函館に進出したシェア型複合ホテル「HakoBA」~インバウンド好調の地で地域との交流の場を目指す

LIFULL HOME'S PRESS

函館に進出したシェア型複合ホテル「HakoBA」~インバウンド好調の地で地域との交流の場を目指すの記事画像

2016年度、函館の観光客数は過去最高の560万人


2016年3月26日に新青森駅と新函館北斗駅を結ぶ北海道新幹線が開業し、1年が過ぎた。開業以降、マスメディアにも多く取り上げられ、その効果に注目が集まっている。函館市が2017年5月24日に発表した「来函観光入込客数」によれば、平成28年度の観光客数は約560万7千人と、前年から66万人増え、113.3%の成長となった。交通機関別に見ると、JRが新幹線開業の影響により、138.8%と大きく伸びている。

観光需要が高まれば、気になるのは周辺のホテルの状況である。北海道財務局の調査によれば、ホテル施設の「宿泊室の不足感」は増している様子だ。7~9月の繁忙期に、函館および近郊に所在する宿泊施設、20施設のうち、13施設が「不足している」と回答。満室のため宿泊を断る状況が続いているケースもあるという。
(北海道新幹線開業を契機とした周辺地域の動向 ※平成29年3月26日現在より)

好調の波を受け、函館で2017年に新規開業予定のホテルは3軒。既存のホテルも客室の改装などリニューアルを進め、競争がさらに進むことが予想される。
そんな中、2017年5月26日にオープンしたのが、「HakoBA 函館 -THE SHARE HOTELS-」だ。「HATCHi 金沢」と「LYURO 東京清澄」というリノベーションホテルを展開する株式会社リビタが手がけるシェア型複合ホテルの3軒目である。築85年の元銀行と、元美術館をリノベーションしたホテルを見てきた。


「HakoBA」は函館港西波止場と金森赤レンガ倉庫のすぐそばに立地。2つの建物をつなぐホールには、富士銀行(旧安田銀行)の名残が見られる



築85年の元銀行をリノベーション、銀行と旧ホテルの面影が残る


「HakoBA函館」は、元はそれぞれ用途の異なる2棟の建物だった。建築当初は銀行だった「BANK」棟と、元美術館だった「DOCK」棟を繋き、ひとつのホテルとして提供している。

まずは、「BANK」棟から見てみよう。
1932年建築、安田銀行函館支店として利用されていた。銀行らしい、当時の近代建築を象徴する重厚な造りが特徴で、函館市の景観形成指定建築物に指定されている。銀行としての役目を終え、1968年から2010年までは、「ホテルニューハコダテ」として、宿泊施設として利用されていた。元銀行、そしてホテルと、長く使われてきた建物には、それぞれの名残が見られる。

「改装前に建物をフルスケルトンにしたところ、当時銀行だったときに施されたと思われる装飾が出てきて驚きました。恐らく、ホテルニューハコダテを営業するときに、天井で装飾を覆い隠したんだと思います。アール・デコ調の窓のアーチや梁など、いま残っていることは貴重ですが、当時は珍しいものとはされなかったのかもしれません。想定外の事態でしたが、この特徴を活かさないのはもったいない。当初の予定を変更して、特に綺麗に窓枠が3つ残っていた部屋を、共用のブックラウンジに改装しました」と、株式会社リビタのホテル事業部プロジェクト推進担当の金子啓太氏。
他にも、富士銀行(旧安田銀行)当時に利用されていた建物の銘板がBANK棟とDOCK棟を結ぶホールに残されている。

そして、このホテルを訪れた人を驚かせるのが、ホテルニューハコダテの看板だ。

「閉業して7年が経っていますが、ホテルニューハコダテは地元で有名で、愛されたホテルでした。当時のことを知っている人にも喜んでもらえればと、そのままそっくり看板を吹き抜け部分に置きました。地元の人はこれを見ると、『わぁっ』と喜びの声を上げて驚きますね。」


(写真左)ホテルニューハコダテ当時に利用されていた看板をそのまま残し、ホテルの吹き抜け部分の階段に設置。当時使われていたテーブルや椅子など、まだ使えるものは修復して利用している<br>(右上)BANK棟ライブラリー。窓枠、梁の装飾が綺麗に残っている。函館の観光の本や建築・デザインアートなど、函館蔦谷書店がセレクトした本を自由に読むことが出来る<br>(右下)BANK棟の客室は3カラースキームあり、それぞれ函館・北海道に関連するアートが飾られている



元美術館の棟はグループや家族旅行向けの部屋も備える


DOCK棟はテディーベアを展示していた、元美術館である。赤レンガの外観はそのままに、施設内部のフルリノベーションと、用途変更も行っている。BANK棟は個室がメインだが、こちらは様々なニーズに応える客室の構成になっている。

「ロフト型の大型ベッドと、ダブルベッドを組み合わせた6名まで宿泊できるグループ向けの部屋や、2段ベッドの2名・4名向けの部屋もあります。共用部屋のシェアードルームには、男女共用タイプだけでなく、女性専用タイプもあり、家族での旅行や、女性グループ、また一人での宿泊にも、価格帯も部屋も様々あり対応できると思います。」

DOCK棟1階にある、フロント・ロビーに入って真っ先に目に入るのが壁いっぱいに描かれたウォールアートだ。
「函館出身のグラフィックアーティストの、ワビサビさんに描いてもらいました。函館の観光名所、函館山です。ロビー以外にもホテル内のギャラリーには、地元のアーティストの方の作品を飾っていて、今後は定期的に更新していく予定です。フロントの横には、函館や海の反対側の北東北で活躍する作家さんたちの工芸品やハンドメイドの雑貨をセレクトして置いています。この場所ならではの、地域を感じられるものを提供しています。」

DOCK棟1階には、函館市内で人気の飲食店を展開する“Cafe&Deli MARUSEN”のレストラン、「PIER H TABLE」が函館の魚介や素材を活かした料理を提供する。食事やアート、函館ならではの雑貨にも触れられる、地元の情報を発信する場でもあるのだ。


(左上)ロフト型の木製ベッドにダブルベットを組み合わせ、6人まで宿泊可能なエコノミーグループの客室<br>(右上)フロント・ロビーには函館出身のアーティストのグラフィックアートが<br>(左下)陶器などの工芸品や雑貨など、ローカルを感じることができるお土産物を買うことができる<br>(右下)建物に残されていた舟の舵輪がロビーで見られる



宿泊だけでない、新しい場を提供したい


他の宿泊施設と異なるのは、やはり、地域との交流や宿泊者同士の交流が図れるシェアスペースがある点だろう。

「BANK棟のブックラウンジでは、地元アーティストとコラボしたイベントも開催していきたいです。DOCK棟のシェアキッチンは、自由に食材を持ち込んで料理をして、ルーフトップテラスで食事をしていただけます。『HATCHi 金沢』では、滞在する外国人の方と日本人の方同志の交流が生まれていて、一緒に料理をして食事をしたりする様子も見られます。地元の主婦の方が料理教室をしたりと、いまは自然と活用が進んでいるので、ここもどんどん使ってもらいたいです。今後は、近くの市場に、漁師さんに案内してもらう目利きツアーを考えています。魚を買ってきてさばき方も教えてもらい、一緒に料理をする。ここでしかできない体験を提供していきたいです。」
ほかにも、坂が多い函館の観光を快適にできるよう、電動レンタサイクルのサービスを展開し、観光発信の場としての役割も担っていくだそうだ。

また、地元の人向けにも、新しいプランを練っているという。通勤に車を利用する人が多く、夜間の宴会の後、代行のニーズがある。自宅に帰るのではなく、レストランで飲食の後にそのまま宿泊できる割安のプランも検討中。オープニングイベントでは、早速地元の人たちからの宿泊予約が入り、観光客だけでなく、周辺に住む人からの期待も高まっている様子だ。


(左上)DOCK棟のシェアキッチン。ここで宿泊客は自由に料理をして食事することができる<br>(右上)シェアキッチンと接続するルーフトップテラスでは、函館湾の景色が広がる<br>(左下)階段の踊り場などには地元アーティストの絵画が並び、ホテル全体でアートが楽しめる<br>(右下)施設内に点在する共用スペースで寛げる



2020年までに計10軒のホテルを展開予定


リビタは、2017年夏に金沢で2軒目となるホテルを開業予定。さらに、2018年度には京都で初の開業、東京で2軒目を開業予定だ。2020年までに、合計10軒のホテルの開業を目指す。
函館はTHE SHARE HOTELSとして3軒目のホテルということもあり、ホテル開業のノウハウは、相当蓄積されているのではないだろうか。

「もともとシェアハウスやシェアオフィスなども展開しており、交流を生み出す施設には強みがあるかもしれません。ですが、その地域の特色を活かしたホテルを展開することを目指しているので、その土地、その土地で戦略も全く異なります。ひとつひとつ地道に人脈を築き、どんなホテルにするか企画を練ってつくりあげています。」

「HATCHi 金沢」では、他のホテルの宿泊者がイベントに参加して、シェアキッチンでの交流が楽しかったからと、次回の宿泊先として選ばれるケースもあるそうだ。
そこでしか体験できない、その地域ならではの交流やコンテンツがある。ホテルに寝に帰るだけではなく、その場を楽しむことがひとつの観光になる。「HakoBA 函館」からも、これから多くの交流が生まれるだろう。

HakoBA 函館 -THE SHARE HOTELS-
https://www.thesharehotels.com/hakoba/


夜の「HakoBA 函館」



[関連記事]
隅田川沿いに誕生した川床付きシェア型複合ホテル。清澄白河の"未来が宿る場"とは?
宿が旅への魅力的な出発地となる!シェア型複合ホテル「HATCHi 金沢」から始まること
葛飾・柴又、「寅さんの町」に外国人向けの宿が誕生。インバウンド需要の牽引役となるか
Hostel and Dining TangaTable(タンガテーブル)。北九州リノベーションスクールから生まれた「まちを味わう旅の拠点」
また新たなリノベーションの可能性を見せつける、沖縄『SPICE MOTEL』

出発:

到着:

日付:

時間:

test