシェルター。導入の有無はそれぞれの判断だが、防災に有効なアイテムとしてシェルター広く認知されることはよいことだと感じている。

■完全防水耐震地下シェルターソトチカ/
http://www.earth-shift.co.jp/sotochika.html


お話を伺った、株式会社アースシフト インフラ保全事業部の志賀明さん。「災害などから自分の身を守るのは自分です。シェルターの普及率が0.02%といわれ、シェルターの文化がないに等しい日本でも、『ソトチカ』のようなシェルターが必要だという認識を持っていただければと思います」



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