「家事分担」ではなく「家事シェア」で、家族が居心地のいい住まいに

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「家事は家族事である」


総務省統計局の平成28年社会生活基本調査によると、夫・妻の1週間の家事関連時間は、末子が6歳未満の夫・1時間23分、妻・7時間34分となっている。
20年前、平成8年の調査では夫・38分、妻・7時間38分と、男性の家事参加は大きく増加したものの、妻はわずか4分の減少。まだまだ女性の家事負担は大きいようだ。もっと男性が家事に参加するにはどうすればいいのだろうか。

「家事シェア」をご存知だろうか。
食事はママ、掃除はパパと家事を分担することが多いが、そうするとお互いの家事の分担率が平等か気になって、うまくいかないことがある。面倒くさいこと、嫌なことを押し付けあったり、日々のがんばりの主張がいつまでも平行線をたどるような分担ではなく、家事が家族事になっていること。そんな家事の捉え方が「家事シェア」だ。
提案するのはNPO法人tadaima!(ただいま!)。代表の三木智有さんに「家事シェア」とはどんなものなのか、その必要性など話を聞いた。

「例えば、ママがご飯を作っている間に子どもが食卓の用意をして、パパがお風呂の準備をするとか、誰かが家事をしている時は自分も家事をする。家族がだいたいいつも揃っている時間帯に何をするのか決めて、みんなで家事をする。全部を一緒にやるのは大変だから、朝のこの時間だけ、休日の夜だけとか、家族でいかに効率的に終わらせるかやってみる。それが”家事シェア”の第一歩だと思います。」


tadaima!代表、三木智有さん



お互いを尊重し、思いやることの大切さ


分担ではなくシェア。その発想は“居心地のいい家とは何か”という疑問からは生まれた。
大学を卒業後、インテリア、内装、設計などを学び、インテリアコーディネーターとなった三木さんは、夫婦で相談にきても話に興味を示さない旦那さんが多いことが気になっていたという。

「奥さん中心で決めた部屋では口を挟みにくいし、住み続けるのは居心地が悪いだろうなと思っていました。自分も結婚したらそうなるんじゃないかという恐怖感もあって、“居心地のいい家”とはどんな家なのか考えるようになりました。」

小学校時代、学校に居場所がないと感じていた三木さんにとって、家庭が一番リラックスできる場所であり、「居心地のいい場所を作りたい」という思いが人一倍強かったこともある。

「多くのパパさんママさんにヒアリングをしたところ、家事や育児にどれだけ夫婦で協力しあえているか、その信頼感が高い人たちは楽しく過ごしていることに気づきました。」
そこから「家事シェア」の考えが生まれていく。活動を進めるにあたっては自身の結婚も大きなきっかけとなった。

「僕はコーディネーターなので家には多少こだわりがあって、シックな感じにしていたんですが、結婚して妻の荷物が入ってくるとだんだんシックさが失われていくわけです(笑)。どうしても許せなかったのがピンク色の洗濯カゴ。”これだけは変えよう”って提案したら、”あなたは洗濯しないのに洗濯カゴについて文句を言う権利は無い”って言われて、何も言えなかったんです。

おっしゃる通りだと。でも、このままでは自分の好きな空間に住めなくなると思ったので、僕も家事をするから、お互いに居心地のいい空間を一緒に作っていこうと決めました。それから僕自身、家事にも自主的に取り組むようになりました。」
お互いを尊重し、思いやることも家事をする上で大切な事のようである。

三木さんは、2011年tadaima!を設立。子育て中の家族を中心に“家事シェア”の大切さ伝えるため、「家事シェアプロモーション」や「KIDS家事PROJECT!」事業を行っている。


家事は誰か一人の仕事ではなく家族事である。それぞれが自己責任を持って家事に取り組む「家事シェア」を勧めるNPO法人tadaima!。代表の三木さんに「家事シェア」と「居心地のいい家」の関係性を聞く。



ママしかできない、分からない状況をなくす


tadaima!では、家事シェアをしやすくするための部屋の模様替えコンサルティングも行っている。子どもの成長に合わせた部屋の使い方など、暮らしの変化に備え、家族がより助け合える環境づくりを考えるものだ。

「家事はどうしてもママの負担が多くなってしまうので、まずはママしかできない、分からない状況をなくすこと。動線を考えて住空間を整えると、どこに何があるか、どこで何をすればいいのか分かりやすくなります。」

勧めているのは家族共有のクローゼットや本棚などを作ること。個室の収納を使うと、あちこちバラバラになって、普段家事をしている人しか分からなくなってしまうので、1、2ヶ所にまとめるのがポイントだ。
「なおかつ、そこに自分の場所を作って自己管理をする、というのがシェアしやすい動線の作り方だと思います。ママが管理し過ぎるとパパも子ども片付けなくなるし、できないままになってしまう。衣類にしろ、趣味のものにしろ、自己管理する場所を作ることが大事です。」

なるほど、片付けやすいのはもちろん、掃除道具やキッチン用品の場所がわかれば誰もが家事をしやすくなるし、自分の場所があれば道具を揃えるなどやる気も出てくるかもしれない。


ファミリークローゼット。片付けが苦手な人にはどこに何が入っているか見やすくするのもポイント。背丈に合わせてラックを設置すれば、子供も出し入れしやすい



何を解決したいのか優先順位を決める


模様替えで一番大切なのは夫婦、家族みんなでやることだと三木さんは言う。
「誰か一人が頑張ってもダメ。みんなで一緒にやれば達成感もあるし、どこに何があるか、どうしてこういう配置にするのか、自分の場所も把握できる。そうすることで家に興味や関心が出てくるし、オーナーシップが持てる。それが模様替えと家事シェアの大きなつながりだと思っています。それぞれができるようになれば、ママの手も省けて楽になるし、気持ちに余裕もできますよね。」

小さな子どもにも自分の場所を作ってあげると、片付けや身支度をする練習にもなるという。
「大人のスペースの一部分を与えるのではなく、例えば棚ひとつ与えて好きにさせるのがいいですね。以前、担当した家族のお子さんが、カラーボックスをいくつか組み合わせた棚を用意したら、箱の一つにお人形を入れたんです。そこはお人形の場所だと。大人から見るともったいないスペースの使い方ですが、すごく大事なこと。お人形を置くために他の所には何を入れるか考えるようになる。そこは信じてあげてほしいです。」

コンサルティングを受けた方からは、快適になったというだけでなく、夫が自発的に動くようになった、夫婦仲が良くなったという声もあるそうだ。
「コミュニケーションのきっかけになるんですよね。家がきれいになった以上の効果もあるようです。」

模様替えをする前には、自分が今、何を解決したいのか優先順位を決めることも大事だという。

「ゴチャゴチャしてるから片付けたいという方が多いですが、どこがゴチャゴチャしていて何が嫌なのか、片付けて何をどうしたいのか。子どもに自分で片付けるようになってほしいとか、夫に自分の部屋をきれいに使ってほしいとか、寝室が2ヶ所なのを1ヶ所にしたいとか。片付けは目的ではなく、手段、ツールでしかないので、その先にどうなりたいから片付けるということが大事。片付けが目的になってしまうと家族を置いてけぼりにして、住みにくいだけになってしまったら意味がありません。」


コンサルティングの様子。パパも一緒に考えよう!



共通認識を持つことができれば、家族が幸せになれる


パパたちにもっと家事の大切さを伝えたいと始めた「家事シェア」の推進だが、申し込みの9割は女性からだという。

「女性の方が家で何かしている時間が圧倒的に長いので、片付けや家事が苦手でもどうにかしたいと思うんですよね。男性の場合、片付けも家事も苦手で、インテリアにも興味がなかったらそのままでいられるんです。どうにかする必要がない。責任感の違い、オーナーシップの違いですよね。でも、ママさんとだけ話して進めていくと、どうしてもパパさんが置いてけぼりになってしまうので、もっとパパにも参加していただけるようにしたいと思っています。

”100年ライフ”と言われる現代、仕事一筋だった男性が、それ以外に生きがいややりがいを持つことが大きな課題になっています。僕たちは「家庭」のことを考えているので、「家庭」という資産の大切さ、家事シェアの必要性についてお話ししています。今、働き方改革で残業をしなくなったのに、家に帰りたくないから時間を潰して帰るというサラリーマンも多いそうですが、それは決して健全ではないと思うんです。家が帰りたい場所、居心地がよくてリラックスできる場所であれば、それだけで幸せなんじゃないかと思っています。」

家事は誰かがやるものではなく家族事。その共通認識を持つことができれば、家族のだれもが家事に参加しやすく、住み心地のいい家になる。
家事について、住まいについて、一度家族で見直してみてはいかがだろうか。

■取材協力
NPO法人tadaima!:
http://npotadaima.com/


家事シェアをより多くの家庭に



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