コンテナ商店街「フルサット」からはじまる!上越妙高駅前の活性化

LIFULL HOME'S PRESS

コンテナ商店街「フルサット」からはじまる!上越妙高駅前の活性化の記事画像

いち早く上越妙高駅西口にできたコンテナ商店街「フルサット」


2015年3月に北陸新幹線の長野~金沢間が開業してから2年半が経過した。上越妙高駅は、この北陸新幹線の開業に合わせて新しく出来た駅だ。となれば、おのずと期待されるのが新幹線駅を中心とした商業の活性化である。

2018年7月には、アパホテルが上越妙高駅東口に開業予定。西口では東横インが2018年に開業を控え、さらに複合商業施設や日帰り温泉施設などのオープンも予定されている。今後の開発予定を聞くと、華やかな駅前の様子が想像される。だが、景色が変わっていくのはまだまだ先のようで、現状の上越妙高駅前は遊休地が目立つ。

大手デベロッパーやホテルが開発を思案するなか、いち早く進出を決め、2016年6月にオープンした店舗がある。コンテナを活用した商店街「furusatto(フルサット)」である。(以下、フルサット)
民間企業が行政の支援を受けずに、しかも単独で動き出した商店街は、オープンから着実に規模を拡大し、賑わいを見せている。フルサットの開発・運営を担う、株式会社北信越地域資源研究所の代表取締役 平原 匡さんにお話を伺った。


上:上越妙高駅西口の様子。開発予定の看板が立つものの、まだ大きな開発が動き出す様子は見えない<br>下:上越妙高駅西口を出てすぐのところにできたコンテナ商店街「フルサット」。扇状にコンテナが並ぶ



新幹線駅の開業はまちの活性化の絶好のチャンス


「新幹線の駅というのは、望んで出来るものではありません。他の地域のように、駅を中心としたまちづくりの事業が色々と動き出すものだと思っていました。せっかく駅が出来るのだから、そのチャンスを活かしたいと思いました。」

平原さんは上越市出身。上京し大学で建築を学んだあと、佐渡に10年住んでいた。歴史的建築物の調査事業や、能など伝統文化の振興を行うNPOに在籍した後、観光協会に就職し、まちの魅力のPRやツアーコーディネートをしていた。

「建築の知識や観光協会で働いた経験を活かし、自分は運営やまちづくりのサポートをすることが出来ればいいなと思って、上越にUターンしました。ですが、一向に駅前の開発が動き出す気配がない。誰もやらないなら自分でやるしかない、と覚悟を決めました。
高校の先輩で建築家の中野一敏さんに声をかけ、2014年3月にコンテナを活用した商店街の構想をはじめました。駅前であれば、家賃を稼ぐために建物を上に積み上げた高層ビルを建てることが方法としてありますが、そんなものをつくるお金はありませんし、床が余ってしまうことは目に見えています。小さい店舗を集めた、広場のような、人が集まる場所をつくりたいと思い、コンテナ商店街に行きつきました。」

コンテナなら、個人の事業主が集まって一つの複合施設をつくることができる。店舗が増える場合も柔軟に対応することができることもメリットだ。


左:フルサットから見た上越妙高駅。新幹線駅から至近にある<br>右上:フルサットは白のコンテナ。外観を装飾したいという声も店舗から上がったそうだが、このコンテクストは守り統一性を図る。<br>右下:左から、広報企画の野本洋介さん、代表取締役 地域資源プロデューサーの平原 匡さん、フルサットカフェ店長で取締役の平原 留美さん、取締役の横田 孝宜さん。



コンテナ建築を活用した商店街


「当初は中古のコンテナを活用したいと思っていましたが、建築基準法をクリアするには中古では難しいことが分かりました。建築基準法に合致するコンテナを製造する会社を探し、フルサット用のコンテナを特注することに決めました。まずは自分たちの事務所を発注し、2015年6月、上越妙高駅西口にフルサットオフィスを開設しました。」

その当時は、西口にはレンタカーの店舗があるのみで、何もない土地にぽつんとフルサットのオフィスのコンテナがある状態。とにかく早くスタートメンバーを集めようと、図面を片手に営業をしたそうだ。

「新幹線駅の開業に期待感を持たない人も多く、『人の流れが見えない、人が来るとは思えない』という声もありました。コンテナ商店街というと、国鉄の貨車を並べたバラックのようなイメージを持っている人もいて、『駅前にそんなものをつくるなんて!』と言われることもありました。そんな中でも、面白い事や新しい事に積極的な方たちもいて、2016年6月に第一期をオープンすることができました。」

第一期では、居酒屋やラーメン屋、商店など5店舗がオープン。オープニングセレモニーには多くの人が来場した。その後、2016年8月にはクレープ店が、さらに2017年6月と7月に1店舗ずつ出店。ちょうど取材に訪れた際は、次の8店舗目となるビストロ開業のための工事が進んでいた。出店希望者も着実に増えているようだ。


左上:フルサットカフェ。「おいしい旅のはじまり」をテーマに、ご当地商品の販売や、上越・妙高エリアで定評のあるカフェメニューを提供している。<br>右上:2016年8月にオープンした『Sweets Nekoji(すいーつ ねこじ)』。新潟県の人気和菓子、笹団子のクレープなど、新潟ならではのスイーツがある。店内ではギャラリースペースを設け、アートの鑑賞もできる。<br>左下:2017年7月にオープンしたばかりの『Tea×Sweets 雪の香テラス』。ガラス張りにしてテラスを設ける特注により、開放的な空間を持つ店舗になっている。<br>右下:フルサットカフェ店頭の販売スペース。地元で採れた野菜が並ぶ



空間の活用はアイディア次第でさまざま


フルサットは、通路を中心にしてコンテナが左右に扇型に配置されている。コンテナの基本ユニットは20フィートと40フィートの2種類。コンテナの連結により店舗を大きくすることも対応可能で、また、内装も店舗によってさまざまにデザインがされている。

「一戸建ての住宅のような感覚で、内装に手を加えることが出来ます。断熱を施している店舗が多いですね。コンテナは機密性がよいので、冬でも快適に過ごすことができます。」

コンテナは、上越の商店街などで見られる雪よけの屋根「雁木」をイメージして、木で結ばれている。店舗と店舗の間には、十分な広さがあり、通路にある椅子に腰かけて休む人や、立ち話をする人、店舗で購入した飲み物を飲みながら、ゆったりと寛ぐ人たちもいた。訪れた人たちのコミュニケーションの広場にもなっているようだ。

「これまでフルサットでは古本市やマルシェ、ご当地アイドルのライブなどイベントを実施してきました。2017年3月に、北陸新幹線上越妙高駅開業2周年記念イベントを開催したのですが、2日間であわせて6,600人が来場してくれました。そのとき、フルサットがオープンして以来ぶりに来て下さったお客さんもいて、『コンテナは増えていくんだね』、『あの時からこんな風に変わったんだね』と声をかけてもらったことがとても嬉しかったです。周囲の人たちに、自分たちが目指している商店街が伝わってきたように感じました。」


左:コンテナとコンテナの間にできた通路は緩やかにカーブしており、ゆとりのある広さ。子どもがよく走って遊ぶ様子が見られる。大人からも、道の先が見渡せるので子どもを遊ばせていても安心だという声もあるそうだ<br>右上:ダクトやエアコンの室外機を側面に出さない工夫をしている。通路にもなり、寛ぐ空間としても利用できる。メインエントランスを設けず、どこからでも通り抜けが出来る<br>右下:自由に休憩できるスペースが通路やコンテナの間など、あちこちに配置されている



コンテナゲストハウスも検討中


平原さんに、今後の展望について聞いてみた。

「この土地の価値を上げていくことが目標なので、まずは、いまのフルサットをより魅力のある、人を呼べる場所にしたいです。物販も強化したいですね。地元の特産物を利用したメニューの提供や、商品も販売していますので、ここをきっかけに産地に行ってみたり、食事をしに行ったりしてほしいです。
出張などビジネス目的で訪れた人から、会議室が欲しいとも言われています。上越妙高は金沢や長野、富山にも行きやすく、ビジネス拠点として伸びる可能性もあると思っています。次にオープンする店舗では、スライドを映せる設備を入れて、会議室としての利用ができるようにする予定です。また、コンテナを活用したゲストハウスや、コワーキングスペースなんかもつくっていきたいですね。」

オープン以降、フルサットは多くのメディアやテレビで取り上げられている。そのニュースを見た人から、視察希望や相談を受けることも増えたそうだ。

「フルサットは、移動や再輸送がしやすく、再活用がしやすい構成でつくられています。一時的な活用が期待されるような土地でも、また場所を移してコンテナを再活用できますので無駄がありません。場所やニーズにもよりますが、条件が合えば将来を考えた段階的なまちづくりには有効だと思います。」

新幹線駅の開業により、人の流れに変化が現れた上越妙高駅。現在はフルサットにより賑わいを見せつつあるが、今後の開発が進んだ時に、駅前はどう変化していくのだろうか。相乗効果により駅前全体の活性化が加速することを、楽しみに待ちたい。

furusatto(フルサット)
http://furusatto.com/


2017年8月14~15日に開催された雪室推進プロジェクト主催イベントでは、2日間で約7,000人の来場があった



[関連記事]
佐賀「わいわい!!コンテナ」プロジェクト~街なかの空き地で挑む都市再生手法とは~
【にいつ鉄道商店街】街の歴史を見直し“鉄道”をコンテンツにした商店街の取り組みとは?
ささしまライブ24、2017年10月の「まちびらき」で新たな名古屋の顔が誕生する!
岐阜市の「柳ケ瀬商店街」で若い世代を集めるまちづくりが進行中!
移設可能な「コンテナハウス」。シェルター・災害住宅・セカンドライフ住宅など幅広い可能性も

出発:

到着:

日付:

時間:

test