ベルリン発おしゃれコインランドリー「フレディレック・ウォッシュサロン」。地域コミュニティに貢献するコインランドリーとは?

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減り行くクリーニング店に対し、コインランドリーの店舗数は増加中


厚生労働省が発表した『コインオペレーションクリーニング営業施設』に関する調査によると、全国のコインランドリー施設数は着実に増加傾向にあり、10年前と比較すると約4000施設も増えているという(平成25年時点統計データ)。

一方、同じく厚生労働省の『クリーニング業の実態』に関する調査では、クリーニングの取次ぎを行う“クリーニング屋さん”の施設数は平成13年以降減少傾向にある。

クリーニング代を節約するためなのか、できる限り自分で洗濯をしたいと考える人たちが増え、コインランドリーへのニーズが高まっていることがデータから窺えるのだ。(おそらく他にも、ファストファッションブームにより、家庭で気軽に洗濯できるアイテムがワードローブに増えたことも影響しているのだろう)

じわじわとコインランドリー人気が高まる中で、平成29年7月1日、東京・目黒区の人気住宅エリアである『学芸大学』駅そばに、従来のイメージを覆すカフェラウンジ付きのコインランドリー『フレディレック・ ウォッシュサロン トーキョー』がオープンした。コインランドリーではなく、ウォッシュサロンと名づけられている点がなんだか洒落ている。


▲東急東横線『学芸大学』駅から徒歩13分、商店街を通り抜けた先の目黒通り沿いにガラス張りのサロンがある。一瞬外から見ただけではコインランドリーとは気づかず、まさに“お洒落なカフェ”といった雰囲気の外観だ



ドイツ・ベルリン発のウォッシュサロンが日本の洗濯シーンを変える


「15:00過ぎの今の時間はちょうど空いているのですが、サロンの来客ピーク時間帯は午前中と夕方です。ミセスの方は、幼稚園や保育園へお子さんを送りに行った帰りに寄ってくださるので午前中に、仕事帰りのOLさんやサラリーマンの方は夕方にお越しになることが多いので、その時間帯はカフェも賑わっています」と語るのは、『フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー』のプロデューサー・松延友記さん。

プロジェクトの立ち上げ前から企画に携わってきたインテリア家庭用品の商社『藤栄』(本社:東京都目黒区)の社員だ。

「弊社の本社は目黒区にありますが、1号店をここ『学芸大学』にオープンしたのは別に本社に近かったからという理由ではありません。日本のコインランドリーは、ひとり暮らしの学生さんや主に男性の方が利用する庶民的なイメージがありますから、従来のニーズに応えるべく、基本的にはカジュアルな街でオープンしたいと考えていました。

しかし『フレディレック』のコンセプトは、その対極に位置する“ファイン カジュアル(究極のカジュアル)”です。そこで、カジュアルに暮らしながらも、流行に敏感で、ラグジュアリーなことにも関心が持てる“究極のカジュアル層が暮らしている街”をリサーチしていったら、たまたまここ『学芸大学』がイメージにぴったりだったのです」(松延さん談:以下同)

商社で商品企画に携わっていた松延さんが、上司から「ランドリーブランドを立ち上げてほしい」と指令を受けたのは今から9年前のこと。最近でこそ日本の洗濯用品は香りにこだわるなど特徴的な商品が揃うようになったが、当時はどのメーカーのアイテムも画一的なものが多かったため、“良質な洗濯用品を作り、新しいライフスタイルとして提案できるようなランドリーブランドを立ち上げること”が松延さんに与えられた使命だった。

「洗濯を新しいライフスタイルに…って、どうやって?と困惑していたところ、偶然雑誌でドイツのベルリンにお洒落なランドリーがあるという記事を見て、そのままアポ無しでベルリンへ飛びました。それが『フレディレック』との最初の出会いでした」


▲プロデューサーの松延友記さん。『フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー』には6つのサービスがあり、コインランドリーとカフェラウンジのほか、洗濯代行やクリーニングの取次ぎ、グッズ販売、ワークショップなども実施している。「カフェとクリーニングでは全く異なる知識や技術が必要だったので必死に勉強しました。特にクリーニングの取次ぎについては、衣類の素材の特性や適切な洗い方を熟知していないといけませんから、まちのクリーニング屋さんで修行させてもらいました(笑)」



「洗濯」をもっとラクに、楽しく、お洒落にしたい!


ベルリン北部にある『フレディレック・ウォッシュサロン』のオーナー、フレディレック氏は、コインランドリーを“単に洗濯をするだけの場所にはしたくない”と考え、店内に小さなカフェスペースを作り、鮮やかな壁紙やアートワーク、オブジェなどを配置して、地元の人たちが集まるコミュニティサロンとしてスペースを開放した。彼の自己表現の場でもあるユニークなサロンは、2008年の開業以来、世界中のメディアから注目を集めるようになった。

「アポ無しで訪問したので、その時はスタッフの方に名刺を渡しただけでフレディさんに会えないまま帰国したのですが、帰国後にメールで連絡を取り合うようになり、“日本でもこんなサロンを作りたい”と強引にこちらの想いを伝えたところ、フレディさんが“いいアイデアだね!”と賛同してくれました。

まずはサロンのオープンではなく、洗剤や柔軟剤、ランドリーアイテムなどの物販からスタートすることになったのですが、ドイツと日本は水質も違いますし、ドイツでは日本のように“洗濯物を外へ干す”という文化がありません。ドイツのフレディの商品をそのまま輸入すると、日本人の洗濯スタイルにマッチしませんから、商品コンセプトやパッケージデザインの部分をフレディとコラボし、商品は日本で企画・製造して販売しました。その後、グッズの販売開始から7年が経って認知度も上がり、ネット販売などを通じて売り上げも確保できるようになったので、ようやく本格的にサロン事業化の目処が立ったのです」

松延さん自身がここ1~2年で実感していたのは「社内でも“結婚するから寿退社をしたい”という女性社員が少なくなり、働き続ける女性たちが増えた」ということ。「じゃぁ、女性も男性と同じようにバリバリ働くようになったのに、家事は誰がやってるの?洗濯って奥さんが自分ひとりでやってるの?僕らは洗濯グッズを作っているだけで良いの?もうちょっとラクに楽しく洗濯ができる方法はないの?」という問題提起をしながら社内でプレゼンをしたところ、上司からサロンオープンのGOサインが出たのだという。


▲天井からは煌びやかなシャンデリアが下がり、鮮やかな壁紙はベルリンのサロンとほぼ同じデザイン。カッコイイ洗濯・乾燥機がズラリと並び、中央にはゆったりとしたたたみ台が置かれている。洗剤や柔軟剤は自動投入されるため、自宅からわざわざ持ち込まなくても良い。料金は使用時間と容量によって異なるが、乾燥機なら10分100円から、洗濯機は39分400円から、洗濯乾燥機は60分1000円からとなっている。基本的に客層は若い世代だが、ご近所で暮らす高齢者の方の来店も多く「これまでは、洗濯物を干すときに足腰を使って大変だったけど、ここならボタンひとつでできるから助かるわ」と好評だそう。「一番利用率が高いのは羽毛布団のお洗濯ですね。ここで洗って乾かすと、ちゃんと羽毛が中で立ちあがるのでフカフカに仕上がりますよ」と松延さん



通常なら6時間かかる一連の洗濯作業を、1時間以内に短縮


コインランドリースペースには容量や機能の異なる15台の洗濯・乾燥機、そしてスニーカー専用の洗濯・乾燥機が1台ずつある。家庭用洗濯機の容量は最大で10キロ程度だが、サロンの洗濯機は最大27キロまで一度に洗うことができるという。27キロというのはバスタオルに換算すると80枚に相当する量。つまり、家庭でいつも数回に分けて洗っていた大量の洗濯物を一度で一気に済ませることができる。

「サロンでは、洗濯から乾燥までの所要時間がだいたい1時間弱ぐらい。しかも、プロ仕様の機材を設置していますから、シワやムラを抑えながらしっかり洗ってスピード乾燥し、フカフカに仕上がりますし、部屋干しのイヤなニオイもしません。また、運転前にはドラム内をクリーンアップする洗浄機能がついているので、衛生面でも安心してお使いいただけると思います。

ちなみに、家庭で洗濯をして、外に干して、乾燥させて、取り込んで、たたみ終わるまでには、通常だと約6時間ほどかかるわけですが、コインランドリーであればそれらのすべての作業を1時間以内で終えることができますから、家事の時短にもつながります」

松延さんをはじめとするプロジェクトチームの狙い通り、『フレディレック・ウォッシュサロントーキョー』には、流行に敏感な若者世代が集まるようになった。コインランドリーを使うのが初めてで、システムや操作方法がわからないという若い女性も多いため、スタッフがにこやかに接客しながら操作方法についてアドバイスを行う。

「自分のお気に入りのデザインの洋服を、お気に入りのデザインのサロンで、お気に入りのデザインの洗濯機を使って洗う…というこの一連の流れを、今の若い世代の方たちは楽しんでくださっているのではないでしょうか?」


▲店内は24時間営業のコインランドリースペースと、9:00~21:00まで営業のカフェ・クリーニング・グッズショップスペースに分かれており、ラウンジにはフリーWi-fiが導入されているほか、待ち時間に読める雑誌も用意されている。カフェには、コーヒーやエスプレッソ、レモネードなどのドリンクのほか、マフィンやブラウニーなどの軽食もある。「コーヒーは、ランドリーの石鹸の香りに負けないよう、香りが引き立つような濃いめのオリジナルブレンドにしています」と松延さん。コーヒーと洗濯の香りの組み合わせは、まさに“朝の家庭のニオイ”。店内のカフェラウンジは自宅でくつろぐような心地良さで過ごすことができる



コインランドリーを、新しいまちづくりの象徴的存在にしたい


『フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー』は、今後フランチャイズ展開も視野に入れながら全国的に店舗数を増やしていく予定だという。

「ただし、我々としては“○年以内に○店舗”と数を増やすことが目標なのではなく、“このウォッシュサロンを軸にして地域のコミュニティづくりに貢献すること”がプロジェクトの本来の目的です。もともとコインランドリーは、わざわざ電車に乗って出かけるものではなく、“地元コミュニティに溶け込む生活施設のひとつ”だったはず。なのに今の日本では、“人がいない、暗くて汚い、怖い、入りにくい…”というネガティヴなイメージが先行しています。そのイメージを覆して、地域コミュニティに欠かせない存在に変えることを目指しています」

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そういえば、日本にスターバックスが上陸する前まで、コーヒーショップはサラリーマンの休憩場所というイメージがあった。それが今では、ひとつの街、ひとつの駅、ひとつの建物の中に当たり前のように存在し、幅広い世代の人たちにとって欠かせない空間となっている。

「スタバが日本人とコーヒーショップとの関わり方を変えたように、フレディができてから洗濯のイメージが変わったと言われるようになったらうれしい」と松延さん。近い将来、ひとつの駅前に必ずひとつのお洒落なコインランドリーがあり、そこが“新しい街づくりの象徴”として認識される時代がやってくるかもしれない。

■取材協力/フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー
https://www.freddy-leck-sein-waschsalon.jp/


▲筆者は比較的空いているという午後の時間帯に取材にお邪魔したのだが、それでもひっきりなしに若い女性グループが訪れる。彼女たちの様子を見ていると、どうやらコインランドリーを利用する目的で訪れるのではなく「友達とカフェで待ち合わせをするついでにクリーニングを出す」という感覚で利用しているようだ。「基本的には地元の方が多いので、おひとりさま同士であってもラウンジで隣同士になってなんとなく会話が弾み、顔見知りになるというケースもあるようです。実は、僕には小学生と中学生の娘がいるんですが、彼女たちが大人になったときにはおそらく、街づくりとかコミュニティ形成の考え方が大きく変化して、女性が子育てをしながらでも働きやすく、家事もラクにできる…そんな日本になっているんじゃないかと思います。そうなったときに、このサロンの存在がどうやって地域のお役に立てるのか?を考えながら、新しい展開につなげていきたいですね」



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