日本一最終列車の早い北海道の小さな駅。新十津川駅から始まる「物語のあるまちづくり」

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「日本一」最終列車の早い駅


「最終列車」と言えば、大体夜23~0時位にかけてを思い浮かべるのではないだろうか。しかし、北海道空知の中心部にある新十津川町の小さな駅の最終列車の時刻は、なんと朝の9時台。時刻表もぽつんと一文字記されているだけ。

今北海道が抱えている1つが、JR北海道の赤字ローカル線問題。留萌線留萌~増毛間は列車1本当たりに3人という乗客の少なさで、年間の赤字は約1億6000万円以上になり、2016年12月に廃止された。現在「札沼線北海道医療大学~新十津川」「根室線富良野~新得間」「留萌線深川~留萌間」の3路線も廃止協議されているところだ。
そんな廃線の危機に面している新十津川駅で、駅を守ろうと奮闘する人々がいることを忘れてはいけない。大都市への人口流出や離農等で新十津川町は少しずつ人口が減少していき、列車の利用者も減った。そして2016年のダイヤ改正に伴い、とうとう朝の9時台1本のみとなってしまったのだ。想像できるように、もちろん無人駅。しかし、決して寂しさが漂う駅ではないのがこの駅の魅力なのである。

「日本一最終列車の早い駅」として名を馳せたことから、より一層鉄道ファンを始めとする観光客が増えたことはもちろんだが、せっかくこの駅を目的に訪れて来てくれたのだから少しでも楽しんで行ってもらいたいという想いを掲げ、この小さな駅を守ろうとしている人々がいる。


時刻表にぽつんと一文字。朝の9時台1本だ。



「勝手に」新十津川駅を守る会 ~イベントを手掛け駅を盛り上げる


普段は建設会社で働いている三浦光喜さんは、「勝手に新十津川駅を守る会」と名乗り、ボランティアとしてこの駅を守っている筆頭の1人だ。「地元民でさえも隣の滝川駅を利用し、この駅の存在を忘れ去ってしまう人が非常に多く、なんとかしたい」そう考え動き出したのが全ての始まりだった。当時は駅のまわりに雑草が生え、駅舎内には落書きが目立ち、決して綺麗な駅とは言えず、当時から駅に訪れていた鉄道ファンをがっかりさせないようにと、駅ホームの草刈りなど出来ることからコツコツと始めていった。

最近では三浦さんを始め、駅の活性化を願う町民が企画し、駅でコンサートなどのイベントをやることもしばしば。冬にはアイスキャンドルを500個ほどをつくり、それを駅前に飾って夜にはそのキャンドルたちが幻想的な雰囲気をつくりだした。周辺市町村からも人が集まり、1日に1本しか列車が来ない駅とは思えない盛り上がりっぷりを見せたのだとか。少しずつ、三浦さんを始め多くの方が守ってきた想いが浸透していったからだろう。

今では三浦さんにたくさんの仲間がいる。その中の、新十津川町地域おこし協力隊の高野智樹さんと金奨一朗さんの2人をご紹介したい。現在は三浦さんと共にイベント運営はもちろん、若者らしいアイディアを生み出し、実行に移している。三浦さんも「2人のおかげで駅を訪れる人が増えた」と話していた。


右から三浦さん、地域おこし協力隊高野さん、金さん。



いつか廃線になるのは仕方ない。でも、今できることがあるはず
~それぞれの駅への率直な想い


廃線間際と囁かれていることについて、地域おこし協力隊として町外からこのまちにやってきた2人に改めて聞いてみた。
「いつか廃線になってしまうことは仕方ない。でも、きっと今の活動をしたという実績が残ることで、同じような状況にある町や駅、その人たちのためになれるんじゃないか」と高野さんは言う。

一方金さんは、「今は鉄道ファンの間でも盛り上がり、多くの人が新十津川町を訪れてくれる。だけど、この駅はその先を考えるべきだ」とこの駅の未来を見据える。

現状はやはり車社会の北海道。新十津川駅からバス停は遠く、市街地や観光地、飲食店までも交通機関がないのが現状である。車を持たない人にとっては電車を降りてからの「二次交通」がないことが問題だと金さんは考えている。この二次交通の問題を解決することが今後の活動のキーになってくるのかもしれない。


駅に訪れた方々がたくさんの温かいメッセージを残してくれる。



86歳の新十津川駅は、続いて90歳を目指す


紹介した3名以外にも、駅を守る人がまだまだいる。この駅は、もはや決して「人々に忘れられた駅」ではない。
「新十津川駅にはトイレがないのは訪れた人が困るからなんとかしたい」と駅前にプレハブで『寺子屋』というトイレを利用できる飲食店をつくった人もいる。この店のオススメは店内で鉄道グッズも購入できるところだ。
そして大人だけではない。毎朝列車の到着と合わせて、乗客を出迎える可愛い子どもたちもいる。さらには、土日にだけ現れる駅長も大人気。そう、柴犬ララ駅長だ。大人も子供も、そして犬までもがこの駅を舞台で輝いている。訪れた乗客たちは、駅のメッセージボードに応援メッセージを残して帰って行くそうだ。「新十津川駅永遠なれ!」「ガンバレ!札沼線。また来ます!」「JR北海道がんばれ!」書かれたメッセージはどれも温かい。この小さな小さな駅舎に、それぞれの物語が今も尚刻まれ続けている。

最後に三浦さんは「鉄道がなくなるということは、地図から消えるということ。地図から消えた場所に、人はなかなか訪れなくなる。だからこれからも守っていく」と話した。こうした三浦さんたち駅への想いが、5年後も、10年後も、ずっと続いていくのだろう。それはもちろん、この駅に関わらず、廃線を囁かれている駅やその町にもこの話は受け継がれていくはずだ。

※新十津川駅の詳しい取り組みや想いをもっと知りたい方はこちら→「くらしごと」

関連サイトと情報
北海道の人、暮らし、仕事 くらしごと
くらしごと公式Facebook
◎筆者:くらしごと編集部 津山理彩子


列車が到着すると子どもたちの元気な挨拶の声が響き渡る。



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