北海道滝川市「そらぷちキッズキャンプ」。病気と闘う子どもたちの夢が叶うキャンプ場

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命を輝かせて生きている子どもたち


原因不明で治療法が確立されていない難治性の疾患である「小児難病」をご存知だろうか。
この難病の定義は、次のように決められている。
1.原因不明で、治療方法が確立されていないし、後遺症を残すおそれのある疾患
2.経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護に人手を要するため家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾患
小児難病は500以上の疾患数があり、現在日本では20万人以上の子どもたちが闘病生活を送っているのが現状だ。

その難病を抱える全国の子どもたちと家族が無料で宿泊でき、子どもたちの夢が叶うキャンプ場が北海道滝川市にあるという。旭川市に近く、札幌からも車で1時間半程度で着くそのまちにあるキャンプ場こそが、「そらぷちキッズキャンプ(以下、そらぷち)」だ。「そらぷち」とはアイヌ語で「滝下る川」という意味で、滝川の由来となった言葉である。

難病を抱えている子どもたちは、周りの同世代の子どもたちにとっての"当たり前"が当たり前ではない。しかし、このそらぷちではその概念を壊し、『外で遊びたい』や『キャンプをしてみたい』という子どもたちの夢が叶えられる場所として存在している。

それは一体どういうことなのだろうか。


北海道滝川市丸加高原にある医療ケア付キャンプ場



北海道という土地じゃなきゃ出来なかった


そらぷちキッズキャンプが開催しているキャンプは3泊4日。この短い期間が子どもたちや家族に希望を与えている。現在、キャンプは年10回程度開催。

冬の時期ともなれば、雪を触ったことのない本州の子どもたちにとって最高の遊び道具に生まれ変わるのは北海道ならでは。
「北海道には北海道のホスピタリティがある。美味しい食べ物がたくさんあるのはもちろん、良い意味でおおらかな人々が多い。四季がはっきりしている北海道の大自然は非日常を演出するのにピッタリ」と話してくれたのは、事務局長の佐々木健一郎さん。

そらぷちは、この活動に賛同した企業・団体の寄付により運営をしている公益財団法人。北海道の魅力を知ってもらい、そしてこのキャンプ場の存在意義を理解してもらった上で、今では多くの企業からの寄付も多くいただいているそう。全国企業はもちろん、道内企業や滝川の企業からの支援をはじめ、北海道マラソンとも連携し、チャリティーランナー制度のチャリティ先のひとつとして『そらぷちキッズキャンプ』が選ばれるなど、多くの企業や個人の方に支えられている。

そもそもどうして北海道の中でも滝川という地が選ばれたのだろうか。
実はこれには医療者と造園家の奇跡の出会いがきっかけだったと言う。

ある時、米国難病児キャンプというものに患児とともに参加した医師たちが、「ぜひ日本でも」と決意し立ち上がったこと。そして、元国土交通省の松本守さんを筆頭に、造園家たちが「バリアフリーの公園という考え方を超えて、病気の子どもの幸せをサポートすることができないか」と考え動き出したこと。

フィールドは違えど、同じ目標を持っている両者の出会いがあり、手を組むことに決めた。滝川という土地に目を向けたのは、この事業の立ち上げから動いていた松本守さんの出身が滝川だったというのも大きなきっかけとなったそう。
そんな両者の想いを知った滝川市役所からの賛同を受け、日本で初めて、病気とたたかう子どもたちのための特別に配慮された常設のキャンプ場づくりが、実現に向け進み始めた。医療者がいて、造園家たちがいて、滝川市という3つが出会い、それぞれの『やりたい』という気持ちが合ってこそ生まれた瞬間だった。


ふわふわの真っ白な雪の絨毯の上にダイブ!



楽しく過ごせるための万全な医療体制


もちろんこのキャンプには医療のサポートも必要だ。キャンプ中は医療者(医師・看護師)により24時間体制で医療サポートを行い、それに加えてボランティアスタッフが参加し子どもたちを見守る。

また、子どもたちによって抱える病気も様々なのでその子に合ったサポートをし、食事も同様にそれぞれに用意。子どもによっては担当医師が帯同してくることもある。緊急時は提携している滝川市立病院へ行けるような手配となっており、帯同している医師も、本来は別の病院の医師ではあるが、緊急時は滝川市立病院の医師として治療行為を行うことが認められている。まさに万全の体制だ。

もちろん施設内には、遊んでいる途中で具合が悪くなってしまった子どもが休めるよう、「ほけんしつ」も用意しているが、「病室」という雰囲気を出さないよう細部まで意識している。例えば、看護師は白衣を着ない。さらに、点滴を必要とする子には可愛らしい点滴台が用意。「どれがいいかな」「これにしようかな」と毎回子どもたちは、わくわくしながら選んでいる。
それも、毎日病院にいる子どもたちに、非日常の中で安心してキャンプを楽しんでほしいという想いからだ。

キャンプ参加は、もちろん子どもたちの担当の医師の理解も必要ではあるが、キャンプを過ごし楽しい気持ちのまま、また闘病生活に戻れるようにというその想い理解し、賛同してくれる先生方が増えてきたそうだ。


そらぷちキッズキャンプ内、施設内は木のぬくもりを感じられる優しい雰囲気



「お父さんとお母さんの笑った顔はじめて見た」と幸せの連鎖が紡ぐ


ご両親は子どもたちを看るために自分のパジャマに着替える時間さえもない状態の時がある。それは気づかぬうちに、体に負担が溜まっていくもの。しかし、そらぷちで子どもたちを預かることによって生まれるつかの間の休息で家族の間に笑顔が生まれる。そんな親の笑顔を見て、子どもはさらに笑顔になるという幸せの連鎖があるのだとか。「お父さんとお母さんの笑った顔、はじめて見た!」なんて話す子どももいたといた。

それだけではない。ここに来る子どもたちは、手術の跡が体に残り、みんなと一緒にお風呂に入るのが嫌だという子が多い中、このキャンプでは同じように手術の跡が残っている子も多い。『なんだ、自分だけじゃないんだ...』と、堂々と同世代の子どもたちとお風呂に入ることができて、辛いのは自分だけじゃないというのが励みのひとつになっているのも嬉しい限り。

もちろん、ここに来たからといって、病気が治るわけではない。また闘病生活に戻り、その後亡くなる子どもたちがいるのも事実。生まれてきた時から親より先に亡くなる可能性が高い子もいる。それでも、ここでの思い出が宝物だと言ってくれる子もおり、仲間がいるという思いを励みに治療に向き合えるようになった子どもたちがきっと今日も全国で頑張って命を輝かせているはずだ。


難病とたたかう子どもたちと、そしてスタッフたちの笑顔溢れる集合写真



北海道滝川市で、医療ケア付きキャンプ場を大切に育てていく


そらぷちキッズキャンプという場所が出来たばかりの当初は、正直困惑している市民からの『難病の子どもって言われても…』と何とも言えない視線は、少なからずあった。しかし、今ではそらぷちキッズキャンプという存在をしっかり受け入れ、今では、本州からのお客さんが来た時にここのキャンプ場を見せたいと連れてきてくれる人も多くなったと言う。どうやらまちの自慢の1つにこの場所を挙げてくれているようだ。

だからこそ、そらぷちはこれからも難病を抱えるお子さんや親御さんに『ひとりじゃない』『仲間がいる』ということを伝えていくつもりだ。

それと同時に、共に子どもたちを笑顔にするボランティアスタッフももっともっと集めていきたいと佐々木さんは言う。「少しでも、多くの子どもたちが参加できるように、皆さんとこの施設をこれからも大切に育てていきたい」そう話す佐々木さんの目も、未来に向けて輝いているように見えた。


※北海道で子どもたち向けに行っている活動をしている他の団体の記事はこちら→ありのままの真実を伝えるレンジャー
関連サイトと情報
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◎筆者:くらしごと編集部 津山理彩子


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