天気と頭痛発生に関する頭痛ーるビッグデータと人工知能を用いた研究がHeadache誌に掲載されました。

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―気圧変化、降雨や湿度が頭痛発生と関与する可能性を報告―

糸魚川総合病院 脳神経外科、ベルシステム24、獨協医科大学、埼玉精神神経センター、国立病院機構七尾病院の共同研究チームは、ベルシステム24提供の気圧予報に基づく体調管理アプリ「頭痛ーる」のビッグデータを人工知能により解析し、天気(気圧の変化、降雨や湿度)が頭痛発生に関与する可能性を報告しました。
本研究はアメリカ頭痛学会の公式医学雑誌「Headache」に2023年2月28日に掲載されました。

【背景】
日本における片頭痛の年間有病率は8.4%で、20-40歳代の若年女性に多いと言われています。片頭痛を含め頭痛の大半は命に関わることはなく軽視されがちですが、片頭痛による欠勤や休業、学業や労働のパフォーマンス低下などによる間接的経済損失は1人あたり176万円/年と言われています。片頭痛を含め頭痛の多くは、(1)痛いときに飲む「痛み止め」の適切な選択と内服 (2)痛くなって困らないように頭痛の重症度や頻度を改善する「予防薬」の内服 の2本柱の治療により、生活への支障を最小限にコントロールすることができます。そのため、月に2回以上頭痛があるなど、頭痛により普段の生活に支障をきたしている場合は医療機関で適切な治療を受けることが、患者さん自身の生活の質の向上および日本の経済発展のために重要です。
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ストレス、月経、空腹に次いで、天気は片頭痛を引き起こす原因として4番目に多いと言われています。どのような天気で頭痛が起きるのか明らかになれば、自身の体調管理やセルフケアに役立つほか、頭痛の発生メカニズムの解明に繋がる可能性があります。しかし、これまでの天気と頭痛発生に関する研究は小規模なものが多く、一貫性の有る結果が得られていませんでした。

「頭痛ーる」は、気象を起因とする疾患を持った方の「気象や心身の変化による体調不良に備え、その不調を軽減したい」というニーズに応えるべく、ベルシステム24が提供している気圧予報に基づく体調管理アプリです。気象庁から提供された気圧予報とアプリで毎月120万件収集しているユーザーの体調に関する情報を組み合わせ、導き出された精度の高い気象病予報は多くのユーザーに愛用されています。月間アクティブユーザー数は100万人、2022年11月には累計1,000万ダウンロードを達成しました。
頭痛ーるサービスサイトURL:https://zutool.jp/
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「頭痛ーる」アプリによって集められた匿名のビッグデータと人工知能を用いて、天気と頭痛発生に関して研究を行いました。なお、共同研究に使用するデータは、個人情報は含まれておらず、利用に関してもデータ提供元保有者から許諾を得ております。

【方法】
2020年12月から2021年11月までの頭痛記録データのうち、東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県・石川県で記録された片頭痛が強く疑われるユーザーのデータを抽出しました。気温や湿度などの1時間毎の天気データと、アプリでの1時間毎の頭痛登録数を、人工知能の一種である時系列クラスタリングとPrediction One (ソニーネットワークコミュニケーションズ)を用いて解析しました。

【結果】
4,375名の抽出されたユーザーの頭痛データを解析しました。およそ9割が女性で、平均年齢は34歳でした。頭痛発生と強く関連する天気の要素として、低気圧、高湿度、降雨、6時間前と比較して大きな気圧低下、朝6時の高気圧、翌日朝6時の低気圧、1週間かけて気圧が低いままであること、1週間かけて気圧が大きく低下していること、が頭痛発生と関与することがわかりました。総合すると、気圧の変化と、降雨や湿度が頭痛発生に関与することが示唆されました。

【今後の展望】
これまでの天気と頭痛発生に関する研究は小規模なものが多く、一貫性の有る結果が得られていませんでした。しかし今回、ビッグデータを用いることで、気圧の変化、降雨や湿度が重要であるというこれまでの研究結果を支持する結果が得られました。

頭痛に限らず、気象病や天気痛といった天気によって不調を感じる方はたくさんいらっしゃいます。今回の報告をきっかけに、天気と健康について、さらなる理解・解明につながることが期待されます。

今回の研究は、スマホアプリによるビッグデータを人工知能により解析した先進的な事例です。今後ビッグデータを人工知能で解析する試みが医学に限らず多くの分野で行われることが期待されます。

(論文情報)
論文名 Investigating the Effects of Weather on Headache Occurrence Using a Smartphone Application and Artificial Intelligence: A Retrospective Observational Cross-Sectional Study
著者 Masahito Katsuki, Muneto Tatsumoto, Kazuhito Kimoto, Takashige Iiyama, Masato Tajima, Tsuyoshi Munakata, Taihei Miyamoto, Tomokazu Shimazu.
掲載誌 https://headachejournal.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/head.14482
DOI 10.1111/head.14482

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記事提供元:タビリス