連載 令和30年に思いを馳せて 未来を考える⑦ SNSの写真や動画から旅先を選ぶ時代に
2022/11/17 11:10 ジョルダンニュース編集部
予め行き先を考えた上で旅行予約サイトを立ち上げるのが現在の予約のしかたである。しかし、程なく、写真や動画の中から行き先を選ぶ、というやり方も増えてくると思う。ユーチューブやインスタグラムといったSNSを漫然と見ながら、ここに行きたいというボタンをクリックする、といったようにである。動画をアップロードした人、あるいはツイッターで拡散した人にも紹介料が入るような仕組みも程なくできてくるものと思われる。
スマートフォンで旅行予約サイトを立ち上げると、画面いっぱいにコンシェルジュが現れる。もちろん人間ではなく、バーチャルヒューマンである。「いらっしゃいませ。」と話しかけてくる。次々と画像は交換できるので、自分の気に入ったオペレータを選ぶ。もちろんこの旅行代理店を前にも利用したことがあれば、以前のオペレータが「佐藤様。いらっしゃいませ。」と話しかけてくるかも知れない。
話すのが面倒ならば、テキスト入力のボタンをクリックして、要件を伝える。「気分転換に温泉でも浸かりたい」と伝えれば、過去の宿泊先をチェックしながら温泉地を提案してくるかも知れない。出張のときは、「明日、13時から京都市役所で打合せ。一泊したい。宿は、河原町あたりで大浴場付きのホテル。明後日13時頃の新幹線で東京まで。」と入力。音声での会話ではなく、チャットで進めたいので、コンシェルジュにもチャットでのコミュニケ-ションを指示する。
「10時発の新幹線でいかがでしょうか。」「ホテルは前回泊ったXXXXホテルでいかがでしょうか。」コンシェルジュは、過去の履歴を参考にしながら、テキパキと提案してくる。同時に、得意先との会食の場所、コース料理の予約まで進むこともできる。チャットボット、バーチャルヒューマン、音声認識、音声合成といった最新の技術から、容易に未来の旅行代理店のイメージが浮かんでくるのではなかろうか。
過去の履歴がとられることが嫌な場合は、自分の履歴を保存することを拒否することもできる。その場合は、決めるまでのプロセスがいささか煩雑になる。仕事とプライベートを分け、別のトラベルエージェントを使う人もいる。複数のメールを使い分けるように、旅行予約サイトも使い分けるのが普通になってくるものと思われる。
予約サイトに主導権を握られるよりは、ホテルや観光施設が自分たちのホームページに工夫をこらし、主導権をとろう、という動きも起こってくるような気もする。バーチャルな空間の中に現れたホテルが、予約だけでなく、往復の移動手段も一緒に予約できるようになってくるものとも思われる。どこまでどんなように進むか、まさにこれからではあるが、昨今話題のWeb3というのは、Googleなどに主導権を握られずに個々のサイト、旅行の場合には宿が主導権をとろう、という動きである。
昨今の技術トレンドでは、メタバースが話題でもある。新型コロナウィルスの感染拡大により外出自粛が促され、企業もテレワークを導入せざるを得なくなってしまった。自宅にいながらテレビ会議に参加することも普通になってきているが、仕事以外にも、バーチャルな世界にアバターとして参加することもこのところ盛んになってきている。アバター用のドレスやバッグにファッションブランドのPRADAも参入し、売上を伸ばしている。
VR用のヘッドセットがいろいろ現れている。使った人の感覚では、妙になじむという。Appleメガネ、Googleグラスという普通のメガネにバーチャルな画像をあわせ表示することができるデバイスの登場も噂されている。ヘッドセットをつけなくとも仮想空間に入り、動くことができるのである。
「バーチャル新宿」といった街が仮想空間に現れ、アバターで参加している人たちで賑わう。いくつかのコミュニティが盛り上がっているが、その中のあるコミュニティがオフ会をリアルな新宿で開くことにするとする。オフ会に出かけるのに、参加者が今度はリアルなファッションをアバターに合わせて用意し、出かけていく。
クイズのコミュニティに参加、オフ会の会場に行ったら、コミュニティの主催者は小学生の女の子、オフ会のためのトラベルの予約サイトも本人が作り上げ、旅行手配の収入で年収が軽く1千万円を超える、そんなこともありうる時代が今そこに来ている。
佐藤 俊和(さとう・としかず)
1949年福島県生まれ。 東京大学工学系大学院(修士)修了。79年株式会社ジョルダン情報サービス(現ジョルダン株式会社)設立、代表取締役社長に就任。現在に至る。18年 JMaaS株式会社設立。代表取締役社長。
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スマートフォンで旅行予約サイトを立ち上げると、画面いっぱいにコンシェルジュが現れる。もちろん人間ではなく、バーチャルヒューマンである。「いらっしゃいませ。」と話しかけてくる。次々と画像は交換できるので、自分の気に入ったオペレータを選ぶ。もちろんこの旅行代理店を前にも利用したことがあれば、以前のオペレータが「佐藤様。いらっしゃいませ。」と話しかけてくるかも知れない。
バーチャルヒューマンが観光、出張も会食も手配
話すのが面倒ならば、テキスト入力のボタンをクリックして、要件を伝える。「気分転換に温泉でも浸かりたい」と伝えれば、過去の宿泊先をチェックしながら温泉地を提案してくるかも知れない。出張のときは、「明日、13時から京都市役所で打合せ。一泊したい。宿は、河原町あたりで大浴場付きのホテル。明後日13時頃の新幹線で東京まで。」と入力。音声での会話ではなく、チャットで進めたいので、コンシェルジュにもチャットでのコミュニケ-ションを指示する。
「10時発の新幹線でいかがでしょうか。」「ホテルは前回泊ったXXXXホテルでいかがでしょうか。」コンシェルジュは、過去の履歴を参考にしながら、テキパキと提案してくる。同時に、得意先との会食の場所、コース料理の予約まで進むこともできる。チャットボット、バーチャルヒューマン、音声認識、音声合成といった最新の技術から、容易に未来の旅行代理店のイメージが浮かんでくるのではなかろうか。
過去の履歴がとられることが嫌な場合は、自分の履歴を保存することを拒否することもできる。その場合は、決めるまでのプロセスがいささか煩雑になる。仕事とプライベートを分け、別のトラベルエージェントを使う人もいる。複数のメールを使い分けるように、旅行予約サイトも使い分けるのが普通になってくるものと思われる。
予約サイトと宿泊、観光施設が主導権を争う
予約サイトに主導権を握られるよりは、ホテルや観光施設が自分たちのホームページに工夫をこらし、主導権をとろう、という動きも起こってくるような気もする。バーチャルな空間の中に現れたホテルが、予約だけでなく、往復の移動手段も一緒に予約できるようになってくるものとも思われる。どこまでどんなように進むか、まさにこれからではあるが、昨今話題のWeb3というのは、Googleなどに主導権を握られずに個々のサイト、旅行の場合には宿が主導権をとろう、という動きである。
仮想空間で盛り上がり、オフ会に参加
昨今の技術トレンドでは、メタバースが話題でもある。新型コロナウィルスの感染拡大により外出自粛が促され、企業もテレワークを導入せざるを得なくなってしまった。自宅にいながらテレビ会議に参加することも普通になってきているが、仕事以外にも、バーチャルな世界にアバターとして参加することもこのところ盛んになってきている。アバター用のドレスやバッグにファッションブランドのPRADAも参入し、売上を伸ばしている。
VR用のヘッドセットがいろいろ現れている。使った人の感覚では、妙になじむという。Appleメガネ、Googleグラスという普通のメガネにバーチャルな画像をあわせ表示することができるデバイスの登場も噂されている。ヘッドセットをつけなくとも仮想空間に入り、動くことができるのである。
「バーチャル新宿」といった街が仮想空間に現れ、アバターで参加している人たちで賑わう。いくつかのコミュニティが盛り上がっているが、その中のあるコミュニティがオフ会をリアルな新宿で開くことにするとする。オフ会に出かけるのに、参加者が今度はリアルなファッションをアバターに合わせて用意し、出かけていく。
クイズのコミュニティに参加、オフ会の会場に行ったら、コミュニティの主催者は小学生の女の子、オフ会のためのトラベルの予約サイトも本人が作り上げ、旅行手配の収入で年収が軽く1千万円を超える、そんなこともありうる時代が今そこに来ている。
佐藤 俊和(さとう・としかず)
1949年福島県生まれ。 東京大学工学系大学院(修士)修了。79年株式会社ジョルダン情報サービス(現ジョルダン株式会社)設立、代表取締役社長に就任。現在に至る。18年 JMaaS株式会社設立。代表取締役社長。
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記事提供元:タビリス