家とココロの専門家に聞く「癒し」のリフォーム 4つのコツ

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わが家は「ほっと落ち着く空間」であってほしいもの。現状の不満を解消するだけではない、心も体も伸びやかになる住まいへ。暮らしに寄り添う「癒し」がある、本記事ではそんなリフォームをご紹介しよう。
ココロの専門家に聞く 心をほぐす癒しの住まいとは?

住まいが癒しの場になる理由

ストレス社会といわれる現代において、住まいには「癒し」が必要だと語るのは、心理学者の小俣謙二さん。
「ストレスの対処法には、その原因に直接働きかける『直接的対処』と、ストレスを別の形で解消する『間接的対処』があります。買い物やスポーツで気分転換するのは後者に当たりますが、家も同様。癒しを感じられる環境なら、ストレスによって生じた心身のバランスの崩れを回復させることができます」

 そのためにはどのような住まいが良いのだろう。
「まずは、快適温度が保たれていて、外から風が入ってくる住環境を整えること。外からの風は、心地よい刺激になり、脳をリフレッシュさせます。加えてさまざまな研究から森林に癒し効果があることはわかっているので、外の緑を眺められる窓があると効果的です」

「次に間取り。縁側や広縁のような特定の目的をもたない『間(ま)』に、人はゆとりを感じます。物理的な余裕は心理的・行動的にもゆとりを生んで、本を読んだり昼寝をしたり、ただボーッとしてもいい場所となる。ストレス解消に効果を発揮します」

「また、自分だけの空間を得るのも大切なこと。ストレスや心理的問題を抱えたときには1人になって感情の整理や自己内省をする必要があり、個室が緊張解消の場となるのです。使うときに1人になれる空間なら、家族共用のコーナーでも構いません」

ありがちな「癒されない環境」とは?

一方で、癒しを阻害する間取りもあると、小俣さんは注意を促す。
「動線や収納のプランが悪いと、無意識にストレスをため込むことに。リフォームでは暮らしやすい間取りにすることが必要です。家が舞台装置、住まい手が演者、ライフスタイルが脚本だとすると、それらがマッチして初めて癒しを得られる住環境になる。家族構成や子どもの成長、ライフステージに合わせて、都度ライフスタイルを見直し、それを活かせる間取りにしたいですね。家は、住まい手を心理的にも物理的にも支えるベースキャンプですから」

【画像1】(写真撮影/浦田圭子)

【画像1】(写真撮影/浦田圭子)

家の専門家に聞く 住まい手をやさしく包む空間づくり

“人間が大きな気宇(きう)を養うのに、その住まいの大らかさ自由さくらい大きな力を及ぼすものはない”
 19世紀の思想家、ジョン・スチュアート・ミルのこの言葉に感銘を受けたという建築家の田中敏溥さん。住まい手が自然体でいられる安らぎを得て、凛とした気構えを養うことができる……そんな家を数多く手掛けてきた。

「家族構成やライフスタイル、好みといった、変化するものに合わせてしつらえること。隣接している道路や公園などの周辺環境といった、変化しないものを活かして設計すること。そうした気遣いのある家は五感が窮屈になりません。場と人にフィットする家は、ミルが言うように人間の心持ちを支え、癒しを与える力があると考えています」

【画像2】(写真撮影/浦田圭子)

【画像2】(写真撮影/浦田圭子)

<提案1> 安らげるベースを住環境でつくる

癒される家をつくるための提案として、一つ目に田中さんが挙げたのは住環境だ。
「温熱、採光、通気は、身体的なストレスを左右します。それが心地よければ五感が解放されて癒される住まいになります。そこで目指したいのが『夏、蒸し暑くなく、冬、寒くない』家づくり。

木を植える庭がなくて直射日光が入ったり、狭小地や密集地だったりしても、住環境を良くする工夫はできます。冬の寒気が入るのを防ぎつつ、家の中を南風が抜ける工夫や、夏の直射日光を避けて冬の低い日差しが室内の奥まで届く開口計画などを意識しましょう。
冷暖房が必要なのはたいてい冬と夏。春秋の半年はチョウが舞い、トンボが飛ぶそよ風を感じられる家にすれば、そこに居るだけで日々癒されることでしょう」

<提案2> 室内を調える

二つ目の提案は、室内を調えることだと田中さん。

「いい家具があると空間がよく見えるし、家具や建具がバラバラだと落ち着かない気分になりますよね。つまり、住まい手の好みと家屋と家具が互いにフィットするしつらえであれば、リラックスできて、ゆったり過ごせる空間になるのです。リフォームでは既存の柱や梁などを残すこともできますし、家具を造作して自分らしさを織り交ぜることもできます」

 思い出の柱や梁は、ずっと見守られているようなぬくもりを感じさせ、自分の好みを反映した素材や色、デザインは安心感をもたらす。
「また、ゴチャゴチャした空間にならないように、必要な場所に必要な量の収納を設けることも大切。調っている空間は、気持ちもスッキリするはずです」

【画像3】(写真撮影/浦田圭子)

【画像3】(写真撮影/浦田圭子)

<提案3> 自然を取り入れる

設計では、家屋だけでなく、屋外にも気を配るという田中さん。三つ目の提案として、家と自然が良い関係になる家づくりの大切さを訴える。

「庭師の言葉に『庭をつくると家が二倍よく見える』というものがあります。まさにその通りで屋外と家屋は一体で考えなければいけません。敷地が狭くて大きな庭をつくれなければ、窓の近くに木を一本植えるだけでもいい。周辺に公園があるなら、借景を活かして自然を室内に取り込みたい。
間取りや開口、素材などで室内外につながりがあったり、外に視界が抜けたりする家は広がりを感じられ、心も伸びやかになります」

移ろう四季を愛でる窓でしみじみとした平穏を味わい、室内に用いた自然素材の香りや肌触りで五感が満たされる。そんな暮らしを意識してみよう。

<提案4> 自分空間をつくる

四つ目の提案は、個の空間をつくること。「人間は、会いたいときに会えて、会いたくないときには会わずにいられる環境が必要」だと、田中さんは話す。
「人が集うための大きい空間だけでなく、1人きりになれる空間も、実は同じぐらい大切です」

 誰にも気兼ねせず、肩の力を抜いてホッとできるスペースは、心身をリセットするために必要だ。階段ホールを利用して1坪程度の夫の書斎を設けたり、キッチンの近くに家事スペースを兼ねた妻のデスクを置いたり。広さよりも、デッドスペースの活用などで設置場所を賢く工夫したいもの。

 思いのままに過ごせる場所で、いつでも素の自分に戻れる安心感と、ストレスをそぎ落とす開放感を得られるだろう。

【画像4】(写真撮影/浦田圭子)

【画像4】(写真撮影/浦田圭子)

心身のバランスの崩れを回復させ、癒しの場になりうる住まい。そんな家づくりを叶えるために、4つの提案をリフォームプランに取り入れてみよう。

構成・取材・文/樋口由香里

●取材協力
・駿河台大学 教授
小俣謙二さん
博士(心理学)。駿河台大学心理学部並びに同大学院心理学研究科教授。環境心理学と犯罪心理学の観点から社会問題を研究。著書に『住まいとこころの健康-環境心理学から見た住み方の工夫』など

・田中敏溥建築設計事務所 代表
田中敏溥さん
一級建築士。東京芸術大学大学院卒業後、茂木計一郎氏のもとで環境計画及び建築設計活動に従事。1977年、田中敏溥建築設計事務所設立。著書に『建築家の心象風景<2>』、ほか

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