オンラインで効果あり。STEM分野の職業探究キャリア教育プログラム、「STEM職業に興味あり」と回答した中学生女子が実施後に約3倍に。「女性に向いている」イメージは約9倍。昭和女子大学附属中学校と実施

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公益財団法人山田進太郎D&I財団は、昭和女子大学附属中学校と連携し、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)分野に焦点を当てた、中学生向けの職業探究プログラムの実証実験を兼ねたオンラインイベントを、2023年12月12日(火)に同中学校の2~3年生を対象に実施、272名の分析対象者からの回答を得ましたのでご報告します。

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 今回の調査では「学校において全員参加の形で、かつ、登壇者や協力する企業への負担が比較的軽減されやすいオンラインで、理系の女性ロールモデルが登壇する理系体験を提供することでどの程度、生徒のSTEM分野の学びや職業への興味関心が変わるか」を検証するために、同学校の生徒・教員とSTEM分野で活躍する女性ロールモデル3名の協力を得て、STEM分野の職業を探究するオンラインイベントを実施し、事前と事後の2回、アンケート調査を行い、意識の変容等を分析しました。


■「STEM分野のオンライン職業探究キャリア教育プログラム」調査結果からのサマリー
1.オンラインイベントの開催で生徒がSTEM分野の職業に就くことへの興味関心が実施後に約3倍増えるなど、STEM分野へのイメージが改善した。
本プログラムを実施後、STEM系の職業に就くことに関心を持つ生徒(関心度が5段階のうち、4-5と回答した)の割合は、実施後に約3倍に増えた。

特に、「女性に向いている」(約9倍増加)、「親しみやすい」(約4倍増加)の2項目で大幅なイメージの改善が見られた。



2.オンライン形式の有効性が明らかになった一方、継続的な体験機会の提供など、創意工夫の必要性も浮き彫りになった。
教員アンケートの結果から、オンライン実施により、国内・海外問わず多忙な講師に依頼が可能となったことや、一度に多くの生徒が参加できたことが評価された。

一方で、オンラインでは講師の熱量が伝わりづらいことや集中力を保つのが難しいなどの課題もあり、登壇者との質疑応答時間を増やすなど、より双方向性の高い授業とするための改善点や、同様の取り組みを継続することの重要性も示唆された。




■「STEM分野のオンライン職業探究キャリア教育プログラム」実施概要
日時:2023年12月12日(火曜日)13:00-15:00
実施方法:Zoom配信
対象者:昭和女子大学附属中学校の2年生および3年生
登壇者:
・岡田 久仁子氏(宇宙開発分野)
・浜田 紗綾子氏(AI関連分野)
・井口 恵氏(制御工学分野・ドローン関連)
・大洲 早生李(山田進太郎D&I財団)
イベント内容
1.STEMワールドを旅しよう(山田進太郎D&I財団)
2.STEM分野の職業探検 (登壇者によるパネルディスカッション)
3.STEM分野の職業をもっと探究!ブレイクアウト・セッション(宇宙開発、AI、ドローンの3つのセッション)
4.質疑応答/振り返り
イベント公式URL:https://www.shinfdn.org/posts/zKXvBtQm


■本調査の概要
調査対象:昭和女子大学附属中学校の2~3年生ならびに昭和女子大学附属中学校で勤務する教職員
回答者:
授業実施前(生徒):376名(2年生:204名、3年生:172名)
授業実施後(生徒):292名(2年生:138名、3年生:154名)
分析対象者(生徒):272名(学籍番号で紐づけた結果、実施前と実施後の両方を回答した生徒の数)
教職員:9名
調査方法:オンラインフォームで授業実施前と実施後、それぞれ1回ずつアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収。
調査時期:2023年12月12日~12月22日


■本調査の詳細
1.オンラインイベントの開催で生徒がSTEM分野の職業に就くことへの興味関心が実施後に約3倍増えるなど、STEM分野へのイメージが改善した。
実施前は、STEM系の職業に就くことに関心があった割合(5段階で4あるいは5と回答)は15.1%であったが、実施後はSTEM系の職業に就くことに関心がある割合は42.3%となり、より興味関心を高めた生徒が約3倍に増えた。オンライン形式でSTEM関連の職業を知ることができる機会を設けることで、STEM関連の仕事に就くことへの興味関心を高められる可能性があることが実証された。(表1を参照)

「女性に向いている」イメージに関しては、実施前は6.3%が「イメージに近い」と回答した。実施後は「イメージに近い」とした回答者は53.7%と約9倍アップし、STEM分野の仕事が実は女性にも向いていると認識を新たにした生徒が全体で大きく増えた。イベントの登壇者が全員女性の理系ロールモデルであり、女性に向いている側面を強調して話したことが本結果に影響している可能性がある。(表2を参照)

「親しみやすい」イメージに関しては、15.1%が「イメージに近い」と回答した。実施後は「イメージに近い」とした回答者は54.0%となり、全体としてSTEM分野の仕事を身近で親しみやすい仕事と感じた生徒が約4倍も増えた。(表3を参照)


表1.オンラインイベント実施前/実施後アンケート(STEM系職業への関心)
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表2.オンラインイベント実施前後アンケート(「女性に向いている」イメージ)

[画像3: https://prtimes.jp/i/83893/35/resize/d83893-35-512aacb2fdb147640a52-5.png ]


表3.オンラインイベント実施前後アンケート(「親しみやすい」イメージ)
[画像4: https://prtimes.jp/i/83893/35/resize/d83893-35-8de92bb2eca9987d82c1-5.png ]


2.オンライン形式の有効性が明らかになった一方、継続的な体験機会の提供など、創意工夫の必要性も浮き彫りになった。
9名の教員に対する事後アンケートから、オンライン実施のメリットとして、「忙しい講師の先生にも講演をお願いしやすい」「消極的な生徒も質問しやすかった」「大人数の生徒に対して1度で講演ができた」「アメリカで現在働いている方の声を聴けたことは非常に刺激的」などが挙げられた。

オンライン実施のデメリットとしては、「講師の先生方の熱量が伝わりにくい」「オフラインの方がもっと講師を身近に感じられる」「集中を保つのが難しかった」などが挙げられた。

今後の進路選択で生かすための創意工夫の点に関しては、「継続的に講演やワークショップ、見学など、さまざまなアプローチが必要」「実際に体験する機会」「生徒面談を通して得た知識や経験をどう捉えているかを把握し、今後参加可能なイベントや活動についてリサーチさせる」などが挙げられた。




本調査の完全版は、財団公式サイトで公開しています。
URL:https://www.shinfdn.org/posts/fwUTahZM

 当財団は、2035年度のSTEM(理系)分野の大学入学者の女性比率を28%にすることを目指しており、STEM(理系)女子奨学助成金事業のほか、企業や大学、非営利団体と連携し、中高生や教職員向けのSTEM(理系)関連イベントや政策提言・調査活動、各種情報発信による啓発活動を行っています。
 
 今回のように学年全員参加で実施されるオンラインSTEM職業探究イベントは、STEM分野に関心がある生徒たちだけでなく、関心が低かった生徒たちにとっても、STEMに関する学びや職業への関心を高める機会となりました。また、学校現場でSTEM分野の職業に触れる機会を提供することがいかに重要で効果的かを示す契機となりました。当財団は、今後も自治体や企業と協力しながら、このような機会を広く提供し、STEM関連の学びや職業への理解を深める施策を進めていきます。


■公益財団法人山田進太郎D&I財団について
 誰もがその人の持つ能力を発揮し活躍できる社会の実現に寄与するために、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する目的で、メルカリCEO山田進太郎が2021年7月に設立した公益財団法人です。
 特に、STEM(理系)のジェンダーギャップに注目し、2021年より女子中学生/高校生がSTEM(理系)キャリアを前向きに検討し、積極的に自己決定するための機運を創ることを目的に奨学金事業を開始しました。2023年からは、さらに活動の幅を広げるべく、対象者となる女子生徒を取り巻くステークホルダーとなる保護者や学校等教育機関、企業、行政/省庁の皆様と連携しながら、各種教育支援イベント等を通じて若い女性の成長と社会進出を支援しています。
※STEM(S:Science / T:Technology / E:Engineering / M:Mathematics)

代表理事:山田 進太郎(メルカリ創業者、代表執行役 CEO)
設立年月日:2021年7月1日(木)

公益財団法人山田進太郎D&I財団公式ウェブサイト:
https://www.shinfdn.org/


【一般のお問い合わせ先】
公益財団法人山田進太郎D&I財団事務局
Eメール:info@shinfdn.org

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記事提供元:タビリス