モーションリブ、三菱電機、日鉄エンジニアリング、慶應義塾大学の四者共同研究により、幅広い三菱電機製サーボアンプでリアルハプティクス(R)が利用可能

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モーションリブ株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:溝口貴弘、以下「モーションリブ」)及び慶應義塾大学(神奈川県川崎市、新川崎先端研究教育連携スクエア特任教授/ハプティクス研究センター センター長:大西公平、以下「慶應大学」)は、三菱電機株式会社(本社:東京都千代田区、執行役社長:漆間啓、以下「三菱電機」)製のデジタル通信仕様サーボアンプにおいて力触覚(※1)技術「リアルハプティクス(※2)」による制御ができることを日鉄エンジニアリング株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:石倭行人、以下「日鉄エンジニアリング」)が保有する装置にて実証し、その有用性を確認しました。

1.研究の背景
リアルハプティクスとは、アクチュエータの力加減を自在に制御することができる、慶應大学が開発した技術です。近年、遠隔操作ロボットなどにも用いられています。この技術を簡便に利用するため、モーションリブの製品である汎用力触覚コントローラICチップ「AbcCore(R)」が使用されています。このAbcCoreを産業用オープンネットワークCC-Link IE TSN(※3)に対応させ、シーケンサ等の上位システムとの通信利便性を高める製品として、モーションリブはAbcCore通信変換モジュール「RT-TSN1」を2021年に開発しました。しかしながら、CC-Link IE TSN経由でサーボアンプやモータを直接制御する機能はなく、これまではアナログ接続に対応したサーボアンプを利用しシステム構築する必要がありました。これに起因し、要件によってはリアルハプティクスの装置実装が困難でした。


2.本研究の成果と意義
今回、モーションリブはRT-TSN1に対しデジタル通信規格に対応する追加開発を実施し、RT-TSN1からサーボアンプに対しCC-Link IE TSNを経由した通信を可能としました。そして三菱電機、日鉄エンジニアリング、慶應大学及びモーションリブの四者共同研究開発において、AbcCore-三菱電機製サーボアンプ間をデジタル通信で制御し、リアルハプティクスが適用できることを実証しました。本実証実験では、三菱電機製サーボアンプ MELSERVO-J5シリーズのMR-J5-Gを利用し、リアルハプティクスが用いられている日鉄エンジニアリングが保有する装置に対し高精度な力触覚制御が実現できることを確認しました。(図1)

[画像: https://prtimes.jp/i/27265/32/resize/d27265-32-116b27e52a258b206247-0.png ]

図1 システム構成図(MR-J5-Gとモーションユニットを使用した場合)
※構成図中の機器は下記の通りです。
・三菱電機製品:モーションユニットRD78G 、サーボアンプMR-J5-G、サーボモータHKシリーズ
・モーションリブ製品:力触覚通信モジュールRT-TSN1,汎用力触覚ICチップAbcCore


今回の研究成果により、設備をCC-Link IE TSNで構築している製造業をはじめとするユーザーのより自由で柔軟な機器とシステムの選定が可能となり、リアルハプティクス機能搭載装置を開発することができます。
産業分野におけるリアルハプティクスの活用促進と産業界への更なる貢献を目指し、今後も連携して研究開発を継続します。


≪用語説明≫
※1 力触覚: 触れた物の硬さや柔らかさを伝える、力と位置変化に関する感覚。
※2 リアルハプティクス:慶應大学で発明された力触覚伝送技術で、アクチュエータの力加減を自在に制御することができる技術です。 この技術により、力センサレスで力触覚をともなう「遠隔操作」「計測可視化・分析」「自動化」「感触の再現・VR」が可能となります。
※3 CC-Link IE TSN:TSN(Time-Sensitive Networking )技術の活用により、サイクリック通信でリアルタイム性を保証した制御を実施しながら、ITシステムとの情報通信が混在可能なネットワークです。


3.企業情報
【モーションリブ株式会社について】
モーションリブ株式会社は、機械が力触覚を自在にコントロールするために必要なリアルハプティクスについて、機械への実装を可能にするための研究開発から、キーデバイスである「AbcCore」の製造販売まで行う慶應大学発ベンチャー企業です。
「AbcCore」は力センサや特殊なモータなどを必要とせず、市販のモータを使って力加減や力触覚伝送の制御を実現する点に技術的優位性をもっています。この「AbcCore」は、すでに80社ほどの企業に先行提供されており、共同研究や、実用化が始まっています。
また当社は、共同研究を行う「ソリューション事業」、「AbcCore」やすぐ使える製品を提供する「デバイス事業」、技術を提供する「ライセンス事業」の3つの事業を柱に、お客様の製品企画から量産販売までをサポートできる体制を構築しています。
モーションリブ株式会社では、リアルハプティクスの実用化をさらに加速するために、共同研究企業様の募集を積極的に行っています。
https://www.motionlib.com/

※ AbcCore:
モーションリブ株式会社が開発した、リアルハプティクスの実装を簡便にする力触覚制御ICチップです。以下の特徴があります。
1. 力加減の制御:リアルハプティクスをモジュール化し、リアルタイムな力加減の計測と制御を実現。
2. 力触覚を伝送:力加減をデータ化して、遠隔地に伝送。双方向に力触覚を伝え合うことを簡単に実現。
3. 力センサレス:独自の力推定アルゴリズムにより力センサの設置が不要。(力センサの使用も可能)
4. 高い汎用性:市販のアクチュエータ・機器を使用して力の制御が可能。既存システムへの組込みも容易。


【慶應義塾大学ハプティクス研究センターについて】
慶應義塾大学ハプティクス研究センターは、大西公平特任教授が発明したリアルハプティクスの研究開発および広く医療・産業界に普及させることを目的として2014年に設置されました。リアルハプティクスは、人間が物体に触った際に感じる硬さや柔らかさ、風船のような弾力、自律的な動きなどの力触覚を伝送して、遠隔にいる操作者の手元で同様の力触覚を再現できます。また、この技術には力触覚を検知するセンサが極めて少なくて済むという利点もあります。リアルハプティクスに関連する幅広い研究と開発や基本から応用まで多種多様な研究開発課題に取り組み、国のプロジェクトをはじめ企業との積極的な共同研究開発を行っています。
https://haptics-c.keio.ac.jp/ 


【三菱電機株式会社について】
三菱電機株式会社は、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器などの製造・販売を行っており、FAシステム事業の領域においては、お客様の生産性向上に貢献する高速・高精度のACサーボシステムを展開しています。
MELSERVO-J5はCC-Link IE TSNに初めて対応したACサーボアンプであり、最小通信周期31.25μsと速度周波数応答3.5 KHzで、高度なモーション制御が可能です。性能・機能を大幅向上し、装置の革新的進化に貢献します。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/


【日鉄エンジニアリング株式会社について】
日鉄エンジニアリング株式会社は、製鉄・環境・エネルギー・都市インフラなどの、各種プラントの設計・建設から操業・保守までグローバルに事業を展開しています。その中で、近年の慢性的な人材不足や技術伝承、現場作業環境の改善といった課題を解決すべく、これまで機械化が難しかった非定型作業を含む、各種現場作業の機械化・自動化(Think Robot(R))を進めています。当社は2013年より慶應大学とリアルハプティクス技術の産業適用に関する共同研究を行っており、既に複数の現場において、微妙な力加減が必要な作業の機械化を実現し、全て安定して稼働しています。
https://www.eng.nipponsteel.com/

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記事提供元:タビリス